2016/01/11 のログ
■リーゼロッテ > 「……?」
今、人の声がしたような。
移動の途中に小さな悲鳴を聞き止めるも、周囲を見渡しても隠れてしまった彼を見つけられない。
気のせいかなと、軽く首を傾げれば作業へと入っていく。
小さな鉢植えがいくつも揃えられた箱、一つ一つ丁寧に取り出しては、慎重にそれを植える。
葉が脆く、傷がつくとすぐに枯れてしまう。
だから茎に触れる時も丁寧に、繊細な作業故に意識もそちらばかりに傾倒する。
「……っ!?」
そして…飛びかかる音に、はっと振り返るもすでに遅く、倒れそうになりながらも片手をついて、体勢を維持した。
「な、何ですか…っ!? 私、ここで植物のお手入れを願いされただけですよっ…! あの、所属とかなんだとかだったら、ちゃんと証明のもの、持ってます…っ!」
忍び込んだ悪党か何かと勘違いされたのかもしれない。
そう思えば、暴れることはなく驚きに満ちた声で答えた。
顔を覗きこめば丸い瞳が、いつもより大きく開かれて慌てふためいているのが見えるだろう。
■フロンス > 近づく間、もし他に誰かいたら失敗してしまうことを恐れて周囲を警戒しながら進んでいく。
そして、作業に集中していたのか反応が遅れて振り返られると、背後から羽交い絞めにする余裕もなく体当たり気味に押し倒そうとする。
「あ、えっ、と所属…こっちにき、来い…!声を出さなかったらケガはさせないからっ!」
その場に倒すはずがあっさりと体勢を維持されてしまったことへの動揺もあって、脅迫者としてはやや迫力に欠ける脅しを相手に言い、少年は刃が見えるように短剣を顔に近づけて見せる。
その際見えた相手の顔を、少年は緊張感なく悪くないどころか良いという品評が浮かびかけるが、まずは草陰に連れ込むことを優先しようとした。
所属と言われてもしかしたら軍か傭兵か、その類の相手だったのかと思い、乱れたフードから覗く少年の額には冷汗が浮かんでいる。
■リーゼロッテ > 体当たり気味に押し倒されそうになると、倒れそうになる先にある植物をかばおうと、手をついてしまうのだが…倒れなかっただけで、それ以上に動くには無理がある格好。
刃を見せつけながらの脅しの声は、なんというか今までとは全く違う。
曲がりなりにも戦場で多少なり殺し合いに晒されてしまった分、迫力にかける声にきょとんとしてしまった。
そして、怪我はさせないという言葉に…慌てていた表情がすっと引いていく。
「…じゃあ、どうするんですか?」
ぽつりとつぶやいた言葉。
前の夜に助けようとした少女に、陵辱を受けた夜を思い出していく。
この人もそうやって人を貪るのだろうか、刃が怖くないわけではないけれど、肩を震わせながら答えた。
顔が見えれば、目元は笑っていないが、何故か口角が上がっている。
可愛らしい顔に不気味な笑みが張り付いていた。
■フロンス > 刃物を見せてもきょとんとした表情を浮かべている様子には、それなりの場数を踏んでいるのだと理解し、同時に商談相手の誰かが、大きな戦争があったと伝え聞いていたことを思い出した。
「ど、どうするって、殺したりしないよ?ただちょっと僕たち…僕の楽しみに付き合ってもらうよ」
呟くような言葉に、少年は動揺を押し隠そうとしながら言葉を返す。
肩を震わせる少女が、襲われているにも関わらず泣くでもなく、怒るでもなく、張り付いたような笑みを浮かべている様子には少々気圧されそうになったためか、つい片割れを頼りたい気持ちから自称を間違えかけていた。
それでも鬱屈したものが溜まっているせいか、ズボンを押し上げる半身は正直になっている。
「ま、まずは、その銃をゆっくり降ろして」
そう少年は少女から底知れぬ何かを感じながら、恐る恐るホルスターを抑えている手を離しながら促した。
相手がどんな背景を持っていても、まず武器がある内は全く安心できないからだ。
