2016/01/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 植物園」にフロンスさんが現れました。
■フロンス > 皇位継承権を持つ王族の一人に茶会と称して王城に呼び出され向かった少年は、つい先ほど雇い主の期待に沿う品物を渡して報酬を受け取ったところだった。
頼まれた魔法薬は、意識を混濁させて記憶を曖昧にさせる効果を付加したうえで、高い効果を見せる媚薬と、副作用や反動の少ない精力剤の二種類であり、舞い込んでくる依頼としては定番のものだった。
「凄い…触るなって念を押されるわけだよ」
迎えの馬車が遅れている間、好きに見て回るだけならいいと案内されたのは、多種多様な植物や花が植えられた植物園だった。
少なくとも客として呼んだ以上は歓迎する態度は見せるんだと考えながら、植わっている希少な植物の数々へ視線を送ると、どれも下手な宝石よりも高価で魔法薬の材料になるものも少なくないことがわかる。
「こっちを報酬にしてもらったらよかったな…」
人付き合いが苦手で、交渉事もまだ不慣れなため殆ど相手の提示した条件に流されてしまったことに後悔してしまう。
その分ぶつぶつと独り言も増えてしまい、欝々とした表情で植物たちを見ながら棒立ちする姿が、雇い主の不興を買うかもしれないというところまで頭が回らなかった。
ご案内:「王都マグメール 王城 植物園」にリーゼロッテさんが現れました。
■リーゼロッテ > 独り言をつぶやく彼に届くだろうか。
薔薇園の様な植物園へ、コツコツと小さな足音が近づいてくるのを。
薄茶色の波打つ髪を揺らしながら、鼻歌交じりに少女が何かを抱えて彼の視野に入ってくるだろう。
手にしていたのは、ここらではなかなかお目にかかれない特殊な植物。
少女が請け負った仕事は、それを綺麗に庭へ植えてくること。
勿論、その後の手入れやらもあるのだが…草木に触れることを生業とした少女からすれば、馴染みあることでもある。
「~♪」
彼がいることに気づかぬまま、庭園の空いたスペースへしゃがみ込むと、小さなスコップで土を優しく掘り起こす。
見た目の割に手際よく、作業をこなしていく姿が妙に無防備なのも、王城で襲われることもないだろうという油断のせい…かもしれない。
何時ものライフルは手にしておらず、代わりに腰から短銃を一つ革のホルスターに収めているぐらいだ。
■フロンス > 自由にできる資財の差を見せつけられた気がして、ただでさえ目に浮かぶクマのせいで陰気に見える表情が沈む。
「…っひ!?…?」
そんな時、急に聴こえた足音に、他に訪れる者などいないと思っていた少年は大きく肩を跳ねさせ、反射的に鬱蒼とした草木の陰に隠れてしまう。
そして恐る恐る顔を出して足音がした方へと視線を向ける同時に鼻歌が聴こえてきて、それを発している人物がどうやら庭師の少女だとわかるとホッと一息をつく。
「まだ植えてないものとここにいる人は別、だよね…」
スコップを片手に植物を植えている少女を草陰から見ていると、悪い性分が鎌首をもたげてくるに従い、名前も知らぬ庭師の少女を溜まった鬱憤のはけ口にすると決めて。
肩掛けカバンを後ろに追いやり、外套で鞘を包みながら短剣を引き抜くと、腰のホルスターに見える短銃を持っていることを何度も確認しながら、少しずつ草木の陰に隠れて進んでいく背後から近づいていこうとする。
ある程度近づけば、影でバレたりする前に背後から飛びかかり、短剣を持った手を首に押し当てようとしながら、もう片方の手でホルスターを抑えようとするだろう。