2015/12/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/史料室」にヴァイルさんが現れました。
ヴァイル > 陽の落ちきったマグメール。
王城の廊下には魔術の灯りがあるとはいえ、やはり暗いことには変わりない。
暗がりでその力を増す魔族の活動する時間としてはうってつけだ。

王城の奥まった場所にある部屋のひとつ――史料室へと向かう。
《夜歩く者》にとって夜闇に乗じて忍びこむことはかわいい話だ。
見張りには見つからずに潜入することに成功した。

国家を揺るがしかねない重大な機密を探りに――来たわけではない。
そんなものは、強力な魔族といえどそう簡単には忍び込めないところにある。
ヴァイル・グロットが探しに来たのはもう少し簡単なものだ。

「…………」

書類の詰まった棚の数々を見渡す。

ヴァイル > 「……にしてもここの警備はザルだな」

魔族である自分が史料室にいるのを見られれば厄介事になる、
そう考えて慎重を期して忍び込んだわけだが、
そうする必要もなかったかもしれない。
さすがに暴れまわればたちまち警邏が駆けつけるだろうが。

書類棚の史料の年代を確かめる。
ヴァイルが探しているのはそう古い史料ではない。
ほんの十年ほど前の王族に関する記録、それを確認したい。

「ここか……?」

棚のひとつにあたりをつけ、そのうちの冊子のひとつに指を伸ばす。