2016/08/23 のログ
ご案内:「ツァリエルの自室」にツァリエルさんが現れました。
ご案内:「ツァリエルの自室」にヴァイルさんが現れました。
ツァリエル > ドレスを自ら緩めて貰えれば、両の手で優しく剥いでいく。
すでに菓子の食べかすで汚れているのにこの上性行為で汚してしまうのははばかられた。
脱がし終えればあとで自分で洗濯するため脇にどけておく。

自分も手早く外行き用の着衣を脱いで下着のみの姿になる。
ずりずりと腹ばいでベッドの上を移動し、小さなヴァイルに顔を寄せると
親猫が子猫を毛づくろいするように優しくぺろぺろと舐め始めた。
先ほど菓子を食べたせいかやけに甘く感じられる。

ヴァイル > 衣装が剥がれ、華奢な少年の体躯が顕になる。
舌がその身体を撫でれば、微かな吐息が漏れる。
ひややかな体熱はツァリエルの唾液の熱に上書きされていき、
股の間のものが少しずつ持ち上がりはじめた。
外出時のような饒舌さはなく、静かなものだ。

「おいしいかい」

ひそやかな声でそう問うて、キスをするようにツァリエルの舌先に
自ら身体を寄せて顔を埋め、唾液を吸う。

ツァリエル > 「うん……甘くておいしい」

目をつむり、味覚だけを研ぎ澄ませるようにちゅうちゅうとヴァイルの小さな肢体を味わう。
ヴァイルが自分の舌先から唾液をすすっているのを感じて、もっとと強請るようにキスをする。

「今日のヴァイルさんはお姫様だから、僕、頑張って王子様になるね」

やや気負ったような、真っ赤な顔でそう告げる。
ヴァイルの股間のものが起き上がったのを見てとれば
自分も腹ばいになった姿勢でもじりと股の間が熱く疼いた。

舌を絡め終えると、人差し指の先でヴァイルの胸の突端をいじり始める。
もう片方は小さな屹立を摘んで、優しく擦り上げてみる。

ヴァイル > 「なら、おれもせいぜい姫らしく振る舞わないとな……」

どこか緊張した面持ちのツァリエルに、
お手並み拝見とばかりにくすりと笑みを零す。

粒のような胸の突起が指紋に擦られて
ほのかにヴァイルの身体が上気し出す。
木の芽のような肉鞘は、指の間で硬さを増す。

「ツァリ、さまっ……」

胸を反る。
乙女のようにたおやかで色気の帯びた表情と声。
もっとあちこちを触れて欲しいとでも言いたげに、
唾液に濡れた身体が手の中でくねった。

ツァリエル > 淫靡に喘ぐヴァイルの艶姿にだんだんと触る指先の熱もこもり
ツァリエルの息も興奮したものになってくる。

「きもちよさそう……、もっと、どこを触ったらいいか教えて」

胸から腰、腰から腿、くねる足先を唇で挟んで吸い上げる。
無意識にツァリエルの腰がシーツに擦り付けるように動く。
くねった拍子に、ころりと背中を向けさせ
桃のような尻の間、割れ目の方に指を這わせる。

「……さすがに指は無理だよね……」

大きさ的に無理やり入れたら裂けてしまいそうだし
痛がってしまっては意味が無い。
爪の先で蟻の戸渡り辺りを優しく撫ぜる。

ヴァイル > 「んぁ……っ、そう、そこが……っ、あしっ……」

唇に吸い上げられ、四肢をぴんと伸ばして痙攣する。
静かだったヴァイルの呼気もいまや熱病に苦しむように激しい。
吸われ、撫でられるたびに、息を荒げる。

「……ううん、いれて……」

腕を突き、腰を突き出し、自分の手指を後孔にあてて拡げてみせると、
牝の性器のように蜜が垂れる。
その直下では、張り詰めきった雄茎が期待するように揺れていた。

ツァリエル > 自ら卑猥な格好で指を強請る姿に少しだけ戸惑う。
物理的に苦しそうな大きさなのにそれでも入れてと言うなら
大丈夫なのだろうか……。

「あの、痛かったらすぐやめるから言ってくださいね……」

そっと壊れ物を扱うようにヴァイルを押さえると、
ゆっくり中指を解けた後孔へと押し付けてゆく。
熱く湿り、濡れそぼったそこは思ったよりも抵抗が薄かった。

苦しいだろうからいくらか紛らわせようと、額や頬にくちづける。

ヴァイル > 「ふ……っ!」

巨大な侵入物に胎が満たされ、息を詰まらせる様子。
人形のようなヴァイルの肌に、汗の珠が浮かぶ。
口を大開にして喘ぐ姿は、真実苦しいと察せられる。
ツァリエルの指の末節部をしっかりと咥え込み、熱い腸壁が吸い付く。
このまま挿れていれば、指が媚液に融かされてしまうのではないかという錯覚を与える。

