2016/07/26 のログ
■エーヴ > 「ごめんごめん。
おんなじ仕事の人と会う機会があんまりなくってさ。
武器下ろしてよ。怖いじゃん」
騒ぐつもりはなかったのだが、同類に会えて嬉しくてつい声が高ぶってしまったのだ。職業柄群れることがない故に。ギルドにも入らない一匹狼には、こうした出会いは貴重なのだった。
ナイフを握ったままでは怖いと口にはするが恐怖を感じている素振りは見せない。
己の名前を言い当てられると目を見開いた。
「あれ僕のこと知ってるの? 性懲りも無くって……いや合ってるんだけどさぁ。
そのね、うぅーん……まぁいいや……」
むっと眉に皺を寄せるも、すぐにため息を吐いて肩をすかせた。
金が欲しいのではなくて、達成感を味わいたい、盗みを極めたい異端の盗賊なのだ、物申したくもなる。
バカでもあり向上心の塊ともいえる。正解なのだが、やはり言いたいことはあった。
逆に相手の名前を聞くと腕を組んで頭を捻った。
「アシュトンさん。聞いたことある。聞いたことあるんだけどーっと……
これすごい。さぞ地下室とやらはたんまり溜め込んでるんだろうね」
聞いたことはあったらしい。思い出せないだけで。
目の前の宝に目こそ輝かせつつも、手は伸ばさない。
相手の提案には大きく頷いて見せた。異存などあるわけがなく。
「いいよ。協力しよ。
盗めるだけ盗んで山分けね。すぐにでもいいし夜でも昼でも構わないよ。ただし僕が全部盗んでお兄さんに山分けするかもしれないけど」
ふふんと鼻を鳴らす。
すでにやる気らしく腰を上げかけていた。
■アシュトン > (完全に相手を信用した訳ではないが、信頼、というモノも必要だろう。
軽く肩を動かした後に、ナイフがスルリと袖の中へと戻って行く)
今話したのが全て、だがな。
引っかかる所があるようだが、余り気にするな。
どう伝えられるかなんて、ヒトの口のさじ加減次第だ。
(口当てにしている布の下で、僅かに上がるクチの端。
相手は相手なりに、思う所もあるのだろう)
どちらでも構わんさ、むしろ仕事柄曖昧な方が有り難い。
あぁ、確認した限りでは――相当だ。
二人でも全ては厳しいだろうが、欲をかきすぎない位が丁度いい。
(宝物を懐に直せば、一息とつき。
ゴーグルを上げ、口を覆っている布を下げ、もう一つと呼吸。
一旦位には顔を見せておくのが、礼儀と言えば礼儀か)
侵入経路も、保管場所も分からず、どうやって一人で盗み出す心算なんだか。
右往左往して徒労に終わらせたいなら、別に止めやしな――いや、俺が盗みにくくなるから却下だな。
軽く手筈を相談してからの方がいいだろう、隠れる場所も丁度良く下にあるしな。
それに一応命を預ける事になるんだ、少し位は親睦も深めておきたい。
(ちょいちょいと屋根を指さしてから、ゆっくりと立ち上がれば、屋根の端にへと。
更にそこへから一歩と踏み出せば、落下、音もなく着地を終えれば、いそいそと扉に手を掛け、外し始めた)
■エーヴ > 「さじ加減ね。
塩味強すぎるんじゃないの」
不満を口にする。不機嫌というよりも不満があるらしいが、そのことで永延引っ張り続けるのも面白くない。話題は一度きるべきだろうとして組んでいた腕を解き、帽子の位置を調整する。
相手が素顔を見せれば、慌てて帽子を外しなおした。
黒い瞳と赤い瞳の視線が交わった。
「ぐ。痛いところをついてくれるね。
そうとも、僕は地下室の場所どころか手掛かりもわからないのさ……!
