2017/05/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 夜の王城外周」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
「──異常は?」
件の痛手を負って以降、しばし休暇を取らされていたがようやく王城の警邏へと復帰
城内に侵入しようとする魔物、魔族の討滅は勿論、
密かに人間に成りすまし城内で暗躍する魔族の炙り出し
対魔族に特化した第七師団の中で副将サロメの隊はその任務へと就いていた
部下からの返答に異常はなし
「侵入がないのか、それともこの程度の結界には痕跡も残さないのか…」
顎に手をあて、考える
■サロメ >
侵入がないのは良いことだ
王族貴族に化けた魔族もある程度は炙り出し、仕留めている
城内に危険が入り込んでいないのならそれでいい
「(いや、網にかからない者もいるだろう──)」
一番厄介なのは外で魔族に接触し、唆された位の高い人間
若しくは、最初から邪悪な人間だ
後者には自分も色々と痛い目を見ている
どうしても騎士という都合上、立場として逆らえない部分が在る
「…新しい法式の結界を練るよう、術士達に通達を。
今の網は抜けられている可能性もある」
部下にそう伝えて先に行かせると、城壁へと剣を立てかけ一息つく
ご案内:「王都マグメール 夜の王城外周」にホウセンさんが現れました。
■サロメ >
「………」
独りになると、最近考え込むことが増えた
王国のこと、貴族達のこと、自分たちの立場のこと…
これから、のこと
師団長は私欲も含めて、吸血城落としに躍起だ
勿論私欲を満たす以外の意味も在る
あの吸血姫は危険だと、自分も身をもって知った
■ホウセン > ”それは誠に厄介な事じゃのぅ。”
音声というには、今一つ鼓膜を揺らしているのか心許ない、何かの”声”
煌々と明かりの点る王城内は兎も角、城壁の外側となれば、松明でも僅かな暗がりは駆逐しきれない。
”声”がしたのは、そんな狭く小さな闇から。
「所用ついでに顔を出してみたら、嗅いだ匂いがしてのぅ。
折角じゃから、挨拶がてらに顔を見せてみたという次第じゃ。」
すっと、小さな闇から、小さなシルエットが歩み出る。
右手には扇子。
なだらかななで肩をポンポンと叩きつつ、気安く声をかけてみる。
■サロメ >
「貴殿は……」
無論、その声には聞き覚えがあった
……色々と、不都合も多い声だ
「こんな夜更けに王城へふらりと現れるなど、
不審だとしょっぴかれても文句は言えないぞ」
小さくため息をつきながら目線だけをそちらへと向ける
■ホウセン > 王国ではあまり見かけられぬ、黒い髪と黒い瞳。
異国仕立ての衣服に袖を通した子供という、王城に似つかわしくない要素が鏤められた存在。
女騎士の指摘はもっともだ。
「呵々!忠告痛み入る。
じゃが、牢に繋ごうという場合は、ハインツ伯とお主のところの首領に取り次いでもらおうぞ。」
片方は、王国の軍事面、特に兵站部門で権威を振るう有力貴族。
片方は言わずもがな。
その辺りからの伝で、この場にいるのだと匂わせる。
「然し、新しい法式というても、小手先で弄るだけで如何にかなるものかのぅ?」
主にすり抜ける側からの素朴な疑問を零しつつ、断りも無く歩み寄る。
まだ、周囲に彼女の部下がいたのなら奇妙な取り合わせに首を捻られるだろうが、果たして。
■サロメ >
「ハインツ伯と…オーギュスト、将軍に?」
怪訝な目線へと変わるが、
口先だけで名前を出されるような二人でもない
「──無論、時間稼ぎにしかならないな。
劇的な効果を期待するものを生み出すには、時間もかかるものだ」
続いた質問、というよりは問いかけにはそう答える
周囲にいた彼女の部下は命じられたままにこの場を離れており、彼女は一人だ
「──それで、こんなところで何をしているんだ?」
■ホウセン > 重鎮二人の名に、コクンと頷き持っていた扇子を帯に挟んでは、代わりに袂から煙管入れを取り出す。
慣れた手付きで、黒漆と銀の装飾が施されたそれに煙草を詰め、燐寸で火を点ける。
一口目を吸い込むのに合わせ、赤々とした光がほんのりと顔を照らす。
「なれば、笊の防壁を一枚。その奥に一般的な密度の防壁を一枚展開するが良い。
それだけでも、間抜けは引っかかり易くなるというものじゃ。」
比較的ローコストで済む改善案をサラリと口にした後、問いに答える前にもう一服。
ふぅっと吐き出した煙は、拡散して見えなくなったのか、闇に紛れて見えなくなったのか。