「もっと、拡げて……奥まで……」

しかし、止めろとは言わず、寧ろより深くねだる。
先走りがだらだらと溢れ、シーツに染みを作る。
くちづけが降れば、雌犬のように小さくいなないた。

ツァリエル > 苦しそうに喘ぐヴァイルに、申し訳無さを感じながらも
指は強請るとおりにゆっくりと奥を目指す。

「うあ……」

指先だけとはいえ吸い付く肉襞の熱さに思わず呻いた。
先ほどの舌と同じか、それ以上の熱心さできゅうきゅうと締め付けてくる。
指からじわじわと心地よさが体中に広がっていく。

「もうちょっと、だからね……我慢して」

背筋を舌先でつつき、キスを絶え間なく降らせる。
やがてじりじりと進んでいた指先がようやく奥まった場所に突き当たると
微かに中で指を折り曲げ動かしてみる。

ヴァイル > 「い、い゛ぃっ……!」

ツァリエルが中で指を折り曲げると、
押さえつけられたままの小さな体躯がひときわ大きく痙攣し、腸壁が強く指を締め上げる。
と同時に、限界を迎えたらしい肉の猛りが弾け、勢い良く白い精を噴出させた。

「……ふぅ……」

指が突き刺さったまま、体力を消費した様子で手足を丸める。

ツァリエル > 絶頂するヴァイルに合わせれ収縮した肉壁に指がもみくちゃにされる感覚。
ヴァイルをいじりながら内股をすりあわせシーツに自分の分身を押し付けていたツァリエルも
彼が達する様子を見て、ふぅっと興奮と満足感に満ちた吐息を漏らして体を震わせた。

シーツに少しばかり水をこぼしたようなシミができて、そこから青臭い性臭が匂い立つ。

「……きもちよかった?僕、うまくできたかな……」

ぐったりと余韻を味わっているヴァイルの頭を優しく撫でると指を引き抜こうとする。

ヴァイル > 「うん……良かった、ツァリの指」

疲れからか、どこか夢心地のような調子の返事。
指が水音を立てながら引き抜かれれば、孔は指の太さに拡がったままだ。
自らの汗や唾液に湿った身体に、長いブラウンの髪が張り付いている。

「ツァリは……どこさわって欲しい?」

心地よさそうに撫でられながら、蕩けた瞳で見上げて、そう問いかける。

ツァリエル > 「それならよかった」

えへへ、といつになく得意気に笑い頬をヴァイルの体に擦り付ける。
問われれば恥ずかしそうに目を伏せ、小さな声で呟いた。

「おしりと……おちんちん……

 で、でもきっと疲れちゃっただろうから無理しなくても大丈夫……。
 眠かったら、寝てもいいし、ええと、せいえき、あとであげるから……」

正直に言ってしまえばとても触って欲しかったが
今さっき大仕事を終えた小さな体をさらに酷使するのは可哀想だろう。
仰向けに体を直すと、腹の上にちょこんとヴァイルを乗せ
労うように手のひらで背中を撫でた。

ヴァイル > 「仰せのままに」

呼吸を整えると、丸めていた身体をすくりと立ち上がらせて
ツァリエルの腹の上を脚の方面へと歩き出す。
太ももを滑り降りて、脚の間――垂れ下がる睾丸と陰茎の前に立った。

「じゃあ、お尻触らせて。
 ……ツァリのおしり、触りたいから」

立ちふさがる、つるりとした柔らかい睾丸を手で撫で、揉み……
全身を袋肉に埋めて、舌で舐め始める。
すんすんと、菊の花の残り香を鼻を鳴らして楽しむ。

ツァリエル > ん、と頷くと尻の影へ隠れてすっかり見えなくなってしまったヴァイルを追うように
上半身を上げ、恥ずかしそうに足を開き自ら尻たぶを両手で割り開く。
睾丸をやわやわと全身で愛撫されればふるりと体を震わせて
幼根がじわじわと立ち上がる。

