2016/11/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にリシェラさんが現れました。
リシェラ > 王都マグメール、王城内。
流石にその様な場所だけ在ってか気兼ね無く中に入る事は躊躇われた。
ポツリポツリと小雨の降る王城の上空、蝙蝠と為って目立たぬ一角へと舞い降りる。
庭園の少しばかり奥へと進んだ小さな空間に舞い降りれば、何時もの様にその翼を畳み人の形と為って立ち上がった。

「此処では…そうだな、此方の方が良いか…」

普段羽織っているマントに手を添えれば、緩やかな動きで止め具を外して脱いでいく。
脱いだマントを空へと掲げる様に上げる…其れは、まるで闇に溶けるかの様に消え去っていった。
次に行うは目を閉じて少しばかり意識を集中させる。
僅かな間、再び開かれた瞳は何時もの紅から人間に合わせた蒼へと変わっていた。

右から、左から、己の姿を確かめる様に見る。
此れならば、王城を歩いても怪しまれる事も無いだろう。
庭園の奥から茂みに気を付けて出、其の侭、緩やかな歩調で散策を開始した。

リシェラ > (王城だけ在ってか、大層なものだな…)

王城の者達の流れを見、下手な場所へは向かってしまわない様に気を付ける。
間違って踏み入れるべきではない場所へと入り込んでしまい怪しまれれば、自分の存在を看破されるのは時間の問題と為るからだ。
そうし乍、王城内の様々な場所を巡っていった。
気の良い者なのだろう、見知った存在でも無い自分へと挨拶をする相手には、同じ様に丁寧に挨拶を返したりして。

偶に己と同じ魔族と思われる力も感じたが、そう云ったものは何かしら理由が在る者なのだろうと気には留めなかった。
そもそも、自分も其の理由が在る者の一人なのだから。

ご案内:「王都マグメール 王城」にアッシェさんが現れました。
アッシェ > 王都の中枢たる王城内に 何故いるのだったか。
…楽器を嗜む友人より 少しの間でいいからヘルプでチェロを弾いてほしいと言われて 今に至った―事を思い出す。
小雨が降りしきる外の寒さは中にいる貴族や王族は気にも留めない。
少し時間を考えることなく一日中やっているのではないかと思う位のパーティにてチェロを弾いていたが、
休憩を頂き 楽器を残して廊下へと出てきた処。

「…はぁ。洋楽器は難しくて堪忍。何時ものとは違うから あかん」

それに見た目人ではないのに 今のところ咎められていない。
髪を染めていると思われているのか、瞳の色とかで何かと言われていないのだ。
廊下に所々ある長椅子に腰かけて 少しの間休みたいと座ろう。

リシェラ > 此処が王城のどの辺りで在ると、上空から見た敷地から考えて歩いていた。
勿論この王城内がどれ程の広さを持っているかも大体の見当は付いているが、内部の構造を考えてと為ると話は別だ。
先の様に入るに入れない場所も在るし、行き交う者達の流れと云うのもあるからで。

思った以上に思った通りの進行方向へと行けず、何度か遠回りをする破目にも為っている。
流石に歩き尽くめなのだ、小柄な見た目とは裏腹に身体的には大した事も無いが気疲れはしていた。

(少し休むか…)

所々に足を休める為だろう椅子が幾つも在るが、余り誰かが腰を掛けて居るのは見られない。
だが視線の片隅にそういった雰囲気の人影が見えれば、やっと在ったか、と云ったばかりに手近な椅子へと腰を掛けた。
休憩が出来る場所が在るのと、休憩が出来るのは気分的にではあるのだが別物なのだ。

アッシェ > 廊下の椅子に腰かけている間も 貴族とか王族とかその他通りかかるから会釈は返さないといけないのだ。
流石王城、人の多さは屈指を誇るのではと思う。場所柄入ってはいけない個所もあるし
道順を間違えないようにせねばと辺りを見渡して 深呼吸。

(…はぁ。あと何曲弾くんやった…?)