「…中間報告という奴じゃよ。詳しくは聞いてくれるな。
ま、お主らにとっても、害になるようなものでもない。信じるも信じぬも、お主の勝手じゃがな。
して、お主の方は、”アレ”から変わりないかのぅ?」
娼館を巡っての人間探し。果たして成果は上がったのかと問うてみる。
■サロメ >
「──成程な。
手間はかかるが安価で効果は期待できそうだ」
確かに、と頷いてみせた
こういったことに効果的な提案をするあたり、王城に害する者ではない、のだろう
おそらくだが
「こんな夜更けに来ても報告などできないぞ。
……いや、収穫はないよ。古狸は姿を隠すのも得意らしい」
あれから娼館を虱潰したものの、目的の悪徳貴族は見つからなかった
騎士達の考える操作手順など熟知しているのかもしれない
■ホウセン > 妖仙が思ったよりもすんなりと提案が受け入れられた事に、半瞬の戸惑い。
確かに効力はあろうが、真っ直ぐに受け止めすぎではないかと、生真面目さに対して不安になったのだ。
表面に浮かぶ反応は、女の顔をマジマジと凝視してしまう程度で済みはするけれど。
コホン、と咳払い。
「それはそれ。重要性と緊急性の程度次第じゃよ。
ま、実際は書面を届ければ事は済むのじゃが、人の手に委ねる機会を極力減らすよう言われておるでのぅ。」
お陰で、自分が配達人の真似事までせねばならぬと、シニカルな笑いを浮かべて薄い肩を竦めた。
「なるほど。今の防壁と同じく、少しばかり見方の転換が必要なのやも知れぬのぅ。
何しろお主は馬鹿真面目故、色々と手の内を読まれておるのかも知れぬ。
あれだけ身体を張ったのに、このまま取り逃がすのは口惜しかろう。」
捜索の為に女騎士に理不尽を押し付けた加害者が、口を拭って同情的な物言いをする。
極々自然体で、誹謗ともからかいとも取れる、性格に対する論評まで添えて。
■サロメ >
どこまで信用していいものか、
どこか掴みどころのない相手は苦手なのか、眉を顰める
「頭が固いのは自覚しているが、
……まぁ、このまま逃すつもりなどはないさ」
言われるまでもなく多角的に追い詰める布陣も練り上げていかねばならない
にしても馬鹿真面目とは、将軍のような言葉を選ぶものだと肩を竦めた
「事情はわかった。
が、伯や将軍に用ならば同行させてもらうぞ」
疑う、というほどでもないが…どこか信がおけない相手のような気がしてならない
■ホウセン > 眉目に刻まれた皺から、女の胸中が何となく分かってしまう。
ほら、言わぬ事ではないと言いたげに、アルカイックスマイル。
「む。そうくるか。
お主の職責は分からんでもない故、強情を張るつもりはありゃせんが…」
自分が動いている事を知っている人間は、極力増やしたくないという事情もある。
あるのだが、この女がおいそれと融通を利かせてくれる未来図というのも思い描けない。
軽い挨拶のつもりで、ケチがついてしまった。挽回する手立ては無いかと頭を働かせる。
「同行はよしとするが、お主だけに限る。
事が事じゃから、知る人間は極力少ない方が良いのでのぅ。」
諦めたように、深々と煙を吐きながら、騎士の案内に身を任せるつもりで。
向う先は件の伯爵の執務室。
女騎士と小童という、一見奇異な取り合わせは王城の中に消えて――
ご案内:「王都マグメール 夜の王城外周」からホウセンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 夜の王城外周」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にルークさんが現れました。
■ルーク > 王城内の廊下、王族の私室のある領域へと足音も立てずに歩いていく。いつものように、影に溶け込むように気配を全く朝せずというわけにはいかず、カラカラとワゴンの車輪が回る音が小さく響いている。
先日と同じような箔押しされた立派な表紙のついた、薄い冊子が何冊も積み重ねられているそれを私室のほうへと運ぶ。
『おぉ、そこの者ちょっと待たれぃ。そなた、アーヴァイン・グラウ・カルネテル殿下の従者であろう。』
「…………。」
後ろから掛けられた声に無言でルークが振り向くと、でっぷりと溜め込んだ脂肪を揺らせながら、上質な服に身を包んだ男が数人の従者らしき者を引き連れてルークの後を追ってきた。
面倒な予感しかしない、と主はそばにおらずに従者であるルークに声をかけてくる男に、ルークは立ち止まると視線をむける。
小走りに駆けるだけで、脂肪で重い運動不足の体ははぁはぁと息切れを起こしている。