「あ、だめだよ……匂いなんて嗅いじゃ……汚いし恥ずかしいよ……」

慌てて遠ざけようと体を揺するが、睾丸に取り付いているヴァイルに乱暴なことはできず
手で追い払ったりはしなかった。

ヴァイル > 「ツァリのものだ。汚くなんてないさ」

ツァリエルが身体を持ち上げ脚を開けば、陰部から身を離して
中央のすぼまりへと近づく。
腕を自らの唾液で濡らし、それを孔に挿れる。
小人の細腕はさしたる抵抗もなく侵入に成功した。
内側から愛撫し、湿った音を立てながらかき回していく……

「感じる? ……足りない?」

すぼまりへと語りかけるように言う。
奉仕は、ツァリエルにはささやかに感じられるかもしれない。
ためらうことなく顔を近づけ、外周部の皺に沿って舌を這わせる……

ツァリエル > まるで細い枝でも差し入れられているようなくすぐったさが伝わる。
体の内側、裏側を小さな腕でかき回されればささやかなものでも多少は感じる。

「ふ、ぅ、なんかっ、くすぐったい、けど……きもちい……」

かき回す度にヴァイルの細腕を柔らかく熱く締め付け絡みつき
舌を這わせればとろりと腸液が唾液につられて溢れてくる。

「もっと、いっぱいいじっても、大丈夫……」

だんだんと焦れったくなったのかもっとと強請るように尻をゆすり、
自らも指を増やそうとそっと孔に指を這わせた。

ヴァイル > 「わかった」

もっと、とせがむ声に応えて、
片腕でなく両腕をぐいぐいと突き入れる。
粘る肛肉が生体の罠のようにそれらを食んで離さない。

二の腕いっぱいまで挿れてもツァリエルにとっては浅いものだろう。
そう考えたか、両腕で孔を押し拡げて
菊花の蜜に濡れた上半身ごと、菊座に突っ込ませた。
たちまち窒息してしまいそうなものだが、ぐいぐいと元気に
頭や肩で内側の肉をこね回していく。

ツァリエル > 「!?っあ、だめっ……だめだよぉ!」

ぐっと自分の中を割広げヴァイルが身を乗り出して自分の中に潜り込んでくるのを見れば
慌てて止めようと足を引っ張る。

だが折れてしまいそうなほど細い足を強くは掴めず、
そうしている間にぬるぬると自分がこぼした体液で余計に奥へと進んでいく。

「やらっ、やだよぉ……きたにゃい、はずかしいよぉ……」

人型の形をした肉槍が暴れまわっているような感覚に体を震わせ
あっさりとだらしなく顔を歪ませる。
ヴァイルが死んでしまうかもしれない状況なのに与えられる刺激に体を溶かし
そこに背徳感を感じてさらに自分で自分を煽る。

やがてヴァイルの体が前立腺へとたどり着いてそこをこね回せば
ひん、と甲高く啼いてツァリエルの体が跳ねた。
すでに性器の先端から止めどなく先走りが漏れている。

ヴァイル > 身体が折れかねないほどの圧力の中、
内側のひだを繊細に指で撫で、口を開いて舌で舐める。
たとえ縮小されていても、理性を削る魔族の唾液が粘膜に直接塗布されれば、
大きな効果が顕れるだろう。

恥辱と背徳の快楽にひとしきりツァリエルが震えた後、
のろのろと、腸壁を擦りながらその中から這い出てくる。
体中に塗られた体液を乱雑に手で拭う。
怪我などは見受けられず、ぴんぴんとしている。

「そろそろそっちのほうも触ろうか……」

太ももをよじ登り、だらしなく涎を零す肉柱の根本へとしがみつく。
ぺたぺたと、その硬さを楽しむように控えめに愛撫する。
先程まで体内に潜っていた身体は熱い。

「恥ずかしいのに、こんなに大きく固くしちゃって……
 ツァリは、本当にいやらしいな」

そう口にするヴァイルも媚肉の圧迫で興奮したのか、
彼の触角も熱り立って天を目指していた。

ツァリエル > 腸の内側だから吸収が早いのか唾液の効果はてきめんに現れた。
すぐに褐色の肌が薔薇色に色づき、僅かな苦痛も多量の快楽に変じて
ツァリエルは普段見ないほどに素直に啼いて快感を訴える。
女の中もかくやというように肉壁が熱く蠢き、中に潜り込んでいるヴァイルを丁寧に舐めまわし締め付けた。

