2017/06/07 のログ
ルーク > 「………。安らいでいただく事が出来ているなら、とても、嬉しいです。」

沈黙の間にルークの中で広がるのは、擽ったい心地。
嬉しい、嬉しいと、嬉しいが溢れてくるのに擽ったくてきゅっと胸元で手を握り締め。
ルークにとって人としての自分の価値というものは、まだとても不安定で、彼が褒めてくれることで、認めてくれることでこれでいいのだと安心することができる。

「…そういう、ものなのですか…。んっ…っ…」

格好や体型が変わっただけで、こうも向けられる視線が変わるものなのかと貴族からの視線の意味を語られれば納得するが、綺麗で可愛らしいと彼の言葉で告げられると、恥ずかしそうに頬が染まる。
ちゅ、と微かな音を響かせながらじゃれるように鎖骨や項に唇を触れさせられると擽ったそうに微かに体を震わせ。
軽食の準備ができないと告げた言葉も、こうしている方がいいと言われれば重ねられる事はなく温もりを分け合う。
その唇が離れれば、箱を指し示す指が視界に入りつられるように彼が持ち帰った箱へと琥珀の視線が向けられる。

「私のために、ですか…。」

ため息をついていたからだけでなく、普段の動きから不慣れそうな感じを感じ取られていたらしく、お土産だと指し示された箱には、彼が発注したルークの衣服が収められている。
数度驚きに瞬乾を繰り返すと、いいのだろうかと逡巡しながらアーヴァインの顔を振り返り。

アーヴァイン > 「俺もルークの喜ぶ姿が見れて満足だ」

顔には多くは出ないものの、喜びを噛みしめるような掌の動きに微笑みかける。
視線の理由を語れば、納得した様子は見えたが、その姿を褒めていくと頬の赤みがはっきりとしていく。
恥じらう仕草がまた、彼を誘う色香となっていく中、じゃれるようにキスをすると、少しだけ下肢に硬い感触があるのに気付くかもしれない。

「そういうものだ。あぁ、組合の造兵廠で作った貰ったものだ。確りと戦いにも耐えられる、ルークの為だけのオーダーメイドといったところだな」

琥珀の視線が箱を捉えれば、木箱のような固い外装が黒塗りされ、ロゴが白字で描かれているのが見えるだろう。
ひと目見たところで、女性服が入っているとは思えない、固い作りだ。
視線が問いかけるなら、子供のように感じる仕草に薄っすらと微笑みながら瞬き、促すように掌で指し示す。

「開けてみてくれ」

蓋はゴムのと眼鏡ででびっちりと抑えられているが、簡単に開けることが出来るだろう。
蓋を開け、中の緩衝材を取り除けば、中には白地主体のワンピースと、合わせて着るブラウス状の服が収まっているのが見えるだろう。
ワンピースは胸元から腹部までタイトなデザインで作られており、ベアトップの作りとなっている。
スカート部分はやはり可愛らしくふわっと広がっていくデザインだが、グレー色でデザインされた花のモチーフは、甘ったるすぎず、可愛らしさとほんのりと上品さを残す。
その下はレースを重ねた裾飾りとなっており、一緒に入っていた真っ白なパニエを重ねて着るようになっている。
ブラウスの方はワンピースと異なり、意外とシンプルな作りをしている。
飾りのない作りだが、袖のところが徐々に広がるようになっていき、姫袖の様にフリルが重なり、黒レースが飾られているのが特徴的に見えるだろう。
しかし、ひっそりと袖のところに彼女の暗器を通しやすいようにスリットが設けられているが、見た目には全くわからないようにされている。
そして胸元を飾るロゼット状のリボンが飾られた、琥珀のブローチは一種の魔石となっており、彼女の身体能力を少しだけ高めてくれる。
それが3着、春夏用、秋冬用に分かれて計6着も収まっており、更には冬用にロングケープのコートも入っていたのだ。
ワインレッドの暗い赤色に明るい赤色の飾り模様が施され、裾は明るい赤地でフリルが施されている。
裾も後ろのほうが長く、前に行くほど高くなっていき、膝だけぐらいと少しだけ前が開けたデザインなのは、動きやすさも考えてだろう。
胸元の辺りにリボンの飾りが拳程度の物が二つ飾られ、象牙の留め金を輪に通して前を留めるタイプだ。
ゆったりとしたフードも付いており、可愛らしく落ち着いたデザインとは裏腹に、対魔法、対物理の防御力も持つ生地で作られたコートも、実用性も兼ね備えていく。
まさに、可愛らしく綺麗に、それでいて戦えるようにと、彼にしては珍しく個人的に贅を尽くした衣類となっていた。
――間違いなく、自身が着ている軽装防具より手が込んでいるが。

