2022/11/29 のログ
ドラゴン・ジーン > 「……グルルルゥ!」

全身が総毛立つ代わりに体長の輪郭を覆っている粘膜皮が小波打った。
凶悪な発光を放ち続けている触角の光量は減衰するどころか尚も増す一方。
ぼたぼたに零れる涎のような分泌液はあっという間に足元に泥だまりを拵え、そこをびしゃりと踏み付けるように半歩足が前に踏み出した。
ざわつきひずむ顔の残留する片割れがぼっこりと相手と同じような三本の突起に隆起し。

「ラァゥウウッ!!!」

和解に応じる様子も一切も無くその角として形成された器官が一挙に伸長を開始する。
以前のようなプディング程度の柔らかさではなく硬度調整したそれは、此処最近に遺伝子吸収した存在の技術を盗んだ内気功の応用。
鋼のような練り上げられた堅さと柔軟性を生きた槍が三条ばかり爆発的に放たれた勢いで相手の足元を突き刺し刈り取ろうと!

ソラム > 『...そう、ですか。残念です』

 そう告げた少女は軽く息を取り込み、角に蓄積していたエネルギーを、口から解き放った。
 解き放たれたエネルギーは熱線として少女の口腔部から放出され、直進していく。その先は地面___正確には、相手の角が伸びた先であった。

ドラゴン・ジーン > 「………!」

閃光が弾ける、咄嗟において身を躱そうとしたが深く抉られた体の一部には大穴がこじ開けられ、その穴の外縁部もまた伝播する熱量によって湯水のように煮えながら蒸発して行く。
根本から千切り飛ばされる形になった槍は舵取りを失いあらぬ方向にへと飛来し、壁や床面にへと突き刺さり、硬化を維持出来ずに融解。
外観から見るならばその身体の頭部から上半身の大半にかけてが欠損したかのようにも見えるかも知れないが。
それらの飛散物を撒き散らしながらも怪物は後退して、建物の壁面にへと飛びつくように張り付いた。

「………」

そして黒いヤモリさながらに吸盤のような粘着力を持つ四肢で、壁を逃げるように昇り始める。

ソラム > 「...さぁ、おかえり。頭を冷やして、ね」

 あらぬ方向へ飛んでいく槍のような角も、欠損し、融解した液体にも目を向けず、壁に張り付き、昇って逃げようとしている相手へ視線を向けると、テレパシーではなく、ボソリと呟いた。

 そうして役目を終えた翼脚は炭のように黒くなり、崩れ去っていくと共に、隆起していた角も髪へと収まり、顔の右側の銀鱗も溶け消え、逆鱗が首筋に入ったところで、ホッと息を吐いたのだった。

ドラゴン・ジーン > 崩れた体の断片は文字通りの蜥蜴の尻尾切りだ。
無様な敗走を見逃された怪物はそのまま屋上の上まで逃げ去り。
その建物を経由するようにして、強敵の手の届かぬ領域まで逃亡を続ける事になる。
周囲には騒ぎが今も鏤められていたが、それも間も無くして鎮まる事となるだろう…。

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