クマの浮かぶ目は少女を真っすぐ見据えていて、周囲に気を配るよりも目の前の少女から目を離さないようにしていた。
■リーゼロッテ > 「……違いますよ、殺せない…んですよね?」
身勝手な言葉に、この娘にして珍しく冷笑が浮かんでしまう。
殺されるのは嫌だけれど、命のやり取りを欲望に掛けながら殺しを躊躇う彼が、自分よりも情けなく見えてしまった。
ホルスターにかけられた掌が離れれば、くすっと笑ってしまうのだが、とても冷えている。
先程まで花を愛でて微笑んでいた少女とは思えないほど、残酷な微笑み方。
「人が人を殺そうってする時…よほど慣れてないと、凄く必死なんですよ? 相手が男とか女とか、子供とか大人とか…関係なくて、殺さないと自分が殺されちゃうんです」
初めての戦いで、吐き気を催したほど、人を殺すのは心を蝕む。
未だにそれに悩むというのに、ズボンをふくらませながら脅しかける彼を寒々とした笑みで見つめる。
「嫌です…乱暴されたいなら…私を殺して、死体にしてからでいいですよね? 男の人は、抱くだけなら死体でも構わないって…聞きましたから」
否定すれば刺されるかもしれない間合いで、はっきりと嫌だと答える。
少女の古傷を開かせてしまった以上、脅すだけの刃物では従いそうにないのは、表情でわかるはず。
予想外の暴力なり、他の何かなり…死を恐れないという強がりを崩さないかぎり、少女は彼の自由にならないと抵抗していた。
■フロンス > 「…やっぱり、動乱にいたんだ」
酷薄な笑みを浮かべる少女が語る言葉は、生々しくどこか深い闇を見せるものだった。
戦争で殺し合った経験のない少年には、その恐怖や現実には全く理解が及ばず、少女の考えもわからなかった。
ただ言われた言葉に反論できず、言葉に詰まってしまう。
押し倒して刃物を突き付けているにも拘らず、言い任されているという珍妙な図ができてしまっていた。
「殺したりしないよ。死体じゃ、声も上げないし面白くないし、そっちも怖くないんでしょ。…じゃあ、銃も捨てなくていいよ。そっちのわざわざ倒れないようにして守った仕事がなくなっても困らないよね」
拒否する少女の言葉に、殺したり傷つけることが目的ではない少年も刃物の脅しが通用する相手ではないと諦めをつける。
そして、周囲に注意が向かなくなるぐらいに集中していた鉢植えへと視線を移しながら捨て鉢に言い、そちらへと手を伸ばそうとした。
命で天秤が揺らがないなら、命以外のことで天秤を揺らす方策に切り替えるつもりであった。
■リーゼロッテ > 「いましたよ…好きでいたわけじゃないですけど」
確かめる言葉に肯定で答える、脅しの刃もそのまま突き刺そうとする素振りもなく、彼も諦めただろうと…思ったが。
「…最低ですね。 ―――何を…?」
嫌悪を浮かべて言葉を吐き捨てると、彼の手が庇っていた植物の方へと伸びていく。
何をするつもりやら、どちらにしろこの不安定な体勢では動くこともできないわけだけれど。
しかし、言葉の意味を改めて脳内で繰り返せば、その草を壊そうとしているという予測は浮かび、はっとした、慌てた表情へと変わっていく。
「ちょ…ちょっと待ってくださいっ、それ、なんだか分かっていないんですかっ!?」
ここらでは自生するのを見ることすら珍しい植物で、花を咲かせれば観賞用としても高値で取引されるし、薬用としても多種多様な使い方が考えられる珍しい植物だ。
数もめっきりと減り、潰えるには勿体無いという言葉で片付かないもの。
金云々というよりは、貴重な存在を壊そうとする彼の行動に正気を疑ってしまう。
■フロンス > 「うん、わかってるよ、これでも魔法薬作ってるからね。だから逆に、どうやったらコレの価値を一番損なえるかもわかるんだ」
今までまるで凍り付き淀んでいた少女の表情が劇的に変わるに対して、少年の瞳が笑むように歪む。