ルーク > 「…っ…んっ…」

淡いキスが肌へと繰り返されるのに、その度に敏感に擽ったそうに体が震わせ、座る臀部の付近に彼の足とは違う、硬い感触を感じると彼も興奮してきているのが伝わってくる。

「私の為だけのオーダーメイド…。」

黒塗りで、白地でロゴの描かれた箱の中身を明かされて、その外観から予想もできなかったもの、しかも自分に合わせたオーダーメイド品という贅沢に戸惑う。
いいのだろうかと、視線に混じる問いかけに微笑みと瞬きで答えられると促されて彼の膝から立ち上がり箱のもとへと歩み寄っていく。

「はい…。……ぁ……。」

閉じられた留め金をあけて、蓋を開く。敷き詰められた緩衝材を取り除いていけば目に飛び込むのは白いワンピース。
スレンダーな体のラインを生かすような、胸元から腹部までタイトな作りになっており、そこからふわりと広がるスカートとでメリハリがつけられている。
無地ではなく、グレーの落ち着いた色でデザインされた花が描かれレースを幾重にも重ねられて上品さと豪華さがある。
ベアトップで大きく肌がものかと思えば、重ね着をするようにブラウスも一緒に収められ、こちらもレースが使われ高級感があるデザイン。
姫袖のようにフリルの重なる袖は広がるようになっていて、そこを捲れば暗器を仕込めるように工夫がなされている。
瞳と同じ色のブローチとリボンで胸元まで繊細に飾り立てる。

「………。」

興味がないのではなく、驚きと嬉しさに言葉を失う。
その証拠に、琥珀の瞳は年頃の少女のように喜色にいつもよりも輝いて見えることだろう。
一着だけが入っているにしては、大きな箱の中ワンピース、パニエ、ブラウスと取り出してもまだ中身があり替え用の同じデザインのものが三着と、それよりも厚手の生地で作られたものが三着。
そして、冬用のケープコートまで収められている。
赤といっても、明るすぎず落ち着いた色合いのそれもまた可愛らしくも機能性を考えられたデザインに仕上げられている。
一つ一つ丁寧に作られた作りと素材のよさは、とても贅沢な品々といえる。

「有難うございます…。このように豪華なものを、作っていただいて、とても、とても嬉しいです。」

かなり手の込んだ品は、彼の装備よりも値が張るのではないだろうかと思える。
しかし、それよりも彼が自分の事を想って、自分の為だけに作ってくれたというのが何よりも嬉しかった。
思わず声が、感情に震えるほどに。ぎゅっと、服を抱きしめるようにしながら傍らにいるアーヴァインを見上げ。

アーヴァイン > 「あぁ、初めてルークに似合うと選んだものだ。確りとした良いものを渡したかった」

きっと何を着せても、そのスタイルの良さから大体にあってしまうかもしれない。
それでは逆に面白みを失って覚えてしまったら悲しいことだ。
だから敢えて、存分に似合うものを目指すというハードルの高さを選んだわけだが、それが高く感じさせないほど、彼女の地の良さが感じさせられる。
言っておいでと見送ると、後ろ姿が不慣れな子供のように移り、その可愛らしさに思わず笑みが溢れる。

