2017/03/03 のログ
サロメ >  
「───…ん」

ノックと、続いて聞こえてきた声に少し身を起こす
少しばかり意識がぼんやりとしていた

「開いている。
 入って構わないぞ」

ソファから少し声を張り上げて応答し、ゆっくりと腰をあげる
客人が来るのに座ってはいられない

カリギラ > 「では失礼します」

入室の許可が出たので扉を開き部屋の中へ
中に居る女将軍と説明された女性は痛々しい傷がそこかしこに
装備にも血が滲んでいる
想像よりも華奢な人だなと思いつつ空いている机の上に薬と包帯を広げ始め

「私はカリギラと申します。
今は王城の便利屋をしていまして…と、サロメ様の傷の手当と装備の洗浄をしに参りました」

まずは傷の手当からですね、と準備に入る
治療魔法は覚えているのは中の下辺り
完治は出来ないので最低限痛みを抑え後は包帯と薬を変えればいいだろう

サロメ >  
「便利屋?
 そうか、部下が手配したのか、済まないな…助かる」

治療に来たのだとわかれば、力が抜ける
少しふらりとして、倒れるようにソファに座り込んだ

「随分と準備がいいな、さすが便利屋といったところか」

カリギラ > 「こういう所も便利屋の所以ですから」

ははは…と苦笑い
最初に城に来た時は便利屋ではなく個人的な護衛だった
しかし色々と手伝っている内に今ではこの始末

「…お言葉ですが、治療院に行かれた方が良い気がするのですが?」

いざ包帯を外せば常人であれば立つのも一苦労なのが分かる
流石は将軍に選ばれるだけはあると言うべきか…無鉄砲と言うべきか
打撲などの痛みを治療し薬を塗り包帯を新しいものへ
傷が腐ったらどうするつもりだこの人は

「手当はこんな物ですかね…では、装備や衣服を外してください
血の付いたものだけで結構ですので」

汚れならまだしも血が付いているのは良くない
それだけでも綺麗にしておきたいが…衣服の修復も必要に見える

サロメ >  
「だろうな、生きている事が不思議なくらいだ。
 ──急ぎ将軍に伝えることがあってな、少し人伝が憚られる内容なんだ」

だからといって満身創痍で王城まで来るほうも来るほうではあるが

「……そうだな。執務室を汚すのもしのびない」

そう言って破れた衣服を裂くようにして剥ぐ
そこから除く肌もまた傷付き、巻かれた包帯から血が滲む

カリギラ > 「伝える前に何かあれば意味ないですよ」

だからと言って満身創痍が過ぎる
道で転んでショックでお亡くなりになってもおかしくないのに
衣服の下…割と際どい場所にも傷を負っているがそこは女性治癒師にお任せしよう

「そうですし血濡れの装備で居続けるのは周りの人にも悪いですよ」

受け取った衣服は脱ぐ前よりも傷付いている…ちまちまと修復をかけつつまずは血の汚れを落とす
魔術のおかげですぐに落とせるし血の落とし方は体が覚えている
何なら目を瞑っても余裕だ

「…えっと、サロメ様。そこの包帯はどうしましょう?
自分で変えられるのでしたらそれが一番なんですが…」

胸に近かったり今度は下腹部の更に下だったりと血の滲む個所を目で示す
セクハラを働いたと言われて処断はされたくないが血が今も滲んでいるのは見ていてこっちが痛くなる
こんな事なら誰か空いている治癒師を探して連れてくればよかった