相談ね。了解しましたーアシュトンさまー」
どうだと言わんばかりに胸を張る。えへんという効果音でも聞こえそうなくらいに尊大な態度であったが、すぐに萎れていく。
場所もわからず、経路どころか手掛かりゼロなのである。
棒読み。テンションダウンをこれでもかと表現しつつ、相手を追いかけて屋根から飛び降りる。着地と同時に前転して衝撃を殺して。
相手が扉を開けるのを見つつも、どこから取り出したかピックを指に挟んでいた。
「錠前破りならお手のもん。無理なら言ってね」
少女は、扉を破った相手の後についていくつもりで背後で待っている。
■アシュトン > そういう事だ。
もっとも、俺が今さっき侵入を果たした場所でもある。
場所と経路さえ分かれば、そう苦労もしないだろうさ。
こんな短期間でトラップが更新されている、なんて事もないだろうしな。
俺の記憶に間違いが無ければ、暫く経った後に警備が薄くなるタイミングがある。
狙いは、そこだ
(盗賊らしからぬテンションの上がり下がりと言いたい所だが、自分も仕事の場でなければ似たり寄ったりである。
相手のセリフに返しながら、己は扉へと向き直り。
袖口からスルリと出てくるのは、ナイフではなく一本のワイヤー。
周囲に感知されない極最小限の術式でそれを操作すれば、鍵穴の隙間にへと侵入を始め)
流石に、コレぐらいの錠が明けられないヤツが、城に侵入しようなんて考えはしない、さっ
(カチリと小さく、向こう側から聞こえる金属が動く音。
中で形を変えたワイヤーが凹凸にはまり込むと、捻る動作でそのまま開錠を済ませてしまう。
あとはワイヤーを引き戻せば、証拠も残さず侵入完了である)
明かりはつけないが……ま、そのうち慣れるだろ?
(軋みを上げそうになる扉をゆっくりと開ければ、小屋の中へと。
少しと埃っぽく、周囲には剪定の道具が置かれてはいるものの。
暫くと過ごすには、問題も無さそうだ
少々手狭で、割と近づかなければ座る場所が余りと無い事を除けば、であるが。)
とりあえず、足りない装備があれば言ってくれ。
俺が持ってれば、貸してやってもいい。
(適当な場所に腰を降ろせば、脚を組み。
首の骨を鳴らせば、相手を見上げる姿勢に)
■エーヴ > 「魔術? いいなー」
相手の手元に集中していると、なにやらワイヤーが出てきた。ワイヤーで鍵を破るのだろうと思ってみていると、ワイヤーが不自然に変形して鍵穴の中へと入り込んでいくではないか。驚嘆の息を漏らす。
何せ習った魔術の大半が本来の効力を発揮できないくらいには魔術の素養がない娘である。羨ましいと思うのも無理は無い。
ひらけごま。扉が開かれると道具をごった煮詰め込んだ室内があらわれる。蜘蛛の巣が張っていたり埃臭かったり座る場所がほぼ無かったりとホテルには程遠いが打ち合わせにはうってつけであろう。
相手が腰を下ろすと、辺りには座れるような場所も無い。仕方が無いので相手の足元に腰を下ろし、両膝を抱えるようにした。
「警備が薄くなるんだっけ。いつごろか知らないけど、もしそうならタイミング逃しちゃまずいね。
囮なりなんなりは任せて欲しい。あ、色仕掛け以外でオネガイシマス」
相手のほうが詳しいならば潜入や工作も相手に頼るべきだろうと。
装備品について言われるとおもむろに上着を脱いで白シャツ一枚になった。上着の内側にはピックやナイフやらが並ぶ。手首の内側にもベルトで投げナイフがついていた。
上着を脱いでしまえば男装も余り意味が無い。体型が浮き彫りになるからだ。
「足りない装備? 強いていうなら薬品類だけど、持ってないでしょ? 麻酔とか」
膝を抱えたまま問いかけて。
基本は体が潜入装備だ。武器やらは補助に過ぎない。あったほうがいいが、なくてもできる。そういった盗賊だった。
■アシュトン > 派手な攻撃系は苦手だがな。
こういう、地味で便利なのは得意な方でね。
手先は器用なのさ。
(喉元で小さくと鳴らすような、笑い声。
出るときも同じようにして鍵を掛けてしまえば、バレる事はまずと無いだろう。
周囲に色々な道具はあるが、盗みを働くために使うには、向いていないと言わざるを得ない。
相手が腰を降ろせば、装備色々を詰め込んでそれなりに重量のあるコートを脱ぎ、床へと置く。
大事な商売道具であるが、ずっと着っぱなしでは少々方も凝るらしい)
まぁまだ少しとばかり先さ。
他のタイミングで入れないこともないが、楽な方が都合もいいしな。
色仕掛けか――なるほど、悪くはない。
バレずに侵入するのが基本だから囮を使う心算はないが、逃げ損ねた場合は、アリかもしれんな。
苦手かい?そーゆーのは。
(上着の内側に色々と仕込んでいるのは、お互い様という奴だ。
余り他人のモノを見る機会もないが、考える事は同じなのだろう。
シャツ一枚の姿に相手がなると、視線は胸元の辺りにへと。
サラシか何かを巻いているようにも見えるが、ソレを差し引いても中々のモノの様に思える
冗談じみた口調の後に、チョイチョイと伸ばした指先で相手の胸元を示した)
こっちが睡眠毒で、コッチが麻痺毒だな。
睡眠毒の方は気化しやすい、麻痺毒の方は武器に塗るなりが主な使い道だな。
(相手の予想を裏切ってあっさりと出てきた。
むしろ、そいうのは割とよく使う部類だ。
先ほど置いた上着に手を突っ込むと、握り取り出す二つの小瓶。
両方とも、液体は透明。
ゆらゆらと揺らした後に、相手へと放り投げる)
催淫毒なんてのもあるがね、コレは今回はいらな――色仕掛けように持っとくかい?