少し気分を紛らわす為に 手を合わせると魔力を僅かに込めて―魔法位は使っている貴族とか騎士とか先ほど見たから
害を齎さない術は使ってもいいと判断し、手を離すと光り輝く此方の王都ではあまり見られない楽器形状が姿を現す。
光が収まれば そこにあったのは黒づくめの弦楽器。それを持ち直すと軽く調弦をして弾き始めるのだ。

廊下で。バイオリンとかチェロとかではない異国情緒な弦楽器の音色を煩くない程度で弾き始めて。

リシェラ > 如何やら本日は王城内で何か催し物が行われているらしい。
行き交う者の言葉の中から其れらしい単語を聞き取る。
其れ自体には興味は無い、だがそういった事を行う様な場所の位置を知るには良い機会だ。
注意をして人の流れを見遣っては、其の場所へと向かうだろう者を幾人か確かめていた。

そうしていた中で、先程座れるタイミングを確認する為に見ていた相手が手元に何かを出していた。
何か…楽器だ。遥か昔に様々な演奏を見せられていた中に在ったのを覚えている。

(然し、行われている演奏で使う楽器では無い…と思うのだが…)

そうなのだ、聞いた話の通りで在る為らば其の楽器は使われない筈。
為らば何かと可能性を考える。
其の答えに辿り着くには時間も掛からなかった、気分転換なのだと。
意識をして見てみれば、成る程と納得も出来ただろう。異国の格好をした者だったから。

此の国の者でなければ気を張る必要も無い。
小さく呼吸を整え、其の者が奏でているだろう音色を静かに聞き入っていた。

アッシェ > 王城の中は策略と謀略の住処と思っている。意味同じじゃないかと疑問すら浮かんだが放置。
違いがよくわからなかったのと王城とか貴族とか普段関わらないので考えても無駄と思ったのだ。

ベースは異国情緒満載な弦楽器だがそのデザインは此方でも通じるロートアイアン風な派手な代物。
調弦を時折しながら弦楽器を奏でて 割と派手な撥捌きをしないまろやかで王城を意識した調べを即興で弾く。

廊下だから通りかかりの人たちの視線は気にしない。
所詮気分転換なのだから 曲の調べが唐突に変わっても何かと問われない。
持っている技能と経験とが織りなせる異国とこちらの楽譜混ぜた音調べが続く。

(……もうちょっと……)

リシェラ > 現在と云うものを深く知り得ていない為か、新しい物に関する知識は今一だ。
古くの伝承や物語を弾き語る吟遊詩人とは何か違うものを感じるが、確りとした認識は持てない。
だからこそか、少しばかりでは在れ興味は向くもので。

(少々派手な感は在るが、今は其れが流行なのだろうか…?)

どちらかと問われれば、自分は静寂を好む。
当然音楽も静かな調べを好んで聞いていた。
何やら調整や確認をしているのだろう、様々な音調に耳を傾け続けて。

離れている訳でも無いが同じ椅子でも無い、椅子に腰掛けている二人。
周りにはどう映っているのだろうか?

アッシェ > 吟遊詩人と圧倒的に違うのは弾き語りを全くやっていないのだ。それ用の曲の調べはあるが 
此処が異国ではなく王城であるが為、伴奏や即興で歌なしで弾いているのだ。シンプルにして慣れた手つきで音が途切れない。

格好は…折衷なのと派手好きなのとが合わさって割と派手。
髪色も派手だから余計に目立つ。

調弦をするためには糸巻きを巻くか緩めるかだ、カキカキと音を僅かに鳴らして糸巻きを回して音の高低をずらすと、
静寂の声質による 雨の音を主旋律とした調べを弾き始める。

時間にして僅か30分であったと思うが その音の調べも終わりが見え 唐突に終わり弦から撥を離すと
撥を弦に挟み込み それを持ち 椅子から立ち上がると聞いていたであろう人や
椅子に腰かけている方(リシェラ)へと深々と頭を下げるのだ。

「ご清聴 感謝致しますぇ。お耳汚し失礼仕りしんした」

喋るイントネーションがどこか訛った言葉を紡いで聞いてくれた事の感謝を述べよう。

リシェラ > 長い…と言うには少しばかり短い時間、終わったのか彼女は立ち上がる。
自分もそろそろ十分に休んだと云うのも在るからか、同じくして椅子から腰を上げた。
此方へと頭を下げる彼女に対し、此方も緩やかに丁寧な一礼をして返す。

「中々に面白いものだった。此方こそ良い暇潰しと為った、感謝しよう」

彼女とは又違った、小柄な身丈に合わぬ口調。
そう云えば彼女は楽器を扱っていた、為らば例の催し物に出ている者だろうか?
頭の片隅に浮かぶ考え、折角為らば後を付いて行くのも良いのかもしれないと思っていた。

