2017/03/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 練兵場」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 「本日、皆さんに弩の指南をするレナーテです。よろしくお願いします」

昼過ぎの王城の一角、兵士達が王国を守るべく腕を磨く練兵場での事だ。
生真面目という言葉が滲み出るような、飾り気のない在り来りな挨拶とともに頭を軽く下げると、薄茶と焦げ茶の入り混じった髪がサラリと揺れる。
顔を上げれば、変わらぬ真面目な表情で集められた兵士達を一瞥するも、彼らの様子は何処か緩んでいた。
精密射撃の訓練と言われて集められたところに居たのは、年端もいかぬ少女であり、格好も戦うよりは着飾ったような格好にも見える。
どこかの貴族が道楽でやらせているのだろうと、誰かが呟くも、兵士達は愉快そうに小さくせせら笑う。
それに対し、特に怒りを露わにするわけでもなく、小さな溜息を溢しながらがっくりと肩を落とすと、疲れたような視線で彼らを見渡す。

「魔族の国には私ぐらいの年頃や、見た目の魔族は多くいます。あなた方は、そんな存在を前にしても、ヘラヘラと笑えるのですか?」

落胆、ある意味叱咤や侮蔑よりも癪に障る反応かもしれない。
ただの小娘程度にしか思っていない相手にされるには、苛立ちを覚えるだろう。
問題は、本人は本気でそう思って溢しているところもあり、彼らの憤る気配に気付くのが少し遅い。
口々に溢れる文句に、慌てふためくことはなく、盛大に溜息をこぼすと、分かりましたと小さくつぶやき、胸元に抱えていた使い込まれた弩を彼らへ突き出す。

「指南するだけの腕前を見せれば文句はありませんね? 早速始めましょう」

やれるもんならやってみろ、そんな声ばかりが飛び交う中、よくも前の指南役は仕事がこなせたものだと思いつつ、藁で作られた的の並ぶエリアへゾロゾロと移動していく。