慌てた少女の言葉よりもその反応を見れば、最初に命で揺さぶろうとした自分の暗愚を嗤うように少年の顔に意地悪い笑みが浮かび、その鉢植えを手に取る。
それが損なわれることでどれだけの損失を被り、また自分の家の信用にも関わるということが、少年にはわからないからこそ大胆に行動できた。
「君も変わってるね、自分の命より植物の方が大事だなんて。ああ、本当にすごいねコレ」
そう言いながら少年は植物の鉢を持ちながら、しげしげとその植物を眺める。
そして少女にわざとらしく不安定に持つ様子を見せながら、そう率直な言葉を零してみせて。
■リーゼロッテ > 「わかってるならなんで…!?」
金で片付く話といえばそのとおりだが、自然を愛する少女からすれば彼の行動こそが理解に苦しむもの。
こちらが慌てるさまを見て、彼が笑みを浮かべれば内心は一層に冷えていく。
自分だけでなく、貴重な植物すら弄べる神経には悪寒を覚えるほど。
「別に命より大切とか、そういうものじゃ…って、やめてくださいっ、落としたらどうするんですかっ!?」
不安定にそれを持つのを見やれば、やめさせようと体制を整えようとする。
ともかく、この悪ふざけをやめさせないと…と、意識がそちらへと傾いていた。
■フロンス > 「コレも欲しくなるかもしれないけど、今欲しいものじゃないし」
理解に苦しむ少女に、さらりと言ってのける。
すっかりズレて露わになった素顔には、手に持つ希少な植物への興味がまるでないことがよく見て取れるだろうか。
「おおっと気を付けて!君が大きく動いたら驚いて手が滑っちゃいそうだよ。少なくとも君の仕事はおしまいだね」
体勢を整えようとする少女の動きを見て、そのまま腕でも掴まれたら即座に負けることがわかっている少年はわざとらしい忠告に似せてすらいない脅しを吐く。
その際一層不安定に持って見せようとして、本当に落としそうになったところをかろうじてつかみ取ることに成功した。
「じゃあ改めて聞くけど銃、降ろしてくれないかな」
そして少年は、今度は先ほどよりも余裕のありげな態度で少女に問いかけた。
少なくとも目の前で鉢を地面に叩きつけるくらいは平気でやりかねないことは、これまでの植物の扱いを見てわかるかもしれない。
■リーゼロッテ > 「欲しいとか欲しくないじゃなくてですね…!」
そういう問題では無いと頭を振るも、わざとらしいしぐさで忠告する姿に、更に珍しく顔に苛立ちが浮かんだ。
こんなに顔へ憎悪のシワを寄せたのは、生まれて初めてかもしれないと思うほどに。
更に追い打つように余裕に溢れた態度を見せられれば…温厚な少女でも堪忍袋の尾が切れる。
もういい、どうでもいい、このやたらめったら腹が立つ男を叩き伏せたい。
柔らかな笑みを一度浮かべると、ゆっくりと細めた瞳が冷たく彼を睨んだ。
瞬間、今までで最高速度のファストドロウで銃を引き抜くと、銃口に魔法陣を広げた。
「……っ!」
後は引き金を引くだけ、その状態で憤怒いっぱいに睨みつけるも…数秒そのままつきつけるだけで引き金は絞らない。
契約獣に思念で、自分の居場所を常に追跡すること、そして…九頭竜山脈の麓にいる仲間へ、このことを伝えるように指示を伝えていく。
伝えられた契約獣の方は、やれ食い殺してやるだの、やれ空から放り捨ててやるだの、物騒なことを宣うが、ここで暴力沙汰を起こした後の後始末の大変さが天秤の釣り合いに買ったらしい。
そんな見えないやり取りを終えると、銃口を下ろしながら魔法陣を消していく。
「……ここで暴力と殺人をすると、お仲間さんに迷惑がかかりますから、やめておきます」
そうでなければ撃っていた。
捨て台詞じみた言葉を紡ぐと、銃をホルスターに戻し、ベルトを外す。
綺麗に拵えてもらった銃だから傷つけたくはない、それに彼に触られたくない。
グリップに触れられないようにベルトを巻きつけると、足元へと静かにおいていく。