アッシェ > 気分転換にはなったので そろそろ廊下をお暇しようと思っただけだ。
休憩と言っても一時間くらいだった。既に30分位を消化している。
残りの時間で手短に次の演奏に備えて準備をせねばならない。

「…それは恐悦至極、姫君。 では 私はこれにて失礼しんす。」

いずれかの貴族の令嬢であろうか、小さき身丈に合わない立ち振る舞い。
口調がどうこう言える立場ではない。

手に持っている弦楽器はどこかにしまわないのかそのままだ。
無駄のない足さばきでカッと靴音を鳴らすと歩き始めよう。
慣れた歩き方で廊下を歩き始めて。その序に手に持っていた楽器を煙に巻く感じで手元からどこかに収納
―収納魔法を無詠唱かつ無動作で行ってしまう。これで手ぶらだ。

近くの廊下と椅子で休んでいたのだ、催しの会場はすぐ近く。

リシェラ > 彼女の言葉や態度から、如何やら自分は王城内の関係者とは見えるらしい。
関係者でない者からも確りとそうして見える為らば、本日の処は安心して行動も出来るか。

其の侭、彼女は此の場を後にして移動を始めた。
もう少しだけ考えた後、自分も彼女の後を追う事に決める。
靴音を鳴らす先行する者とは違い、不思議と足音を立てずに静かに後を付いて行く自分。

(さて…今の世に好まれる演奏とは如何様なものか、拝見させて貰うとしよう)

アッシェ > 彼女の正体は存じない、見た目と立ち振る舞いから 王城の貴族かそれに準ずる関係者 もしくは招待客と思っただけ。
堂々とした態度から疑う事なく 応対しているのだ。そのまま後ろから気配が来ているので やはりと思う次第。

パーティに参加している?お方なのだと。

程無くして 表の招待客や貴族や関係者が出入りする扉と裏方である当方が使用する出入り扉が見える。
此処で一旦お別れとなるだろう、と考えると 振り向き リシェラへと会釈をすると 裏方の扉へと入って別れただろう。

この催し自体 夜まで続いたらしく 時はまろやかに流れて行った事だろう。

ご案内:「王都マグメール 王城」からアッシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からリシェラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にフォークさんが現れました。
フォーク > フォーク・ルースは、弓を強く引き絞った。
かつて傭兵として城に雇われたコネで、兵卒たちの訓練場を使わせてもらっているのだ。
片目を瞑り、的を見据える。中心の赤い印を射抜けば百点満点だ。

「一撃必殺、百発百中!」

利いた風な口を叩きながら、矢を射る。
風を切って矢は飛んでいく。もともと膂力は凄まじいのだ。人の頭に当たれば軽く首はもげていくだろう。
見事に矢は赤い印を射抜いた。
それを見た男は、ふうと小さなため息をついて弓を下ろす。

「いやあ、悪い悪い。ちょっと手元が狂っちまって!」

男は、隣で矢の調練をしていた兵卒と、矢を回収する係員に頭を下げる。
放った矢は『隣の的』の中心を射抜いていたのだ。

「いやー、弓って難しいな!」

大外しを誤魔化すように、大声を出す男であった。

フォーク > 「どうもガキの頃から飛び道具は……」

苦手だった。きっと自分には弓術に関する天稟がないのであろう。
人類には天稟というものがある。同じ努力をしても技量に差ができるのは全て天から授かった才能によるものだ。
まだ自分が人間で良かった。もしエルフだったら赤っ恥どころの話ではないだろう。
弓が下手なエルフなんて、聞いたことが無い。

「っつってもコレだけは得意なんだよなあ」

男は弓をつがえる。恐ろしく精錬された所作だった。
これだけは弓術を指導してくれた傭兵も褒めてくれた。つがえた矢を放つことに関してはとうとう匙を投げられたが……。
矢を弓にセットする速度や精密さは、生まれて初めて弓を触った時より完成されていた。
つがえて、放つ。この一動作が完成されて初めて弓術となる。男はその半分しか体得していない。

「俺ももういい年だから、そろそろ出来ないことができてもいいと思ったんだが、
 世の中はそうそう上手く行かないもんだな」

的確に的を外しながら、男は三十本目の矢を放った。