2016/12/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 地下」にジャークさんが現れました。
ジャーク > マグメールも冷ややかな風が吹く折。
優雅なる貴族、彼は寒い事が嫌いである。しかし熱い事も嫌いであった。
そんな身勝手な彼は、独りでにこの季節に憤り、
鬱憤を溜めながら漸くそれを晴らす暇を見出した。

「……特に理由もなく、しかし派手な拷問でもしたいな。」

そうして思い立てば、ただただそれだけの勝手な理由にて、
王城の悪い噂の立つ地下の牢獄へとずかずか向かって、今に至る。
自分の悪趣味に大層に武装した兵士まで動員させて、至れり尽くせりの状態で。

簡素ながら成程、捕えた者を逃がさぬように通気性は最悪だ。
鉄の檻に魔導の扉、それから鞭から始まり股縄だのなんだのとありとある拷問具に、危なげな薬が置かれる棚。冷たい石造りの床。
ただの牢と言うにはそれなりの広さがある。それ故に色々な物が配備されている様だ。
この男に加え、伴った衛兵が入ってもまだまだスペースがある。
そんな中で、この悪人顔が用意させて座った椅子は、まるでVIP席とでも言いたげに嫌味な程豪華である。
ここから愉快に拷問を眺めようという算段である。

「ああ、キミ達……適当に高貴な女でも攫って…連れて来たまえ。
姫でも貴族の娘でも、なんなら魔族でも構わん。…ほら、小遣いをやるから。」

金使いも人使いも荒く、そうして伴った衛兵達の何人かに適当に貨幣をばら撒きながら、
ゆったりとふっかふかの椅子の背凭れで伸びをして。

ご案内:「王都マグメール 王城 地下」にクリスティアさんが現れました。
クリスティア > 偶々、市井にお忍びで遊びに出ていた姫君にばったり出くわしたこと。それが全てのきっかけだった。
その後は可愛らしい姫君の我儘に付き合わされ、護衛に、遊び相手にと大忙しの一日を送る羽目になって。
そして、全ての締めくくりとして姫君を王城へと送ってきたのが今し方のこと。

「うぅ……王様に謁見、流石に緊張したなぁ。
 でも、うん。お陰で当分食べるのに困らないけれど」

特別の計らいで謁見を許され、平伏しながらお言葉を賜り、そして後の報酬を約束されての帰路。
刻限は夜、既に日が沈んだ後――一日中付き合わされて、少女はすっかり疲れていた。
溜息をつき、城下町の夜景に視線を向ける。ちらほらとついた明かりが、星空を思わせるものだ。
こんな光景が見られるのならば、我儘に付き合った甲斐もある、などと少しだけ感慨に耽る。
だからだろうか、気が緩んでいた少女は、忍び寄る衛兵の魔の手に気づかなかった。
後ろから肉薄され、しがみ付かれると同時に口元に布を当てられる。
むぐ、と声を出そうとするが、しかし呼吸をすればするほど甘い匂いに頭が痺れて、やがて意識が急落。
全身を弛緩させた少女は、そのまま衛兵達の手で、地下牢へと運ばれていく。

ジャーク > 衛兵達が眠りに落とした少女を、地下へと運び込んでいく。
これから楽しむ為にだろうか、扱いは丁重で。そうして外身は綺麗で立派なこの城の、
同じ場所である事を見紛うような粗末で手入れのなってない階段を下った先で。
待ち受けるのはあまり美味しくない閉塞空間の空気とか、煌めく星々を遮る天井とか、
下衆宛らに笑みを浮かべる男が幾等かとか。

「おーよしよし、よくやった。暴れ出さん様に注意したまえ。
ふうむ。成程随分幼いが、悪くない。さて、今日は楽しませてもらおうかね。」

牢の十字の形をした拘束台めいた物へ彼女は仰向けに横たえられ、
手に足にと錠のような鉄の輪を締めて、拘束してしまう。
座ったままにじろじろと、運ばれてきたその姿を見回して、幾度か頷く男。

「さて…では、始めたまえ。」

とは言え、無論寝たままでは面白くない。
優雅なる貴族を自称する彼は、どっかりと椅子へ座ったまま、衛兵らに命令しつつ物見に耽るばかりである。
頭を揺すらせたりとか、頬を平手で引っ叩いたりとか……そうして、先ずは彼女の目を覚まさせようと。
それから、攫われた反応を伺おうと。

クリスティア > 少女は過程を見ることなく、城の地下へと運ばれる。
そこは、豪奢な外見の王城とは似ても似つかない、苔の生えた粗末な階段を抜けた先だった。
所々が崩れている石段は歩きにくいはずだが、男達は慣れた足取りで危なげなく進む。
その先は淀んだ空気の満ちる場所。籠った空気は、陰惨さが沈んだかのようで。
やがて見えてくる牢屋は、鉄製の格子と魔力仕掛けの扉を備えた堅牢なもの。
扉を開く合言葉を唱えると、重い軋みが周囲を揺らした。

