2015/12/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 大会議室」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 大会議室ではティルヒア動乱の戦後処理が紛糾していた。
それもこれも、豊富な資源を持つオリアーブ島の処遇をどうするのか、誰が統治するのか。全てはここに端を発している。
なので、戦後処理を決めるこの会議が紛糾するのは分かりきっていた。だが、それに拍車をかけたある出来事がある。

『騎士団は納得できぬ! 今更ティルヒアの罪を無かった事にせよなどと!』
『それに関しては既に既定事実としてオリアーブ島住民に知れ渡っている。撤回は今後の統治に悪影響を……』
『そんな事で、この動乱で散っていった騎士達に顔向けできようか!』

いわゆる、「ティルヒアの無罪」がこの会議の焦点である。
ある王族から出されたというティルヒアを無罪とする告知。これが騎士団の逆鱗に触れた。
当然だろう、自分達が戦っていた相手を無罪放免にし、はいそれまでよとなったら騎士達の面子は丸潰れだ。
一方で官僚達はこの告知を歓迎している。ティルヒアのカリスマから言っても、告知により戦後の統治は格段にやりやすくなる。

「くぁ……」

そしてオーギュストといえば、面倒そうに会議室の一角であくびをしていた。
彼の戦功は主に王都防衛と北方回復であり、ティルヒア動乱そのものの理由に興味は無い。自分の無差別砲撃や戦線離脱の印象が薄くなるからもっとやれ程度にしか思っていない。

オーギュスト > 『ならば騎士団はどうしろと言うのだ』
『当然、ティルヒアの罪を問い残った者に相応の罰を下すべきだ!』
『罰といっても、ティルヒアの軍上層部、官僚ともに既に死亡が確認されている』
『ではこの叛乱の復興費用を税としてオリアーブ島の島民に課すのは……』
『とんでもない、彼らにもう一度叛乱を起こさせる気か!』

会議は踊る。
まったく、下らない事を延々と言ってるものだ。
騎士団もどうせゴネて官僚どもから多めの褒章をくすねるぐらいしか考えていないだろうに。
こちらには明白な功績があるので、相応のものを貰えば良い。というか、予算を戻す事で先払いしてもらったようなものである。

(終わったら師団の連中と飲みに行くか……)

ご案内:「王都マグメール 王城 大会議室」にナルラさんが現れました。
ナルラ > 会議が煮詰まった頃、会議室の扉が開かれる

「なんだ、もう始めていたのか?」

そう言いながら男は上座の方へと向かっていく、今回の会議を一番に困難にした原因
例の演説を行った人物である。

「王族会議の方も大方話はつけてきた、こちらの方の話はまとまったか?
戦果を挙げていたもの、高みの見物だけで決め込んでいたものがパイの取り合いをしていただけではあるまいな?」

そう言いながら、書記から諸事録を受け取ればざっと目を通しはじめる

オーギュスト > 噂の王族とやらのお出ましだ。
オーギュストは基本、王族、上級貴族、官僚といった人種が嫌いである。件の王族とやらも別にどうでもいいのだが、彼は一応、ティルヒアに制裁を加える派閥に加わっていた。
というのも、ティルヒアの裏で暗躍していたであろう、魔族の情報が欲しいからだ。ティルヒアの利権は全て手放してしまったのでどうでもいい。

「お前の先走りの尻ぬぐいしてるんだ、ちっとは責任を感じて欲しいもんだがな」

ぎょっとして何人かが振り返り、他の多数が溜息を吐く。
オーギュストの王族嫌いは有名である。彼は師団の伝令の行く手を遮った王族を問答無用で叩き斬った事すらあるのだ。多くの騎士、官僚たちがまた始まったとばかりの視線を向けてくる。

「ご大層に演説してくれたようだが、ティルヒアを無罪にするっつーなら、どいつに罪を着せる気だ?」

一罰百戒。特に今回は叛乱である。二度と出ないよう、誰かを厳しく罰し見せしめにする必要がある。
叛乱が起こって出動するのは騎士団だ。ここは譲れない線である。

ナルラ > 「罪な……それなら今すぐあの黒いモヤの魔物でも捕まえてきてもらおうか?
人外相手なら、第7師団のお得意とするところであろう?
今回の件、あの魔物『這い寄る混沌』に責がある」

この場であの魔物がヤルダバオートの化身である事はあえて口にはしない
それにカルネテル王家の抱えた秘密も

あえてあの魔物を『這い寄る混沌』と命名し、早々に討伐の令を出したのである。

「あと今回の件、領地を希望するものが入れば申し出よ……もれなくオリアーブ諸島復興任務がついてくるがな
あと今回の件で分かったであろう? 軍備を削ってはならぬ
あの『這い寄る混沌』が狙うは、他の地方かもしれんぞ?」