『いやはや、何分大事な話があったものでな。従者殿に会えたのは僥倖といえよう。』
近づけば、静かに頭を下げて礼を取るルークに男は息を整えようとしながら話しかける。
その言葉の端々から下心が透けて見えるのは気のせいではないだろう。
「主人はまだ公務中の為、この場におりませんが何か御用でしたでしょうか。」
感情の一切篭らない声が、貴族の男へと慇懃に向けられると男は未だ息が荒い中うんうんと大きく頷く。
『いやなに、アーヴァイン殿下も王族のご養子になられて以降忙しくされているようじゃないか。慣れぬ王侯貴族のしきたりなぞにも随分と気苦労も多いのではないかと思ってね。』
「…………。」
『そこでだ。私は考えたのだよ。そのような慣れぬ環境、慣れぬ立場の中何が必要かと!何かわかるかね?君。』
「……いいえ。」
回りくどく話を進めていく男に表情一つ変えず、礼を解いたルークは男の言葉に返事をする。
確かこの男、ハーグバルク伯爵だったか。夜会にもよく顔を出して笑い声を響かせている脂肪の塊の身分を思い出す。
『それはね、同じ趣味をもつ友人なのだよ。友人同士で語り合い趣味の世界を広げお互いに楽しむ。』
にこにこと愛想笑いを浮かべながら、伯爵はぐっと手に持っていた鎖を引いた。
じゃらりと鎖同士が擦れる高い金属音を響かせて、伯爵の後ろにいた人物を引き寄せる。
その人物は白のドレスに白のヴェールを被っていた。
ふわりと軽いベールが引き寄せられて動きで落ちると、そこから表れるのは真っ白い長い髪と、宝石のようなネオンブルーの瞳。
そして、何よりも種族を偽れない頭にある猫の耳。
――ミレー族。
この国の奴隷階級の種族であり、労働力の他に見目麗しいものは性の奴隷として扱われる。
貴族の間では、瞳の色や髪の色、美しさなどの品評会を開くような者もいるらしい。
「…………。」
一段、ルークのもつ空気の温度が下がる。
その事に気づかぬままに、伯爵はどこでどうやって手に入れただのこの瞳の色は滅多にないだのと奴隷の体をまさぐりながら自慢を繰り返す。
■ルーク > 『ほれ、このひきしまったしなやかな体、毛並み、なによりこの瞳は宝石よりも美しいと思わんかね?』
「…………。」
男に体をまさぐられるのに、奴隷は甘く声をあげて身をくねらせる。
おぉかわゆいのう、かわゆぃのうと猫の子を愛でるかのようにけれど卑猥に伯爵の手は蠢いていく。
『同じ趣味』とこの男は言ったのだ。
不快なものがルークの中に溢れてくる。
それは、ドラフィンフィートやcolorloessにいるミレー族の事を指して言っているのだろう。
名目上はそこにいるミレー族たちは、彼の奴隷という事になっている。
しかし――
「何を勘違いされているかは存じませんが、主にそのような趣味はございません。」
ミレー族の奴隷を目の前でまさぐる伯爵へむけて、感情の篭らない声は告げる。
『同じ趣味』のアーヴァインへ『趣味で使える奴隷』の『贈り物』をすることで親密な関係を作ろうという魂胆。
彼らから見れば、多数のミレー族の奴隷を所有するという事実はこうやって下世話な取引の格好の材料といったところだろう。
しかし、事実は彼らの認識とはかなり異なる。
奴隷制度のある国で、解放したとしても奴隷刈りにつかまるなりなんなりして別の者の奴隷になるだけだ。
そうさせないために、彼らを奴隷という立場で保護している。
「いやいや隠さなくとも良い。殿下の持っていられるミレー族の娼館もなかなかにいいと噂できいておる。祟神などと呼ばれ恐れられてはいても、結局は殿下もお人である事には変わりない。
たまる憂さもあろうというもの。ならば、このような美しい奴隷を好きなように嬲っていただき憂さをはらしてもいただこうと思ってな。
いうなれば、これは神に捧げる供物だ。」
人が神に供物を捧げる理由。
怒りを鎮めてもらうため、何か願い事があるため――様々な理由があるが、基本的には己の利にするため。
少なくとも、この男が言った供物はそういった類のものだ。
神への敬意も何もない、『同じ趣味の友人として』神を自分と同じ場所へと引きずり下ろそうという意識。
「…………。」
一瞬の出来事だった。
廊下に灯るロウソクのあかりが微かに揺らめいた次の瞬間には、ルークの腕輪に仕込まれた黒曜石の飾りが鋭利な刃物となって伯爵の喉元に押し付けられていた。
■ルーク > 『な――な、ななな、何をする!!貴様、従者の分際で、伯爵であるこの私に刃を向けるなど!!』