(唇が大きくと弧を描けば、もう一つの瓶。
薄い桃色のついた液体が入ったそれを、床に置いた)
■エーヴ > 同様に相手もコートを脱ぐと中身を取り出していく。
つまるところ無手などというのは真っ赤な嘘でナイフやらの仕込み武器で上着はパンパンだったわけであるが、今更どうというわけでもあるまい。
装備品の位置を直しつつ、ちらりと相手の装備品に目をやった。
「まぁ盗賊? かどうかわかんないけど、静かにやりたいなら派手な魔術はご法度だよねぇ。
大爆発起こせても人目引いたら意味ないし。
あ、なんだまだ先なんだ。で、どのくらい? もし一眠りする時間でもあればお昼寝しちゃおうかなーなんて」
相手の視線を追尾してみる。明らかに胸元に向かっている。さらに指先で示されると、急に恥ずかしくなってきたのか上着の前ボタンをぽちぽち留めた。
「色仕掛けなんてできるほどスキル(けいけん)ないもん。
茶化さないでよ、もう」
経験が無いわけではないが、色気を武器に出来るほど長けてはいないのだ。
頬の赤みを誤魔化すが如く放り投げられる瓶を受け取ると、窓から差し込む光に透かして中身を観察する。
「くれるんだ。ありがとねってなんでそんなん持ってんの……?」
床に置かれたるは名にやら桃色の液体を封入した小瓶であった。
指で摘むと胡散臭そうに眉に皺を寄せて相手を見つめて。
効果があるのだろうか。コルクを抜くと鼻をすんすん鳴らして嗅いでみる。薬品を嗅ぐときは手で煽って嗅げ。そうだと思い出したように手で扇ぐ。
「アシュトンさんはこういうの女の子に飲ませたりするわけなんだーへー」
湿った視線。
■アシュトン > (盗賊や裏稼業の『武器なんて持ってませんよ』なんて信頼性ゼロにも程がある話。
隠し武器やら道具一杯加減は、どちらもコチラもお互い様。
余り中身が見えすぎない程度に折りたたんではいるが、フル装備な分、ナイフやらワイヤー、ピッキングツールに薬品類、危険物っぽい円筒、その他もろもろ。
外からは分からないが、内側は大分重装備である)
場合によっては、魔術を感知する警戒装置、なんてモノもあるからな。
結局のところ一番頼りになるのは、己の自身の技術だよ。
んぁ、そうだな……直近で一時間後、次いで三時間後、五時間後か。
大体二時間おきって所だから、寝るのならそれでも構わんよ。
まぁ身の保障はしかねるがね。
(冗談めかして肩を揺らした後に、胸元が隠れていくと残念、とばかりに顔を横に振る)
そいつはもったいないね。
男にはマネ出来ない技術だ、身に着けておけば出来る事に幅を持たせられる。
なんなら、教えてやってもいいがな。
どうやれば男が喜ぶか、とかね。
(微かに双眸を細めれば、笑みを描く口の端)
毒物の類は、割と良く使うんでな。自分で作ってるんだぜ、それ?
単純に警備を無力化したり、戦闘でも効果があれば優位を取れる。
戦いにならないのが一番だが、殺したりするよりも、こういうので力を奪ったほうがまだスマートだ。
(自家製である、自分の師匠もまたこの手の調合には長けていた。
手のうちを晒す事になるが、調合を変えてしまえば問題はあるまい。
半分冗談で催淫毒も差し出してみた、のだが……)
そっちも対象の無力化に使えるし、後は尋問とか、単純に趣味とか――って
(まさか自分から嗅ぎにいくとは思わなかった模様。
アグレッシヴにも程がある)
飲ませたり嗅がせたりすることもあるな、仕事以外でも、ね。
気に入った女の子に盛って、悪戯しちゃう悪い男さ。
どうだい、効果の程は?
