2022/11/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にセレーニャさんが現れました。
■セレーニャ > 王城に勤務する下級メイドのお仕着せをきた女が一人、衛兵の詰め所から出てきた所だった。
昼間は清掃メイドとして改築を重ねた王城の清掃を日々行い、
夜になれば王城や富裕地区で娼館に行く暇がない下級の官吏や騎士や兵士たちを相手に、
文字通り体を売る娼婦となってセレーニャは日々を過ごしている。
そうでもしなければならないほど、セレーニャの実家は貧乏なのだ。
「……はぁ……」
今日も王城での勤務が終わってから、富裕層に勤務する衛兵たちの相手をした。
休憩時間に手早く、なので手や口だけで安く済ませる者もいれば、
服を着たまま立ったままでさっさと挿入してすませる者もいた。
そこそこの数を相手にして、そこそこの金額を受け取って、
こうして詰め所を出て帰路につこうとしているところである。
冷たい風に乱れたプラチナブロンドの髪が揺れた。
「シャワー浴びたい……」
小さく呟いた声は、夜の富裕地区の誰に届いたかもわからない。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
そんな少女を追い抜くかの様に。
或いは、眼中に無いと言わんばかりに。
華美な衣服を纏った複数の中年男性と、それに囲まれた一人の少年が詰所から王城の外へ。
耳を欹てるまでも無く、中年男性のおべっか、世辞、上っ面だけの礼賛が少女の耳元に届くだろうか。
尤も、その世辞の中心にいる少年──男性達よりも豪奢な衣装を纏った小柄な少年は、不機嫌そうに男達を一瞥し、口を開こうとしたところで。夜風に揺れるプラチナブロンドに、目を止めた。
「……そこの。其処のお前。何をしている。早く来ないか」
何の用件かも。そもそも呼びつけておいての自己紹介も何も無く。
男達に囲まれた儘、尊大かつ傲慢な態度で少女に声を投げかけた。
急な少年の行動に、周囲を囲んでいた男達もぽかん、とした視線を向けるばかり。
■セレーニャ > こんな夜に聞こえてくる声にセレーニャの疲れた視線が向けられた。
下級貴族の己とは比べるべくもないほど華美な服装の男性たちと、それに囲まれた少女にも見える少年。
高貴な身分であることは見るだけで伺えたが、
馬車を用立てないのかと物珍しさもあって彼らの一団をセレーニャは眺めていた。
矢先に、誰かを呼び立てる声。
それが自分に向けられたものであるとは思っていなかったので、
セレーニャの表情も男性たちと同じく間の抜けたものになっていただろうか。
少年の視線がこちらへと向けられていて、続いて男性たちもセレーニャを見ている。
となれば、流石に声を掛けられたのが誰か、理解もしよう。
「……わたくしで、ございますか?」
見るからに高貴な方。高位貴族かあるいは王族か。
本来なら彼らのような人物から声を掛けられることすらないセレーニャからすれば青天の霹靂だ。
丁寧な返事、というよりも疑問を返しながら、困惑が表情に浮かんでいる。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「他に誰かいる様に見えたのなら、今すぐに私に紹介してくれ。私は別に、お前でなくても構わない」
フン、と苛立たし気な言葉を返すも、少女の答えそのものではなく周囲の男達に向けられてる、かの様な。
「今宵一晩の玩具を探していたところだ。誰かに押し付けられるものよりは、そこいらの野花でも偶には毟ってみた方がマシだろう、くらいのな」
要するに、周囲の男達を振り払う為に適当な夜伽の相手として目の前の少女を見繕った…と言うだけの、こと。
とはいえ、少女に向けられるその言葉は、余りに高慢が過ぎる…のかも、知れない。
「…それとも、王族の夜伽は好まぬかね?であれば、お前の同僚でも構わない。その服装…王城のメイドであろう?」
そこで漸く少女個人に興味を持ったのか、しげしげとそのメイド服を眺めて…続けて向けた言葉は、やはり傲岸不遜極まるものだった。
■セレーニャ > (また王族~~~~!!!)