やがて少女は、運び込まれた牢の中、用意されていた拘束具に固定されていく。
華奢な手首、足首に、それぞれ頑丈な鉄の枷を嵌められて。
十字架めいた形に縛められると、安らかな呼吸でわずかに胸が上下する。
しかし、少女にとっての平穏は、遂に終わりを迎える。
叩かれた頬の痛み――その鮮烈さに、一気に意識が浮上した。

「いっ……な、ぁっ、い、いきなり何っ!?急にほっぺたに……って、な、なんなのさ、あんた達!」

目の前には、下卑た笑みを浮かべた男がいる。
手足を拘束されたままでは首を僅かに動かすのが精いっぱいで、見回せるのは少しだけ。
視界に入った数人の男たちの様子から状況を理解すると、右手を動かそうと力を籠めて。

「ひぎっ!?――く、ぅ……わ、私を浚って、何をするつもり!?」

思い切り引いた腕が強引に伸ばされて、痛みが少女を苦しめる。
身じろぎを繰り返すが、拘束具が音を立てるのみ。
無駄な抵抗を繰り返し、やがて諦めた少女は気丈な視線を男達に向ける。
状況を呑み込めないが、屈しはしない。そんな意思を見せつけるくらいしかできなかった。

ジャーク > 拘束台に付随する手錠が、ぎぎ、と跳ね上がる事への反作用の音を鳴らす。
けれども強固なそれは、その小柄な少女が腕力だけで押し上げ引き破るには、力が足らなさすぎた。
びくともしない、とはこの事である。
開かれていく目に今か今かとばかり背もたれから前のめりに、
拘束台の彼女をじろじろと眺める男、その他衛兵も。

「……ふむ、自分が何をされたくらいは分かる様だな。
いや、何。私は少々暇であったのでな。
キミを攫って拷問しよう、というわけだとも。
あわよくば私のペットにでもなァ。」

くっくっく、と軽快な笑いをわざとらしく漏らしながら、悪びれずにその目的を告げた。
その辺から取って攫って来たにしては、中々凌辱し甲斐のありそうな、
意志の強そうなそれに益々気を良くしたようだ。
故に反発心を煽る様な口ぶりも大体わざとやっている。

「ほら、その為に…と言うわけでだな?」

一通り牢獄の中の拷問や調教器具へ目を向けながら、その意味を示唆。
男根の玩具から始まり、吊り縄だの蝋燭だの、挙句は処刑用具と思しきものまで勢揃い。
こんなにあるのさ、と若干ドヤ顔が悪人の顔に混じった。

「さて、私達が何者かを問う前に、キミが何者かを教えてもらおうかね?
答えたくなければ答えなくて結構だし、その方が私も楽しめそうだがね。」

再びのんびりと豪華な椅子へ背もたれて問いを投げれば、衛兵に目配せした。

クリスティア > 堅牢な拘束台は、魔法を使っても壊せるかどうかは怪しい。
また、この場には魔法を封じる結界が張っているかもしれない。
あるいは、枷に魔法を阻害する物品が使われているかもしれない。
様々な想定から、少女は力を押し隠すことにした。
エルフだとバレたとしても、大した力を持たないと思わせられればそれでいい。
隙をついて逃げ出す用意だけ、確かに隠して牙を研いでおけばいいのだから。
己を品定めするかのように、粘着質な視線を向けてくる男達。
その顔に浮かぶ下卑た笑いは、至極不愉快なものだった。

「――生憎、私がどこかの子女だと思ったら大間違い。
 ちょっと通りすがっただけの冒険者だから、身代金なんか期待出来ないよ。
 ……拷問は御免こうむりたいけど、無理かぁ――悪趣味だね、あんた達。
 私がペットになんて、なる訳ないんだから……!」

その視線が物体化できるなら、鋭敏な矢に代わっていたことだろう。
碧と青、色合いの違う二つの目から放たれるのは、敵意や不愉快を込めた、射殺すような視線。
こんな下衆な奴らになど屈しない――ただの村娘などとは違う、誇りに裏打ちされた感情を剥き出しにする。
それが、相手の感情を高ぶらせ、喜ばせることに気づかずに。
名を問われれば当然のように首を横に振り、むしろ笑いながら。

「ふ、ふふっ、そう。私の名前も知らないんだ。
 ま、あんた達になんて教えるわけないけどね。
 卑怯な上に卑屈で外道だなんて、底の底だと思うんだけど」

むしろ挑発すら口にしてみせる。
傍らの衛兵が何かを準備し始める、その様子には少しだけ、得も言われぬ恐怖を覚えながら。

ジャーク > 少なくとも、優雅なる貴族を自称する男、並びにその随伴の衛兵は、その少女が如何なる存在であるか、
また、どれほどの力を持って居るかなど知りはしなかった。
というか、この状況で巻き返しなど、出来るわけがないと確信していたから、
そこまで考えが行っていなかった、ともいえよう。

