2022/07/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/ホテル内レストラン」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 富裕地区、午後。ホテルの1階にあるレストラン。
オープンテラスの席に一人の男。他のテーブルは複数名での利用なのに、この男だけはおひとりさまのようだ。
スーツ姿である点を除けば、バンダナとホーリーシンボルはいつも通り。時折バンダナに周囲から視線が注がれるが、男は気にしたふうもない。
太陽の光はさんさんとテラスに降り注いでいるものの、魔道具でも使われているのか、空調の効いた室内と同じくらいに涼しく快適のようだ。
すぐそばには大通り。富裕地区だけあって、通り過ぎる人達の身なりも良い。休日だからか、学院の生徒も行き交っている。
道行く人達がハンカチで汗を拭う姿を眺めつつ、優雅に紅茶を飲む。

「あー……忙しい日に休みとるのってサイコー。
アフタヌーンティーと本。いいね、うん。とてもいい」

一般的には安息日だが、図書館の司書業務が多忙を極める日でもある。無理を通して休暇をもぎとったのが先週のこと。
周囲を眺めると、テーブルは埋まっているようだった。一人で占有していることに若干の後ろめたさを覚えつつ、予約は入れてたし金払ってるしいいよな、と開き直る。
同じ趣味のおひとりさまがいるか、知り合いがこの男の姿を目にするかがなければ、延々と紅茶・お菓子・本のトライアングルを楽しむだろう。

ヴァン > スコーンを手で二つに割った後、手元にクロテッドクリームとジャムを置く。
片方はクリームを先に、もう片方はジャムを先にし、それぞれ両方を塗る。どちらを先に食べるか決めかねているのか、男は交互に人差し指だけを動かしている。
どうやら、クリーム先塗りの方を食べるらしい。嬉しそうに口に含むと、うんうんと頷く。ご満悦のようだ。

故郷の他の人間と同じく、男も「紅茶を飲めばあらゆる問題は解決できる」と考えている性質だった。スコーンを食べ終わると、カップを口許に運び、まずは目を閉じて香りを嗅ぐ。
静かな、深く長い息は香りを堪能しているのだろう。ゆっくりと目をあけ、口に含む。スコーンでやや乾いた口と喉を潤すと、また静かに微笑む。
どこか遠くを見ているような目をしながら、何度かに分けてカップを空にする。小さく、満足するかのようなため息。

俗に言う、「紅茶キメてる」状態であった。

ヴァン > 男はサンドイッチをぱくつきながら、持ち込んできた本を眺める。
行儀はよくないが、指摘する同席者はいない。右手で本、左手でサンドイッチと、器用に振る舞う。テラスが空調で快適に過ごせることが意外だったのか、時折心地よさそうに目を閉じる。

「いい場所だな。次はいつ安息日に休みがとれるのかわからないが、また来たい。
……けど、フェアじゃなかったら高いんだろうなぁ」

財布の感覚はすっかり平民と化した男。料理およびお茶のグレードと金額を頭の中で比較して、だいぶサービスしてるなとひとりごちる。
ケーキはあまり得意ではないのか、ペースがやや落ちて紅茶を味わうのが主に。

ヴァン > やがてスタンドは全て空になり、夕方が近づくと男は席を立つ。
ここでの数時間を十二分に満喫したらしく、口許には笑みを浮かべながら会計へ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/ホテル内レストラン」からヴァンさんが去りました。