セレーニャは頬を引きつらせながら、可愛らしい見た目をした傲岸不遜な少年に対し即座に深く頭を下げた。
ここ最近、どうしてこうも王族に縁があるのだろうか。
高慢な物言いに対しては、何も物申すつもりはない。
ヘタなことを言って首が飛ぶことだけは、セレーニャはなんとしてでも避けたいのだから。
彼を諫めるような言葉を、彼の回りの男性たちは口々に進言するだろうか。
どこの馬の骨とも知れない下級メイドなど、と。
もしくは誰か一人ぐらいは、セレーニャが夜な夜な王城の下位貴族や騎士、
あるいは兵士たちの慰み者として身を売っていることを、少年に告げるかもしれない。
王族の夜伽に相応しいのは高級娼婦のような存在だと、
彼にとっては煩わしく思うかもしれないことを勧める言葉も付属するかもしれないが。
「……恐れ多くも、殿下のお相手に私のような者は相応しくありません」
セレーニャもその通りだと諫め、諦めるよう進言することはする。
好む好まぬという話ではなく、誰でも良いと言うならば高級娼館にでも行ってくれ、と不敬なことを思うのだ。
相手が王族だなんて、荷が重すぎる、と。
とは言え、王族の命令であれば逆らえないのは必定だ。
いつぞやのように娼婦として金を出すと言うのならいくらでも応じるが
野花を積むように体だけ弄ばせる気はない、という気の強さは、視線から伺えたかもしれない。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
唯々諾々と、このメイドも従うだろう──とばかり思っていたのだろう。
自分は相応しくない、と告げたメイドの少女に、初めて興味の色を強く浮かべる。それは、反論…或いは、自分の意志に従わない事を、愉しんでいる気配すらあるのだろうか。
「…ほう、相応しくない、か。良いだろう。お前がそう言うのなら、そうなのだろう」
存外素直にメイドの言葉に頷く少年に、そうでしょうそうでしょう、と頷く男達。だが、少年の方はと言えば、其の儘つかつかと少女に歩み寄って。
「だが、私は私の相手を私の意志で決める。相応しいか相応しく無いかを決めるのは、お前では無く私だ。私がそうだ、と言えば。お前は人形の様に頷き、私に跪けばそれで良い」
それは、垣間見えた少女の気の強さを煽る様な言葉だった。
自分に跪けば良い。従えば良い。黙って手折られてしまえば良いのだ、と。
そうやって、少女に向けられる紅瞳は────先程よりも明確に、興味と好奇心。そして確かに…仄暗い嗜虐の色が、浮かんでいた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■セレーニャ > 歩み寄ってくる足音と気配に下げていた頭を上げる事になっただろう。
セレーニャよりも年下で、弟と同年代ぐらいに見える少年が不遜に言い放った言葉に、
此方の意思など関係ない人形のように振る舞えというのならば、セレーニャのこめかみが引きつった。
よく言えば王族としての貫禄がある。悪く言えば自己中心的な我儘小僧。
不敬ゆえに口にこそ出さないが、顔を上げ姿勢を正したセレーニャは同じ目線の高さの少年の、
仄暗いなにがしかの感情を抱く紅の双眸を、良く晴れた空の色の瞳で強く見据えた。
「殿下は私のような下級メイドが、ご自身の夜伽の相手に相応しいとお考えでいらっしゃるのですね。
御身に着けておられる一級品の衣服のように、お立場に見合った者を見繕わねば、
皆々様がご不安に思われるのも道理かと愚考いたします」
下級メイド、という点を強く上げれば、審美眼や品位が疑われるぞ、と言外に吐き捨てるような。
黙って手折られて泣き寝入りなど断じて御免だ。
そのセレーニャの反発心たる気の強さをどう捉えるかはさておき。
しかしこれ以上不興を買う前に、あるいは彼の機嫌を損ねる前に、男性たちは視線で「従え」と訴えてくるかもしれない。
そうなればセレーニャにそれ以上反論することは許されない。
少年の気が変わらずにいるならば、セレーニャは心底不服そうな表情を一瞬浮かべた後、
「……承知いたしました」と深く頭を垂れ、どこへなりともついていくことだろう。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「そうだとも。私は、お前を今宵褥の中に迎え入れるに相応しいと思っている。
それは私が決める事であり、誰からの干渉も受けるつもりはない。
…ああ、しかし些かお前と私には認識の齟齬がある様だな」
メイドとしての立場を強く訴える少女。
そんな少女に、愉快そうに笑う少年は、其の儘言葉を続ける。
「…私が、お前には私が纏う衣服程度の価値がある、と。そう思っているのかね?
私は唯、私が気紛れに手折る花としてお前を選んだだけ故な」
少女の言葉も反論も。或いはその意思の強さを浮かべる空色の瞳も。少年の機嫌を損ねる事は無く、そして気が変わる事も無く。
少女が招致すれば、囲う男達を軽く手を払って追い払い。
「……では、適当な客間にでも案内したまえ。自分が犯される部屋くらいは、選ばせてやるとも」
己が少女を後ろに従えるのでは無く。
メイドらしく上位者を案内し、そして──少女自身が穢される部屋を選べ、と。愉快そうに笑う。
少女がどんな客間を選ぼうとも。それが質素であれ豪華絢爛なものであれ、少年は否定しない。
気高い花は、ゆっくりと手折る愉しみもある。少しずつ少しずつ、少女の気高さすら…犯してしまえば良いのだから。
■セレーニャ > あくまでも気は変わらず、意見を変えるつもりもないという少年に息を吐く。
セレーニャが二人の立場の差などを訴えても変わらないのだろう。
ついには男性たちまで追い払った彼に、食い下がる者はいないようだ。
「……かしこまりました」
彼にとっては王城へ戻ることになるのだろう。
セレーニャが知る客間の中で、セレーニャも使うことがある場所へ向かうこととなる。
何か咎められても全部この方のせいにしよう、と半ば開き直りながら、
媚びへつらうこともせず淡々と彼を案内した──。
■セレーニャ > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からセレーニャさんが去りました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 【移動致します】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアストラさんが現れました。
■アストラ > 最近は訪れる機会の増えた富裕地区。
貴族やら資産家やら、金と権力を持て余しているような好事家たちが好むような品物をダンジョンから発掘してきて、アイテムショップに売りに出しているわけで。
その伝手で貴族から直接依頼を請ける機会もあり、いっぱしの冒険者にしては運よく色々と稼がせて貰っている。
今日も今日とて依頼を請け、研究肌な貴族の依頼で魔物の素材を直接卸してきたばかり。
美味しい夕食もご馳走になり、高級なワインまで気前よく振舞って貰ってから、報酬の一部として受け取って気分よくその邸宅を後にした。
送り出されてから富裕層の道を歩いているわけなのだが、どうにもワインの酒精が強く回ってきているのか酩酊感で頭がくらくらとする。
気持ち悪いほどではない。むしろ心地よい酔いなのだが、酒に弱い分足取りが不安定だ。
「……んー……宿に戻る道は、どっちだったかしら」
すっかり現在地まで見失ってしまい、困ったわねぇと笑う。
どこか休める場所をと探してしばらくはふらふらと歩いていく姿があった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にグスタフさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からグスタフさんが去りました。