そう言って書類を目を通し

「ああ、それとオーギュスト伯、先の戦い第7師団の活躍実に見事である
個人的に褒美として飛獣母艦の新造艦と、飛竜6騎もボーナスでつけよう
あと、今回の活躍した部隊、騎士団、褒章に関してある程度王族会議で通したから読み上げるぞ」

無礼な相手であろうが、オーギュスト率いる第7師団の功績は大きなものである。
その相手にきちんと褒章を与えるのは当然のことである

そう言って別の書類を読み上げる

大幅な黒字とは言えないが、今回の戦いの労いになるには充分なものである
高みの見物を決め込んでいた連中にはびた一文入っては来ないのだが。

「あとアレな、今後オリアーブ諸島の統治であるが……」

そしてナルラは書類をさらに読み上げる
統治に当たるのはカルネテル王家のものでない、善良なる別の王族である。
例の演説を行ったナルラ自身が統治に乗り出す、そう思っていた連中は少々面をくらったようで

オーギュスト > 「ふん……」

なるほど、魔物の仕業か。都合の良い事に、報告には白い龍と黒い龍が現れ何やらあったようである。
まったく、都合の良い事だ。
オーギュストは背もたれに背を預けると、ぬけぬけと言い放つ。

「魔物の仕業じゃしょうがねぇな。俺のとこもそんな暇じゃない、賞金でもかけて冒険者連中を使えばいいだろう」

要は買収されたのである。
彼は王族が嫌いだが、だからといって王族全てに喧嘩を売る為に生きているわけでもない。
嫌いな相手だろうが、報酬を提示するなら乗るまでだ。しかも、喉から手が出るほど求める飛竜とあれば、乗らない理由が無い。

「条件はあと一つ。第七師団を除く今回出動した騎士団に、凱旋式の挙行を許可する事だ」

凱旋式、すなわち戦勝パレードを開く事により、国民に勝利したのは王国であり騎士団である事を誇示する。面子だけはすくってやろうというオーギュストの配慮である。
もっとも第七師団はこれから北方安定の為に出撃するので、そんなものに参加している暇は無い。

「俺からはそれくらいだな。他には?」

最強硬派のオーギュストが寝返ってしまっては、他の騎士団も黙る他は無かった。

ナルラ > 「了承した、高ランククエストとして早速冒険者組合や宿に手配をさせておこう」

こちらの誘いに乗ってくれたのはありがたい。
天馬部隊と交戦した飛竜を鹵獲できたのは、今回の交渉のカードで充分利用できたようだ。

「凱旋式は構わん、この国の士気高揚に繋がることだ、他に意見はないか?」

そう言って、他の騎士団連中の顔を見ていく

誰も意見が無いのを見れば、口元に笑みを浮かべ

「では今回の会議はコレで終了と使用、長い時間皆の者ご苦労であった
ささやかではあるが、簡単な宴を用意してある
今回の戦いの慰労でもある、騎士団の兵士も呼びたければ呼ぶが良い」

そして宴、慰労会の告知をする

これもまた、買収の手段である。

オーギュスト > 「――――」

オーギュストは無言で立ち上がる。
これから出征の手続き(これはサロメにやらせる)、師団の編成、それに戦勝祝いだ。
もっとも、戦勝祝い式典やら宴に出るつもりはない。師団の兵たちといつもの店で浴びるように酒を飲むだけだ。お高くとまった連中と酒を飲む趣味は無い。

「あぁ、これから北だからな、時間が無いから返すのはまた今度な」

近衛騎士団長にそう言って騎馬隊を返すのを棚上げする。借りパクする気満々である。殺意の篭った視線を向けられるが気にしない。

ナルラ > 「ああ、オーギュスト卿」

立ち上がる男を軽く呼び止める

「ハイブラゼールに酒と女の良い店がある、今度飲みに行こう」

そう言って、個人的な酒の誘いをする、受けるかどうかは判らないが

他の騎士団の面々が会議室を出て行くならば、白天馬部隊の姫騎士が宴会場へと案内をしていく

さて、とりあえず仕事の一つは片付いた、まだまだやることは山積みではあるが

オーギュスト > ちらりと振り返る。
王族だが、酒と女は魅力的だ。胆力もあるようだし……

「お前の奢りならな」

とだけ返しておく。

やる事はまだ山積みである。が、一つずつ崩していくしかない。

ご案内:「王都マグメール 王城 大会議室」からオーギュストさんが去りました。
ナルラ > 「誘った方が奢るのが当然であろう?」

そう言ってオーギュスト卿を見送る。

そのまま書類を手に、次の会議場へと向かう
そろそろ自身の慰労のために、そろそろ女性の柔肌が恋しくなってきた

ヤルダバオートの呪縛を抑えたとはいえ、この男が色を好むのは変わりがないようだ

ご案内:「王都マグメール 王城 大会議室」からナルラさんが去りました。