2023/03/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/教会」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 夕方近く、ぽつぽつと降りだした雨はあっという間に激しくなった。
男は雨の中を走って目的地まで向かうタイプだが、荷物の入った鞄があるためやむなく目についた教会に避難する。
出迎えた司祭に対して首からさげた聖印を掲げ、低いがよく通る声で告げた。

「ここ、昇華儀礼所あったよな? 今その部屋使われてるか? 空いてる? 結構。なら貸してくれ。あと、身体を拭くものを」

そう広くもない部屋に通されると、雨に濡れたジャケットをハンガーにかけた。
ジャケットで雨から保護していた鞄を手で触り、濡れていないことを確認する。中身も無事なようでほっとした表情を浮かべた。
濡れたシャツを脱ぐと、うっすら筋肉がついた上半身が露わになる。脱いだシャツは壁際にある机に放り投げた。

春が近づき暖かくなってきたものの、濡れた服を着たままでは風邪をひいてしまう。
一方、雨宿りで場所を借りるとはいえ、礼拝所でシャツを脱いで裸体を晒す訳にもいかない。参拝者や司祭たちに迷惑がかかる。
こういった落ち着いて過ごせる場所であれば、誰かを困惑させることもない。適切な協力要請だったと自画自賛する。
他にも候補はあったが、昇華儀礼所はベッドがある。冷えた身体を毛布で包めるので自然と口をついて出た。

「……タオル、まだかな」

額につけていたバンダナを外して髪を拭いながら、呟いた。4月も近いとはいえ、少し肌寒い。