首筋に突きつけられた黒曜石の冷たい感触に、ピンを張り詰めた沈黙の後に伯爵が唾を飛ばしながら悲鳴じみて叫ぶ。
伯爵側の従者が剣をぬこうと構えるが、向けられた感情のない琥珀の瞳に宿る殺気に気圧されている。
たとえ剣を抜いて応戦したとしても、それよりも早く喉元の刃が伯爵の脂肪の厚い喉を掻ききるだろう。
「勘違いしておいでのようですので、訂正を。先ほど申し上げたとおり、主にそのような下衆な趣味はございません。
そして、供物を捧げたからといって貴方様の立場があなた様の思い描くように覚えよくなるという事もないでしょう。
神とは、平等であり不平等であるもの。人にとっての理不尽が神にとっての慈悲であることもあります。
それだけ、人と神とは異なる存在であることをお心に留めて置かれる方がよろしいでしょう。」
じっと見つめる琥珀の瞳には、感情という感情が一切映らず声には抑揚というものがない。
淡々と伯爵に刃を突きつけながら言葉を発する様は、瞳に琥珀を埋め込まれた人形がしゃべっているようだった。
「――そして、従者の分際でとおっしゃいましたが、あなた様には神自身が手を下す必要などないと、判断いたしました。
神には御使いが仕え、神の意思を民へと伝え民の願いを神へと捧げます。
そして、神の刃を振り下ろすのもまた御使いの役目にございます。」
神様を甘くみた罰、神を貶めした咎。
それらの代償は命。
突きつけられる冷たい黒曜石が、向けられる突き刺すような殺気が伯爵にそれを理解させる。
ご案内:「王都マグメール 王城」にカルニーツォさんが現れました。
■カルニーツォ > 「ま、まさかこの私の命を...うっ...?」
伯爵が脂汗を垂らしながら情けのない声で抗議の声を上げたところに、甘い香りが漂ってくる。
「き、貴様、何者だ!お、おのれ、殿下の従者の姿を騙るとは、この化け物め!だ、だれか、曲者だ!出会えっ!出会えっ!」
伯爵が狼狽し、さらに声を上げようとすると、そのまま気を失い、その場に崩れ落ちる。となりにいた奴隷も、まるで化け物を見るような恐怖に満ちた目でルークを見ていたが、ほとんど同時にその場に崩れ落ちる。
「しかし、私がいうのもなんですが、もう少し、この王城の警備体制は見直したほうがよろしくないですか?」
伯爵の背後の闇から音もなく黒づくめの男が、紫色の甘い香りを放つ煙を身に纏って姿を現す。ニッコリと女に笑いかけ、帽子を取ると、胸に当てて深々と頭を下げる。
「ごきげんよう、お嬢さん。いや、その姿だと坊ちゃんのほうがよろしいんですかね?」
クスクスと喉の奥で笑うと、つま先で床に崩れ落ちている伯爵のタプタプとした腹を蹴る。
「しかし、この男には感謝していただきたいですね。私が幻覚を見せたおかげで命拾いしたのですから」
そう言いながら、女に向けてイタズラっぽい笑みを浮かべる
「命拾いしたのはお互い様ですかね?
■ルーク > ふわりと鼻腔の中へと入ってくる甘い香り。
それに覚えがあった。考えるよりも先に、呼吸をとめ伯爵に刃を向けていない方の袖口で口元を覆う。
命の危機に狼狽していた伯爵が、急に化物をみるかのような怯えた表情になりわめき散らす。
恐らくこの香りで幻覚でもみたのだろう。
目の前にどさりと意識をなくして崩れ落ちると、崩れ落ちた伯爵の後ろから黒ずくめの男の姿が浮かび上がる。
「――……。」
甘い香りを近くした瞬間に思い出した不快感は、男を視認してぶわりと全身に広がる。
全身に這った男の手の感触が蘇り鳥肌がたつ。
「………何をしに来た。」
抱いたそれらの不快感や感覚を押し隠すように、殺気をにじませながら目の前に立つ黒ずくめを見据える。
再び暗殺にきたのなら、わざわざここで姿を晒す意図が分からない。
抑揚のない声でルークは黒ずくめの男へと問いかける。
■カルニーツォ > 「何しに?クスクス...またあなたと遊ばせていただければと思いましてね、ルークさん?」
ニコニコと笑いながら、伯爵を踏みつけて、娘へと近づいていく。娘とは対照的に、まるで仲の良い知り合いを見つけて、世間話をしに近づくように、まったく警戒した様子もなく近づいていく。
「そうそう、この間いただいたもので、お守りを作らせていただきましたよ。ほら、なかなか良い出来でしょう?」
懐から取り出したの金糸銀糸で刺繍されたきれいな布で作られた小袋。それを自慢するように振ってみせる
「なんでも女性のアソコの毛は弾よけになると言うジンクスがあるそうでしてね。お守りにさせていただいたんですよ?」
相手の神経を逆なでするようにさらに辱めの言葉を継ぎ.