やがて舌を突き出してだらしなく喘いでいればヴァイルが剥いでてくる感覚に背筋が反り返り、腰を宙に浮かせ頭を振った。

「ひきゅぅんっ……!ぼく、ヴァイルさ、産んじゃってるっ……
 きもひいいよぉっ……産むのきもちひ……っえへ、へっ……」

自分の腸壁を産道に見立てる倒錯にもはやまともな思考は残っていない。
出てきたヴァイルの安否を気遣うこともできず、ぴくぴくと痙攣して性器は今にも暴発しかねないほど張り詰めていた。

自分の体の上によじ登ったヴァイルがなじるのも普段なら恥ずかしそうに反論するはずが
今ではすっかり淫蕩になってしまったのか嬉しそうに笑って

「ひゃい、ごめ、なさいっ……ぼく、ぼくぅ、ツァリは、っヴァイルさんに
 触ってもらってはずかしぃのに……きもちよくなってっ、えっちなところをかたくしちゃう、いやらしいおとこのこですっ……」

矜持の欠片もなく自らの淫蕩さを肯定する。
お願いだから早く触ってイかせてほしいとしまいにはぽろぽろと泣き出す始末である。
正気をなくしたせいか、ヴァイルの体をむんずと掴むと自分の性器に性急にこすりつけ始める。
彼の猛った箇所が裏筋に触れてたまらない様子で喘いだ。

ヴァイル > 「ぅあっ……」

強く乱暴に握られる。それだけでヴァイルには感じるものがあった。
淫蕩に強く支配されて正気を失ったのはツァリエルのほうで、
力の上でも今はツァリエルが主導権を握っていた。

「ツァリっ……ツァリのあついのが、欲しいっ……」

性急な動きと性器の熱、それはヴァイルを苛みながらも同時に昂ぶらせる。
掴まれて身動きが不自由ながらも、身体を捩らせて
両足や腰、尻を突き出して、ツァリエルの裏筋や色づいた亀頭に
こすりつけて、気持ちよくなってもらおうとする。

ツァリエル > 先走りとヴァイルがまとう体液で擦り付ける手は非常になめらかに動く。
やがて慣れが生じて荒々しくヴァイルをこすりつけていた亀頭が
ぴたりとヴァイルの小さな尻穴にくっついた。

さすがにこれはいけないと、ツァリエルの脳裏に最後の理性が現れて警鐘を鳴らす。
だがヴァイルがもがき、そこかしこから熱と刺激が性器に伝われば
やがて理性も塵と消えて無くなった。

「ごめんね……っヴァイルさ、ごめ、なしゃいっ……」

ううと涙ぐみながら謝罪を口にするがその手はしっかりとヴァイルを握って離さない。
やがてぐりっと強い力でヴァイルの中に自分の性器をめり込ませた。
ひぅ、と息が詰まるような熱いぬかるみに思わず射精しそうになるのを懸命にこらえぴんと手足を突っぱねる。

ヴァイル > 「あっ……ツァリの、ツァリのがっ……」

ぎちりぎちりと、音を立てて雄の象徴が食い込んでいく。
肉の拡がっていく感覚がツァリエルのものを通して伝わるだろう。
最初の指での行為で慣らされたのか、ツァリエルの想像よりは抵抗がない。
子供の幼勃起といえども、指より太いそれの侵入には、ヴァイルも表情を歪める。

「ぐ、うっ……」

しかし、両脚は彼の意思でしっかりと肉の茎に絡みついて離さず、
ツァリエルの分身を洞のより深い場所へいざなう。

「いい……? おれのなか、きもちいい……?」

下腹部に肉柱が突き刺さったまま、ツァリエルを見上げて淫蕩に笑む。

ツァリエル > 「うん、いいのぉっ……!なか、あつくてぴたってしてっ、
 おちんちんとけちゃぅ……っ」

息も絶え絶えに何度もヴァイルに頷いてみせる。
やがて抑えきれないかのようにヴァイルを持ち上げ再び抜ける手前で落としこむ。
やがてとうとう遠慮もなく、おもちゃのように掴むと何度もヴァイルの肉孔に抽送し始める。
快楽と苦痛がないまぜになった表情で何度もごめんなさいと繰り返しながら決して動きは止まらなかった。

