2022/11/20 のログ
■アストラ > 平民地区や貧民地区と違って、外灯が灯された富裕地区は明るく夜であっても浮浪者や不審者の影はそうそうない。
そも貴族などは移動に馬車を使うので、道行くのは通いの使用人だとかが帰路についたり、オシャレな酒場に寄っていく姿だろうか。
アストラのようないかにも魔術師風の冒険者、といういで立ちの者はそう多くはない。
どちらかといえば娼婦のような肌の露出が多い服装ではあるのだが。
夜に賑わう、しかして静かな喧騒から少し離れた公共広場があった。
豪奢な造りの噴水がライトアップされていて、富裕地区の景観の一部になっているようだ。
ここで何かをするというよりは、観光名所の一つとして過去の偉人が残した何かがあるような。
あるいは信仰の対象である神を模した像が建てられているだとか。
アストラはそこらへんのことは詳しくないので、銅像があって噴水があって、光が当たって綺麗ねぇ、という庶民派の感覚だった。
「ちょうどいいわ、少し休んでいきましょう」
景観の一部ではあるがベンチも置いてあるので、そこで休憩しても文句は言われないだろうと腰を下ろし、水が流れる音を聞いていた。
人気がない場所なので、遠目に富裕層たちの邸宅を静かに眺めるにはちょうどいいのかもしれない。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にヴァルガンさんが現れました。
■ヴァルガン >
男にとって、冒険者、傭兵稼業は実入りが良く、楽な仕事であった。
というのも、悪魔との契約…もとい呪いによって常人を遥かに上回る肉体能力と魔力を手に入れた男にとっては、人間の傭兵や多少の魔族など相手にもならないからである。
尤も、その代償は人によっては他愛も無いが、男にとっては人間として生きていくだけでも苦労を強いられるもので──
「……はっ…はっ…ああ、くそ、イライラする。力使い過ぎた、か。ああ、クソ、クソ……!」
膨大な力の代わりに、男には人間では耐え切れぬ程の性欲と精力が呪いとして与えられていた。
自慰で射精は出来るものの決して性欲は解消されず、自分以外の誰かに精を吐き出す事でしか満足を得られない。
しかも、オークもかくやと言わんばかりの性欲と勢力は、尋常では無い程の射精回数を要求する。
「……娼館まで、持たない…駄目だ、我慢でき……?」
そうして、男の精神が限界を迎えようとしたところで──人気の無い場所に"獲物"がいた。
男はふらふらと。誘蛾灯に吸い寄せられる虫の様に…アストラの元へと、歩みを進めていく…。
■アストラ > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアストラさんが去りました。
■ヴァルガン > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からヴァルガンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/雨宿り」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 陽が落ちるのが早くなったとはいえ、やや暗い午後。
鈍色の空から、雫が落ちてきたのは程なくのことだった。
常の遣いの帰路ではあったが、頬に落ちた雫に視線を上げる。
遠雷がくぐもって響いた後には、ぱたぱたと、雨滴が滴り、身を打った。
「───」
街並みを歩いていた人々にとってもそれは同様。それぞれに散ってゆく中で、女もまた少し歩を速め、屋根のある店先に身を寄せさせてもらう。
濡れてゆくべきか、店の中に避難するか、だが、まだそこまで思い切りをつけるほどの雨でもなかった。このまま本格的に降り続けるのならば、どちらかを考えなくてはならないだろうが────。
「………濡れて困るものがないのだけは幸いでしょうか……」
遣いを終えた帰りだったため、手荷物らしいものはほとんどない。
しいていうなら空っぽの藤籠くらいだが──、それは濡れても乾かせば問題はないと判じつつ。
緩く視線が廻る。折がいいのか悪いのか、城まではさほど遠くはない。極論己が濡れてすむだけならそれもわるくはないかと思考を一つ。