「あなたがここでこの男を殺したら、あなたの主までまずいことになったんです。それを助けた差し上げたんですから、少しくらいお礼をしていただいてもバチは当たらないのでは?」
ニコニコしながら問いかけて
■ルーク > 「あなたのような者と遊んでいるほど、私は暇ではない。」
ニコニコとした笑みが神経を逆なでする。じわりと背中に浮かぶ冷や汗が何故浮かぶのかなんて分からない。
――分かりたくもない。
親しい友人に出会ったかのようににこやかに歩を進め、近づいて来る分ルークは後ろへと下がり距離を保つ。
「……?…―――っ」
懐から取り出して、もったいぶりながら見せる言葉に何のことだかわからなかったが、言葉がつつけばあの夜薬で子供のようにされてしまった股座のことと結びついて、眉根に皺が刻まれる。
羞恥よりも吐き気がしそうなほどの不快感が襲ってくる。
「祟り神を愚弄したのだから、罰が下って当然だ。むしろ私の仕事の邪魔をしないでもらいたい。」
恩着せがましい男の言葉に、淡々と返しながら冷たい琥珀の瞳が男をじっと見据えながら伯爵に向けていた刃を窓へと投げつける。
ガシャンと窓ガラスが割れる音とともに、刃はルークの手元へと戻り留め金が破壊された窓が開いて外から風を呼び込み甘い匂いを押し流していく。
■カルニーツォ > 「冷たいお言葉ですねぇ?約束通りあの場を引いたでしょう?...そのおかげで、お役御免になってしまいましたがね?」
娘の言葉をまるで意に介した様子もなく、大げさに肩をすくめつつも話を続ける。
「本当に潔癖で真面目なんですねぇ...もう少し気楽に楽しんだらいかがですか?あなたの主に対する態度は単なる忠誠以上のものも感じますが?」
娘の表情を見るとさらに楽しげに言葉を継ぐ。その言葉を途切れさえたのは頬をかすめた鋭い刃。うっすらと赤い線を頬につけると、指先で拭い、ついた血をぺろりと舐める
「なるほど。換気を良くしてこの煙を消そうというのですか?確かに普通の煙でしたら、有効な方策ですね。普通の煙でしたらね...
にっこり笑うと懐から硝子製の管を二つ取り出す。蓋を開けて中の液体を混ぜ合わせると、モクモクと薄紫の煙が湧き出てくる。その煙はまるで生きた蛇のように、地を這い、娘の足下から身体に巻き付くように上っていく
■ルーク > 「………お役御免になったのなら、このような所に来ずに酒場にでもいけばいいものを。」
男の言葉から、この男が今は暗殺者ではないことを知る。
一つの脅威がなくなった――とはいえ、やることは変わらない。
元暗殺者である男を捉え、第零師団に引き渡す。そこで依頼者などの情報を吐かせなければならない。
慢心か…仕事でもないのに再びこの城へと戻ってきたのは、チャンスといえる。
二度と会いたくなかったと思うのは、個人の下らない願望だ。
「…余計な世話だ。当然だろう我が主は、私にとっては神にも等しい。」
祟神と、世間で主が認識されている畏怖されるべき神の事ではもちろんない。
先代の祟り神と呼ばれていたルーアッハ・グラウ・カルネテルはルークにとって創造神であった。ルークを零から作り出した絶対的な存在。
その創造神に作られた通りに駒としての生を生きてきたルークを掬い上げた『解放者』
人の暖かさと、心というものを与えてくれた神様が今の主だと、ルークは思っている。
その人の為ならば、その人の脅威を排除するためならば楽しみなど必要ない。
「…風は舞う――」
二つの硝子管の中身を混ぜ合わせれば濃い煙が湧き出して、蛇のようにルークの足元へと迫ってくる。
魔力を込めた指先で風を司る文字を空間に書き記すと旋風が生まれ煙の蛇をまきとっていくか。
「同じような手には掛からない。」
男に向けて無表情の中、最大の警戒と敵意をみせる。
背中を伝い落ちる冷たい汗。思考を邪魔するノイズが何に起因するものなのかあえて考えないように蓋をしながら。