■フロンス > 「…あっ」
やり過ぎてしまった、ということに少年が気付いて声が漏れるもすでに遅く、少女が銃を抜き魔法陣を展開するその瞬間まで、少年は全く動くことができなかった。
手に持っていた鉢を落とさなかったのは、壊してしまえば相手の天秤があっという間に撃つほうに動いてしまうかもしれない、という高尚な計算でも何でもなくただ体が硬直しただけで。
銃を突き付けられ、どこからか出てきた使い魔らしき存在が物騒に喚き立てる間、少年は額に冷や汗を浮かべながら硬直し、口に溜まる唾を呑み込むことすらできない。
「…ふうぅぅっ、怖いね、やっぱりアイツみたいにうまくは行かないや」
下手をしなくても撃ち殺されていたかもしれないという実感から、安堵のため息は深く重い。
ベルトを入念に巻き付けた銃を置くのは、使わないことの意思表示と少年は受け取り、ただの銃でないことは身を持って教えられたため触ろうともしなかった。
「それじゃあ、服はそのままでいいから、ショーツだけ脱いでくれないかな?ほら、僕片手埋まってるし」
そして、続く要求を言いながら少年は、どうせ持っていても何の役にもたたない短剣を鞘にしまい、カバンと一緒に地面に降ろして片手だけは自由にした。
言い訳がましく付け足した言葉は、微妙に弱気になっているせいで意識せずに口についてしまっていて。
■リーゼロッテ > 「……」
安堵の息をつく様子を、苛立ちの視線のまま睨み続けると、銃を置いていく。
それと同じくして、鳥の羽ばたきの音が夜闇から聞こえたかもしれない。
ザムくん真面目だから、本当に腹がたったんだろうなと…それでも従ってくれた契約獣に、心の中で苦笑いを浮かべる。
続く命令に、不機嫌顔のまま、言葉も返さずにもぞもぞとスカートの中へ手を滑り込ませた。
何時もなら恥ずかしいとか、女の子らしい感情が働くところなのだが、気分が悪くてそんなしおらしい感覚も消えてしまう。
ただ、脱ぐ瞬間に見られるのは癪だからと、スカートの下が見えないようにショーツを下ろしていき…白地に薄桜色のレースが飾られた可愛らしいデザインのそれが晒され、片足ずつ抜いて、脱いでいく。
「…これでいいですか?」
手の中にショーツを収めたまま、じっとそちらを見やりながら呟いた。
■フロンス > 安堵のため息を吐いても、早鐘のように鼓動を打つ心臓は容易には収まらず、銃が置かれれば再び安心したように肩を撫でおろす。
少年のそういう態度が少女を逆撫でしているとは気づけないでいた。
要求通りにスカートの中でショーツを脱いでいく少女を眺めていると、無理やり脱がすのとは違う様子に何とも言えない新鮮さを感じてまじまじと見つめていた。
「うん、ありがとう。それじゃ、動かないでね」
そして、脱ぎ終わってショーツを握ったまま問いかけてくる少女に、少年は頷きながら次の要求と行動に移る。
いちいち確認してしまうのは、まだ何か魔法が使えるのではないかと恐れを拭いきれていないためか。
太腿を擦るように白い掌を滑らせていきながら、中で露わにされている秘所へと指を這わせて、いきなり指を突っ込むようなことはせずに秘唇や割れ目を擦るような手つきで触れていこうとする。
■リーゼロッテ > やっぱり、撃ってしまった方が良かったかもしれないと、今更ながらに思うところ。
まじまじと眺める視線に嫌悪を感じるばかりで、彼とは裏腹に、少女は熱を帯びるどころか冷めていくばかり。
不機嫌 と、一文字に表すのが相応しい表情で彼をじっと見ていた。
「……」
動くなといわれれば、小さく頷いてそのままに。
事実魔法もつかえれば、やろうと思えば彼に突風を浴びせて壁に叩きつける力もあった。
それをしないのも、自分がいる組織に迷惑を掛けたくないから。
多分、やっても許されるだろうけれど…少女のほうが気にしてしまう。