やがてさんざん煽られていたせいかあっさりと決壊は訪れた。

「やら、でるっ……おちんちん、とんじゃうっ!あっ、いくっいぐっ、ひぁああっ!」

叫ぶと同時に根本までぐっとヴァイルを押し込み、体の最奥で膨らんだ性器が爆ぜた。
どぷどぷと何度も熱い精液がヴァイルの中をしたたかに打ち付ける。
まるで性器が溶けてヴァイルの中にすべて流れ込んでいくような絶頂を味わい
びくびくと打ち上げられた魚のように震えて喘いだ。
呼吸が一瞬止まり、意識が白く塗りつぶされて耐え切れず、ヴァイルをしっかりと握ったままツァリエルは気を失った。

ヴァイル > 謝りの言葉が降り注ぐ中、ヴァイルはされるがままに肉杭を叩きこまれ続ける。
ピストンごとに肺から空気が追い出され、胸を反らせて喘ぐ。
文字通り物理的に満たされて、被支配の喜びが全身を駆け巡った。

「あ……ぅ゛、あぁ……っ!」

ツァリエルの絶頂、体内に熱水が注ぎ込まれるのと同時、
小動物を轢き潰したような声が上がり、ヴァイルも射精に至った。
精の塊が、小さな身体を膨れさせ、輪郭を歪めて行く……
まるでツァリエルそのものに侵食されていくように。
意識を失ったツァリエルにはその様を見届けることは出来なかったかもしれない。

……

次にツァリエルが目を開けば、
元の大きさに戻り、サテンの衣にしっかりと身を包んだヴァイルが
ベッドの傍らに座っているのが映るだろう。
面白げに自分のために買い与えられた人形の家具や衣類を眺めていた。

ツァリエル > どれほど時間が経ったのか、うっすらと瞼を開けると見慣れた人影が隣りに座っている。
それが久しぶりに見た元の姿のヴァイルだと気づくのに暫く時間を要した。

「ヴァイルさん……?元に、戻ったの……?」

喘ぎすぎて掠れた声でそっと問いかける。
上体を起こそうとしてひどい倦怠感に、くらくらと目眩がした。
起き上がるのを諦めて、じっとヴァイルの横顔を見つめる。

「お買い物、無駄になっちゃった」

小さなヴァイルに買い与えるはずだったそれを残念そうに見やる。

ヴァイル > 「微睡むにしては長かった。少し浸りすぎたな」

振り向いて、起き上がろうとするツァリエルを手で制する。
明朗なヴァイルの声は先程まで乱れていた者と同一とは思えない。
気落ちした様子のツァリエルには、にぃと口元に弧を描いた。

「無駄ではないよ。
 おれは楽しかったし、嬉しかったからな。
 それに、また小さくなってこれで遊んでもいい」

小さくでもならないと、四六時中一緒にいる口実などなかったからな。
さらりとそんなことをついでのように付け足して立ち上がり、横臥するツァリエルの頭を撫でた。

ツァリエル > 「うん、僕も楽しかった……。
 ずっとこんな日が続けばいいのにって思うくらいに」

ヴァイルの冷たい手が頭を撫でればひどく安堵したように大きく息を吐く。
目をつぶってしばしその心地よさに浸った。

「もう行っちゃうの……?また来てくれる?」

就寝前の子供が親に離れてほしくないような言い草で
不安そうにヴァイルを見上げる。
引き止めたいと思ってもその権利が自分にはないことをわかっている。

ヴァイル > 魔を拒む王城に魔族が長居するのは、そもそもが不自然な話だった。
少なくともヴァイルにとっては。

「平穏な日々などおれにとっては毒でしかないよ」

そう嘯くヴァイルだが、この数日間とツァリエルの言葉を否定するものではなかった。
そっとツァリエルから撫でる手を離し、跪いてその額にキスをした。

「いずれは堂々と正門から訪れるかもな」

その言葉を最後に、ヴァイルの姿は霧と消えた。

ご案内:「ツァリエルの自室」からヴァイルさんが去りました。
ツァリエル > 平穏に身を置いておくことができないヴァイルを哀しいものを見るように表情を曇らせる。
でもまた、荒々しい魔物の夜が過ぎれば休むための拠り所が必要にもなる時が来るだろう。
その時までは我慢しておこうと、ぐっと寝具の端を手で握りしめた。

「待っているから、いつでも来て」

額のくちづけがまじないのように効いて、ツァリエルの顔が穏やかに微笑む。
霧になって消えるヴァイルを見送れないほどに瞼が重くなり、やがて夢か現かわからぬままに眠りの底へと落ちていった。

ご案内:「ツァリエルの自室」からツァリエルさんが去りました。