「第一印象はいいみたいだな…それと、その花覚えているか? 八重桜という花を入れてもらった、教養が有り、お淑やかな女性を指す花だそうだ。そして…他の桜より、遅れて咲く。今のルークみたいだと、思ってな」

グレー色で描かれている花は、よくよく見ると春先に見たあの桜の花と、花吹雪を散らせた小さくも可愛らしいものだ。
遅咲きの桜はこうして、見続ける男の前で月夜と共に咲き誇るのだろう。
静かで穏やかで、そして品があるお淑やかさ。
戦いに身をおくことも有り、淑女といいきるものではないが、慎ましさがまた、彼の望むお淑やかさなのだろう。

「……ルーク?」

デザインの説明をするも、何処か反応がない。
どうしたのやらと顔をよくよく見てみれば…嗚呼と納得して口角が上がる。
目は口以上に語るとはいったもので、爛々と喜びに満ちた表情に微笑みながら服を手に取っていく様子を眺める。
本当ならもう少し若い頃に覚えていただろう感情を、遅咲きに今噛みしめるさまは、彼女の女性らしさが一層芽生えて見えた。
良かったと安堵の笑みをこぼすと、服を抱きしめながら此方を見上げる彼女に緩く頭を振ると、よしよしと黒髪を撫でながら嬉しさに満ちる琥珀色を見つめる。

「俺もそれだけ喜んでもらえれば感激だ。ぜひ着た姿を見せてくれるか? そこの方に靴と靴下も入ってるから、それもな」

普段の着替えなら、羞恥を煽るために意地悪に眺めているところだろうが、今日のこれは、出来上がりを纏めてみてみたいのもあり、言われるまでもなくすっと、顔を背けてみないようにする。
彼が促した箱の底側には厚紙箱に収まった飾り程度にヒールが僅かに付いた黒のショートブーツと、口に白レースと黒リボンの飾りがついた白いニーソックスが何足か収まっている。
靴も爪先と踵から暗器の様に不可視の魔力刃を形成出来るような補佐装置が組み込まれ、踏み抜き用の刃も踵の底から形成できるようになっており、彼女の戦い方を考え尽くされている。
ソックスは他の服同様に対魔法、対物理加工が施されているが、何より太腿と裾の間に僅かに肌色が覗ける粋な仕上げとなっている。

ルーク > 「…っ…あ、はい。八重桜。春に見た花よりも花弁が多いのですね。花びらが散る様が描かれていて、綺麗な模様です…。」

じっと瞳を輝かせながら服に見入っていた視線が、名を呼ばれてはっとしたようにアーヴァインへと向けられる。
年頃の少女の年齢も、駒として過ぎ去っていったルークにとって身を飾るものを見て心躍るという経験は初めてのもの。
ちゃんと耳に入っていたグレーの色合いで描かれた模様の説明に、改めてワンピースへと視線を落とすと花弁が散る様と八重咲きの花が春に見た桜という花でありあの夜の事を思い出す。
今まさに、彼に与えられる陽の光と愛情によって遅咲きに咲き乱れるように開花していくルークのようだと、彼の選んでくれた模様。

「はい。」

服装に、このように心躍るとは思ってもみなかった。
決して今の服装を、嫌々着用していたわけでも、なかったが女性らしい服装をと、彼に望まれたから着用する。
彼が喜んでくれるから着用し続けると、どこかルークとしての意思の薄い動機から今の服装を受け入れていた。
しかし、彼がルークの為に作ってくれたこの服を今着てみたいと思った。
着た姿を、彼に見て欲しいとルークとしての意思が伴って強く想う。
髪を撫でながらの言葉に、頷きを返すと箱の底から厚紙の箱にはいったブーツとソックスを取り出す。
今まで履いていたようなロングブーツではなく、ショートブーツは先端と踵、底の部分に仕掛けがあるのが分かる。
ちらりと彼の方を振り返ると、着替える姿を見ないようにと顔を背けてくれている。
しゅるっと胸元のリボンを外し、ブラウスを脱ぐとその中に隠れている下着は、以前と同じ飾り気のないものだっただろう。
真新しいブラウスとワンピースへと袖を通し、ソックスと靴も履いて今まで着ていたものをきれいに畳む。