サロメ >  
「ああ、済まないな。自分で変えよう。
 殿方に頼むようなことでもない」

傷の手当などで慣れているのか、特に肌の露出を気にする様子はない

「伝える前に事切れる可能性があっても、急ぐべき話だったんだ。仕方がない」

遅ければどの道意味がない、という
命を別勘定にした思考の持ち主とも思える言葉を続ける

カリギラ > 「お願いします」

これで一安心
痛みが治まったのか彼女の顔色もましにはなった
そして安心すれば気になるのが…命に代えても伝えなければいけない事

「そこまで重要な案件、ですか…」

ふと考える
第七師団副将軍という立場の彼女の命よりも重い内容
そして手練れで知られる第七師団の副将をここまで追いつめる敵が存在した…

ふむ……

「化け物みたいな魔族でも現れましたか?」

笑い半分に尋ねながら衣服を修復する
半分ほどきれいな状態に近付いてあともう少しだ

サロメ >  
「化物のような魔族などザラにいるさ。
 魔王を名乗る者と斬りあったこともある」

苦笑を返しながらそう呟く

対魔族特化の騎士団がそういえば大体察しはつくのだろうが

「───少し大きなコトになるかもしえない。
 特に、遠征を控えている今ではな」

カリギラ > 「…ここの方達は人外ばかりというのはあながち噂だけという訳でもなさそうですね?」

魔王と斬り合ったと聞こえたが何を言っているんだろう?
やはり彼女の前で軽率な行動は控えるべきらしい

そして、そんな彼女でも命を落とす様な相手が居た事を思案する

「大きなコト、ですか…なら尚更ご自愛くださいね
貴女が命を落とせばそれだけで国力が下がるのですから」

かつて起きた第七師団将軍オーギュスト・ゴダンの失踪
生還したからよかったもののそうでなければあのままこの国は魔族や他国に滅ぼされるか自壊していてもおかしくなかった

なんて危うい国だ…真剣に国外逃亡も視野に入れなければいけないかもしれない

サロメ >  
「単純に戦い方を知っているだけの話さ。
 それに…タナールを超えた先なら話は違ったろうしな」

ようやく包帯の交換を終えて一息
治癒のおかげで大分顔色もよくなっただろうか

「そうだな、死ぬつもりだったわけだはないんだが」

少しばかりその目を伏せる

カリギラ > 「蟻一匹ではどれだけ頑張っても像の相手にはなれませんよ」

それだけの地力が無ければ相手にもならない
魔王と戦える人間、どんな宝よりも今の国には価値がある

「責めるつもりはありません。
ただ自分の命の価値を軽く見るのはやめた方が良いかと」

命を刈り取ってきた奴が何を言うのか
そう心の中で自嘲する。けれども今彼女を失う訳にはいかない
出来るだけ長く戦って可能なら相手を倒してもらわなければ困る
それだけの力が有るのだから…

「では、これをどうぞ。苦労しましたが綺麗に直りましたよ」

汚れの無くなった衣服を手渡す

サロメ >  
「やれやれ、窘められてしまった。
 死ぬつもりはなかったと言ったじゃあないか」

肩を竦めてみせる

「ああ、すまないな。助かったよ。
 ──礼は手持ちから出させてもらうよ」

さすがにこの代金を師団に請求させるわけにもいかない

カリギラ > 「生きて帰るつもりだったと言ってもらえれば私もここまで言いませんよ」

同じ様に肩を竦めて

「構いませんよ、包帯や薬は城からの補給品ですしね
便利屋に一々チップを渡すのは面倒でしょう?」

給料はきちんと頂いてるのでなにも文句はない
掃除用具やその他の備品も申請すれば貰えるので後は自分の労力だけ
手軽に頼める便利屋さん、その立ち位置を目指しているので礼など不要

「それに面白いお話しも聞けましたしね。便利屋万歳ですよ」

ここで聞けた情報に比べれば多少の金銭なんて惜しくもない
むしろ自腹を切ってでも聞きたい話しがここにはゴロゴロ転がっている

サロメ >  
「ならこれは口止め料だ。あまり口外はしないでくれると助かる」

そう言うと懐から小さな袋を取り出して手渡す
重いというほどでもないが、中に硬貨が入っていることがわかるだろう

「さて、よくしてもらってすまないが先を急ぐ。
 私は将軍を探し歩くとするよ」

先程よりもいくらほども身体の軽い様子で立ち上がる

カリギラ > 「っと…はは、元より口外なんてしませんよ」

自分が生き残るために利用するだけ
少なくない口止め料を渡されたのは誤算だったが

「えぇ、私もこの後は掃除が待っていますので
ではサロメ様、お気をつけて」

裾の中へ道具をしまい一礼
部屋の外へ出ていきその足音は遠ざかっていく

ご案内:「王都マグメール 王城」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からカリギラさんが去りました。