思考の鈍化に始まり、性欲の増大、性感帯の鋭敏化、体温の上昇。
魔族にも効果のある、自信作なんだがね。
(狭い室内の中で身を乗り出せば、相手へと顔を近づけて。
そろりと伸ばした右手、相手の胸元にへとのびていく)
■エーヴ > 男と対する少女の装備の大半は小物かつ威力を限定したものばかり。
盗みはしたいが、殺しはしたくない。という理由からナイフも威力を抑えたものばかり。間違っても銃や爆弾は無い。当たり所が悪かったときのことを考えているせいで。
流石に昼寝はできないらしい。もっともする気もなかったのだが。流石に初対面の相手の目の前で寝顔をさらけ出すだけのことはできないからだ。
足を解くと、すらり長い両足を地面に投げ出した。
「故郷のお師匠さんも言ってたけどね。
色仕掛けも時には有効だぞとかなんとかかんとか。
僕は技術一本で世界をあっと言わせてやりたいから、お、こ、と、わ、り」
唇を尖らせて拒絶を示した。もっともかすかに目が笑っていることから冗談に冗談を返す程度の気持ちでいるようで。
少女最大の失敗といえば自分の使う薬品がいずれも飲むか傷口から染み込ませる型であったことであろう。
催淫毒が嗅がせるなりしても効力を発揮する代物であるとは想像しなかったのだ。
強烈な香りが鼻腔を焼く。手元が滑って落ちて、足の付け根に瓶が落ちて内容物がぶちまけられた。
「っ!? げほっ! ……ごほっ!」
体に付着した液を取ろうと無駄に手を服の上で滑らせる。
魔族にさえ効力を発揮するよう調整された薬剤が既に回り始めているのか、頬は紅潮し、目元がとろんと下がっていた。
男の手がぴとりと布で押し付けられた胸元に触れると、びくんと全身を震わせて地面にうずくまり。
「――ひゃああっ!? あ、っ ンぁ」
顔をあげると、目と鼻の先に男の相貌があり。
首をぶんぶんもげそうな程に振ると、しかし男の手をがしりと掴んで体を寄せて。
「すごい効果……んっ……あるのはわかった、から、げどく、しない?」
まだ辛うじて理性はあるようで、薄く涙を浮かべた瞳で懇願して。
■アシュトン > 『そういう時』が一番無防備だからねぇ。
色仕掛けも技術ではあるが、盗みの技術、という事か。
いや、そういうのも、嫌いじゃない。
なるほど、面倒な所ばかり狙うのも、そういう理由か。
(何かを納得したかのように、コクリと頷く。
自分と言えば基本的に仕事としてこなすタイプなので、眩しく見えない事もない)
なんだ、随分余裕がありそうに見えたが……そうでもなかったのか。
まぁ他人が作った毒だからな、完全に耐性をつけるのは難しい。
(催淫毒の主な使用方法は、飲ませるか、嗅がせるかである。
勿論直接体内に取り込ませる分、前者の方が効果的ではあるのだが。
状況が限定されるため、ある程度の揮発性と、吸引による効果も織り込まれている。
咽せながらも、毒の効果を拭い去るようにもがく相手にへと身をよせれば、瓶が落ち、液体に濡れた足の付け根にも、もう一方の手を伸ばし。
秘所の辺りにへと擦り塗り付けるように、服の上から弄んでいこうとして)
効果は十分、といった所か。
あんまり大きな声出すと、バレちまうかも知れないぜ?
(そんな事を言いながら、柔らかな胸元に触れる手の平。
言葉や仕草とは裏腹にしっかりと押し付けられると、膨らみの形を歪めるように指へと力を籠め。
強弱織り込んで、揉みほぐし始める)
解毒か……そうだな。
大仕事の前だ、ミスっても困るし、仕方ないか。
(肩を竦める仕草をすれば、透明な液体が入った瓶をコートから引っ張り出し。
それを己の口に含めば、涙浮かんだ瞳へと、黒い瞳が更に近づいて。
ややと強引に奪うように、唇を重ねあわせ、液体を流し込んでいこうとする
――勿論、解毒薬なんてモノではなく。
もう一段階強い、媚薬だったりするのだが)
■エーヴ > 【続きます】
ご案内:「王都マグメール 庭園」からアシュトンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 庭園」からエーヴさんが去りました。