「ふむ。成程、余計な事を言わなければ良かったものを…何やら、キミはその辺の小娘とは違うらしい。
……それも追々教えてもらおうかね?」

と言う事を、本人が言っていた。それに、ただの小娘は怯えるばかりだろうに、
強気で居られると言うのもこれがまたこの男を愉快にさせた。
鋭く尖る様な、恐ろし気な眼差しも、それが縛られ動かないのであれば、首輪を付けられた猛獣と変わらない。
やはり、その反抗的な眼差しは彼等を楽しませるスパイスにしかならない様だ。

「はァっはっは…!別に私は金など要らんよ。ただ、拷問が見たくて、凌辱がしたい。言わばショーだな。
悪趣味で大いに結構。そんな悪趣味のダシにしてやるのだし…。
暫くして、同じことが言えるか、見ものだな。」

拉致の目的は、拷問すると言う事自体にあるのだと、臆面もなく告げて。

「ははは、つまらん褒め言葉だ。
どれ、キミ…それでぺしーんと、引き破ってしまえ。」

そうして飛んでくる、恐る恐るの着丈な挑発も、真面目に捕える事はないし、気分が悪くなるどころか、益々楽しい。
怯えて助けて助けてと叫ばれるよりは、ずっと甚振り叩きのめす快感が優れるのだと言う。

鞭をもった衛兵へ指で指図すれば、腹部から胸元へ掛けて、斜め向きにそれが振り下ろされた。
叩き付けるようで、切り裂く様な一撃。
ひゅおんと空気を薙ぐ音は、硬いもので取り囲まれたこの一室では、やけに木霊して痛快な乾いた音が耳に響く。
少女が身に纏うそれが脆くば、軽々と振った形に引き裂いて、そのまま肌へと食いこんでしまうだろうか。

クリスティア > 漸く分かる、首謀者らしい男の姿。その身なりは確かに貴族のものだった。
煌びやかで、謙虚さを知らなくて、厚顔無恥を体現したかのような、華美な誂えの過剰摂取。
あるいは、少女の敵愾心が男の身なりをそう思わせているのかもしれない。
今の少女にできることは、鋭い視線を向けることだけ。
嫌いだ、という感情は表情にありありと出ており、万一にも懐柔の手段はないと告げている。
リードを手放せば容易に首筋を食いちぎる獣――それが今の少女に最も当てはまる表現だろう。

「……どうあれ、何も喋らなきゃ何かするんでしょ?だったら、どうだって一緒さ
 私は、私が秘密にしたい事を伏せて、あんた達はそれを暴くために拷問する。
 そういう我慢比べがご所望なんだよね――下衆め」

どうやら男達の目的は、少女を拷問することそのものらしい。
つまり、少女が想定していた"手段"が"目的"だったことになる。
内心、少女は戦慄していた。拷問が目的なら、つまり彼らが飽きるまで、責めが終わらないことになる。
ともすれば、今まで取ってきた態度は全て――そこまで考えが行き着けば、舌打ちしながら嘆息するしかない。

「それなら、好きなだけすればいいよ。どうせ飽きるまで続くんでしょ?
 何時でも、何度だって言ってやるさ――褒めてないから、耳か頭、壊れてるんじゃない?」

感情がストレートに出てしまうのは、悪いことだとわかっている。
しかし、目の前の、邪悪の権化のような男には、言葉の礫をぶつけずにはいられなかった。
いわば、それは他の娘達よりも幾分と強固な虚勢――拷問に長けているならば、見破られてしまうだろう。
少女自身はまだ気が付かずとも、しかし確かに、恐怖は芽生えていた。
振りかぶられる鞭、その先端は固く撓りそうな細さで黒い艶を帯びている。
意志とは別に、わずかに呼吸が荒くなって、声のトーンが上がる――恐怖による緊張が露わになった瞬間で。

「……あはは、そんなので私が、屈する訳――」

無駄だよ、と言葉を作ろうとした瞬間、鞭が風を切り裂いた。
続いて、肉を打つ乾いた音が響き、一瞬の時間をおいて。

「い、ぎぁああぁあああっ――!?」

可憐とは程遠い悲鳴が零れた。
戦闘用の衣装は、しかしその一撃で避けた布地に代わり、奥の真っ白な肌に傷を刻む。
腹部から胸元へと一筋に真っ赤な跡が走り、強烈すぎる一撃に肌が破けて血の筋がわずかに伝い落ちた。
拘束具は大きな音を立てて軋み、少女の悶絶を伝えて、やがてゆっくり静かになって。
咳き込みながら呼吸を整える少女は、それだけで大分、虚勢をはがれてしまった様子だった。
なにせ、今までは賢明に隠していた恐怖が、健気に堪えながらも顔を出し始めていたのだから。