だから、太腿を撫でられても、こそばゆい刺激に体が小さく跳ねながらもされるがまま。
まだ初々しさが残る陰裂からはラビアがはみ出ることもなく、綺麗な一筋だけで彼の指に伝わるだろう。
探るような感覚を覚える手つき、蜜が滴る様子もなく、僅かな湿気と熱がこもっていた。
「……何したいんですか」
乱暴に貪るわけでもなく、ただ触るだけの手つきに、訝しげながらに冷静な声がこぼれ、視線でも彼へ問いかける。
■フロンス > あからさまに機嫌が悪くなっていく少女が、またどこかで爆発するかもしれないと警戒する少年の目には恐れとは別の感情も宿っていた。
いざとなれば自分を簡単に殺せる相手を限定的ながら自由にできるという歪んだ快楽を覚え始めていて、血色の悪い頬はやや紅潮し、息も荒くなっていく。
「何って、性欲の解消の準備だけど。濡らさないでやっても僕も痛いし」
不審そうにしている少女に、少年はすっとぼけたように答えながら、指に触れた割れ目をなぞるように指を動かしながら、少しずつ解すように指を沈み込ませていこうとする。
勿論、本心はその少女が乱れるところを見たという部分にあるが、それは正直には口にはしないようにして。
時折手に持っている鉢を煩わしげに見ては、ふと思いついたように少女の顔を覗き込むように顔を近づけながら唇を重ねようとする。
■リーゼロッテ > 何一つ興奮を覚えず、心が冷えていくばかりの情事。
別に自分でなくとも、ただそこに女体があればいいような…そんな印象を受ける前戯。
一方的に興奮していくさまが見えれば、ぞわりと悪寒が肌を泡立てさせる。
人をこれほどにまで嫌悪して憎めるものなのかと、黒い感情の波に少しだけ心がチクリと痛む。
それもただ冷えきった瞳には一切出さないのは、少女の意地のようなもの。
「…卑怯なことばっかりするのに、そういうところだけは普通っぽいこというんですね」
辛辣な言葉で答えながら、うっすらと笑い返す。
指の感触も快楽が云々というよりは、嫌悪感の強さで粘膜を触られる度に気持ち悪さを覚えてしまう。
それでも触られれば、さらりとした愛液が少しだけ滲み出てくるが、それは身を守るために分泌していくばかりで、欲望に溢れさせるような粘りのあるものではなかった。
「…っ!?」
ふいに顔を近づけられ、唇が重ねられれば驚きに目を開くも、間近に来る彼の顔を見たくないからと違う理由で瞳を閉ざす。
きゅっと唇を閉めて、それ以上の侵入を拒むようにしながら、重ねるだけの淡いキスであればおとなしく受け入れるだろう。
■フロンス > 「そう、かな?普通とか、よくわからないんだ。卑怯なのは間違いないけど」
少女の揶揄するような言葉の意が、いまいちわかっていないように少年が首をかしげる。
触っている内に体が自衛のために愛液を分泌し始めると、閉じたままの入り口を浅く擦るようにして、人差し指を少しずつ差し入れていこうとする。
少女が内に秘めようとしている暗い感情を知らない少年は、相変わらず鉢を持つ手をそのままに少女への愛撫を続ける。
「んっ、こっちはさせてくれないんだね?」
顔を近づけた途端に目を開いたり閉じたりする少女の顕著な反応を不思議そうに見ながら、唇同士を重ねるように角度を変えてはキスを落としていく。
相手が唇を閉じる抵抗には、無理に舌を入れようとすれば噛まれる気がして、小首をかしげて問いかける。
■リーゼロッテ > 「そうでしょうね…臆病で、上に立ったときだけ強気な…弱虫の卑怯者ですから、普通がわからないんですね」
こんな状況でも辛辣な言葉が尽きない。
嘲笑が口元に浮かび、まるで煽るかのように罵る言葉が溢れた。
愛液がこぼれ始め、膣口に指が入り込んでいくと、ざらりとした側面の肉壁が指を包んでいく。
びくりと腰が跳ねるものの、快楽の波はまだ浅く、呼吸に乱れも浮かばない。
何度も重ねられる唇が鬱陶しく感じてしまい、重ねれば重ねるほどに不機嫌度が増していく。