「あの、着替え終わりました。…如何でしょうか。」

すべての着替えが終わると、顔を背けている彼へと声を掛ける。
すらりとした長身と、スレンダーなラインを出しつつも、ふわりと広がるスカートとレースで飾られた袖がが甘い雰囲気を醸し出す。
ブーツに隠れることのなくなった脚線美を白のソックスが覆い、スカートとの合間にちらちらと肌色の境界線を作り上げ。
少し恥ずかしげにしながら、彼の前に佇み。

アーヴァイン > 言葉に遅れて反応する様も、それだけ服に感動を覚えていた証拠。
花の由来を伝えていきつつ、デザインについて問われた日の事を思い出す。
元々、桜は淡いピンクでという案を提示されたが、彼が敢えてグレーに変えたというのがある。
今日まで見てきた、はっきりとした可愛らしい色使いだと少々落ち着かない様子も分かっていたからで。
心躍る様子のまま返事が変えれば、此方から背中を向けていく。
衣擦れの音と共に期待は膨らむばかり。
何となくの想像はしてきたつもりだが、それでもどれだけ似合うかなんて、実物を見なければわからないのだから。

「あぁ、では……」

振り返り、彼女の姿を確かめる。
その瞬間に硬直したように体が固まり、軽く目を見開いて驚きつつ、じぃっとその姿に見入っていく。
彼女の体にある細くしなやかな曲線美を残しつつ、可愛らしい広がりと、大人しい色使いの飾り方。
上から下へ、何度もなぞるように視線が流れながら、ニヤけるように顔が歪みそうになると、思わず口元に手を当てて、少しだけ視線をそらし、すぐに戻して微笑みに変わる。

「とても似合ってる。変にニヤけたくなるほどだ……正に、月夜の姫君だな」

何より、少し恥じらいを見せる仕草もまた、彼の心を何度擽ったか。
満面の笑みで立ち上がると、彼女へと近付いていき、細い体をギュッと抱きしめようとする。

ルーク > 「………如何、でしょうか。」

声をかけたのに、彼が振り返りその瞬間に硬直したように目を見開いたまま動きを止めてしまった。
自分に似合っているかどうか、全体像が見えない事と女性らしいものを着慣れない為に自分ではわからない。
けれど、桜を本来のピンク色ではなくグレーで描かれたことによって服は甘さを抑え気味の色合いになり、可愛らしい色合いに慣れないルークにも受け入れやすいようになっている。
上から下へと、何度も彼の視線がなぞるように流れるのに恥ずかしさとどうだろうかと不安が強くなる。

「……姫君だなどと、とんでもないです。ですが、褒めていただけて嬉しい、です。」

月夜の姫君と評されるのに、首を振るが似合っていると言ってもらえるのにはにかむように淡い笑みを浮かべ。
ソファから立ち上がる、ぎゅっと抱きしめられるのに吐息をこぼすとその背に手を回してきゅっと自らも抱きついて。

アーヴァイン > 「俺にとっては…いや、誰が見てもそう言うだろう。誰がみても、ルークを綺麗だと、可愛いと言ってくれる」

微笑み方もまだ不慣れながらも、そのぎこちなさが、儚い雰囲気を感じさせる。
不思議なことに男は、脆く弱い女性にほど庇護欲と共に、独占欲から溢れる嗜虐心に心を焼かれるもの。
まさしく彼女の姿は、どんな男性にも、貴族にも手を伸ばしたくなる夜の月と見える。
感動いっぱいに弾む声で語れば、彼女の腕が背中に回り、一層体が密着する。
もっと一緒に、もっとその姿を見たいと、今宵はずっと彼女へ視線が釘付けになるのだろう。
一緒に風呂へ入る時には、それを脱がせてしまうのが惜しく思えるほどの夜に。

ご案内:「王都マグメール 王城」からアーヴァインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からルークさんが去りました。