2016/07/22 のログ
ご案内:「王都マグメール王城:少し奥まった旧訓練所」にエーシアさんが現れました。
エーシア > 【昼下がり:旧訓練所】

目の前の訓練用の案山子を前にして静かに息を吐く。
集中。
魔導鎧に静かに魔力を送り込む。
魔力は義腕となっているこの魔導鎧に注ぎ込む潤滑油のような役目。
注ぎ込む魔力の質と量が良ければ良いほど、精密に動く事が出来るし、また魔導鎧の強度にも関わる。

戦場では、そんなに悠長に魔力を練り、注ぐ暇は無いが、たまにはこれぐらいはしておいた方が、いい。

「……」

ゆら、と手を挙げて構える。

エーシア > 魔力が全身、そして義腕に満たされる感覚。
義腕の指がキリキリと音を立てる握られて。
そして開く。
また、握る。
思い通りに動く事をイメージした後、確認して。

「っ」

目を見開く。
と同時に全身の細胞と魔力を活性化させれば振りかぶり、案山子へ義腕を振るう。

ガゴン

鈍い音がして案山子が撓む。
そのまま身体を流す様に動かして、蹴り。

義腕での打撃よりは撓まないものの、具足部分での打撃は、十分に案山子に先ほどと同じような音を旧訓練所に響かせた。

続けて再度の義腕での打撃を。

「っと」

命中寸で止める。
突然勢いを殺された義腕はコン、と案山子に当たり小さな音を立てて。

「危ない危ない」

こんな古ぼけた案山子でも国の備品で。
壊せばその分給料から差っ引かれる。
前も一度壊し、差っ引かれた所であって。

「これを壊してもしっかり持っていかれるのですから」

義腕ではない方で案山子に触れて。
使い古された案山子はあちらこちら痛んでいて。

エーシア > 「……」

ぐるぐると魔力はまだ回す。
少しずつ消費されて抜けて行く感覚。
何もしなくても魔力は少しずつ少しずつ、魔導鎧に吸い取られていく。

魔力を回すの止めれば、当然魔力の消費は抑えられるが。
訓練もこれ以上流行る事が無い。
魔力の供給をある程度最低限へとストップさせる。
が、魔導鎧はその分、代償が付きまとう。

「……ふう」

息が荒く熱くなる。
身体の熱がぐつぐつと、魔力の代わりに魔導鎧が熱を発して身体へと還していくように。

エーシア > これがあるから。
旧訓練所を選んでいる理由だ。
といっても、肩身が狭いのもあるのでわざわざ近づいたりはしないのだけど。

じくじくと身体の芯から熱くなる感覚。
ゆっくりと案山子へ寄り掛かる。
ギシ、と軋んだ音。

「もう……」

長年、付き合うがこの代償を克服した事はついぞと無く。
ぜえ、ぜえと息が更に荒く熱く。
ずるずると寄り掛かった案山子からずれ落ちて、ぺたんと座り込んだ。

エーシア > 「んん……」

座り込んだまま、もじ、と太腿を擦り合わせる。
微かな刺激が身体をピリピリ、と廻る。
それだけでも十分にそのまま先へ行ってしまいそうな位の刺激。

幸い、今は誰も居ない。

「―――」

とはいえ、ここでコトに及ぶ、と言うのは出来るだけ、避けたいのだ。
人は確かに通らない。
が、通らない事も無い、のだから。

もっと、と身体が望むのをどうにか歯を食い縛って自制して。
再度案山子に依り掛かる様にしてよろ、と立ち上がる。

エーシア > どうにか立ち上がって。
ふら、ふらと歩く。
抗えないにしても、どうにか自室までもたせると決めて。
確立としては大体半々ぐらい。
深呼吸をする度、少しだけ、身体が落ち着くのを最大限に活用して。
それもすぐに熱で埋まっていくのだが。

少しずつ、ゆっくりと極めて平静を装って、出来るだけ人気のない道を通ると決めて、修練所抜けていく。

ご案内:「王都マグメール王城:少し奥まった旧訓練所」からエーシアさんが去りました。