口内への侵入を拒む理由、それが分かってなさそうな彼の言葉に、小さくため息がこぼれた。
「…そもそも、キスもされたくないです」
彼を嫌悪している、本当なら触れられたくもないし、抱かれたくもない。
ただ、そうせざるを得ないからされるがままでいるだけ。
包み隠さず、棘のある言葉を突き刺すように放てば、冷えきった瞳が彼を嘲笑う。
「好きでもない人にキスもされたくないですし、触られたくもないですよ。どうしますか…? あまり濡れなかったら入れても痛いでしょうし、出来無いですね。せっかく、手を出せたのに…残念ですね?」
力を奪い、自由にできるという弱者の優越を嘲笑う言葉。
刺激もまだ浅く、少女の快楽のキーとなる心が固く閉ざされている今だからこそ、余裕のある言葉が紡げる。
不気味な微笑みを貼り付けて、彼のすべてを侮蔑しようとしていた。
■フロンス > 「…そういわれると言い返せないね」
ストレートな少女の侮辱は、少年の有様を言い表すには的確なもので、嘲笑する表情を見せる少女に対して少年は再び言葉に詰まってしまう。
指先に感じる膣内の入り口を擦る指が包み込まれていけば、少しずつ奥へと進むように触れるが、濡れるのも最低限のものだった。
キスをするために近づいたことで、自分を嘲笑う瞳に射竦められてしまう。
「好きになってもらわないといけないんだね。仕方ない、君には勝てないみたいだ」
刺々しい相手の物言いに、少年は眉根を下げながら一つ嘆息する。
馬車を待つ時間に、彼女に手を出すには何もかもが足りないと悟り、また浮かべられる不気味で底知れない笑みに対して、少年は指を引き抜くと少女から体を離して立ち上がっていく。
地面に置いた荷物を持ち上げると、手に持っていた鉢を掲げながら少しずつ離れていく。
どれだけ侮蔑されても、煽られても、命が惜しくない少女のように捨て鉢に動くようなことは少年にはできそうになかった。
銃が向けられないところまで離れた少年は手に持っていた鉢を庭園の出口に置いて去っていくだろう。
ご案内:「王都マグメール 王城 植物園」からフロンスさんが去りました。
■リーゼロッテ > 一歩間違えば、その言葉に逆上されて刃を突き立てられ、殺されていたかもしれない。
侮蔑の言葉で彼を追い返し、指が胎内から引きぬかれていく。
鉢を人質というように抱えていくのを、ただそのまま見つめる。
じっと、嘲笑は消えて、感情を失ったような無表情が見つめていた。
庭園の出口から消えていき、気配が遠ざかるのを感じると…ぺたりと尻もちをついて座り込んでしまう。
憑き物が落ちた様に表情が動き出し、ポタポタと涙が溢れていく。
怖いのもそうだが、指を入れられ、唇を奪われ、汚されかかった感触が嫌悪しただけ深く体に染み付いてしまう。
ぎゅっと自らの肩を抱きしめて、震えながらに涙を零し、体を丸め込んでいく。
「…ひっく…もう、やだ…っ、なんで……っ」
油断した自分も悪かったが、どうしてこんなひどい目に合わないといけないのか。
悲しいのか怖いのか、何が何だかわからなくなり、沸き立つ感情の激流に流されるがまま嗚咽をこぼした。
「…ザムくん。もう、大丈夫だから…戻ってきて? お仕事したら…帰ろう、ね?」
思念の言葉を口ずさんだのは、自分に言い聞かせるためか。
涙が止まらないままに、無理に微笑みつぶやく。
掌に丸め込んだショーツを履いて、再び植物を空いたスペースへと植えていく。
彼が人質として持ち去ったそれも余すことなく完遂し、深夜の空に鳥の羽ばたきが近づいてきた。
報告を終えると、大きな鳥の背に乗って九頭竜山脈の麓へと飛んで行く。
何時も異常に念入りな入浴を済ませ、眠りに落ちるまでずっと使役獣へ話しかけていた。
穢を忘れて眠れるように…。
ご案内:「王都マグメール 王城 植物園」からリーゼロッテさんが去りました。