2021/01/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 地下 「Bar」」にアウル・リブライアンさんが現れました。
■アウル・リブライアン > 冬の夜 夜が下りるのが早い中で、夕餉時を過ぎれば出歩く者は限られる
しかし富裕地区はそうではない まばらでも人は行き来し、愛用する店へ顔をだす
魔女もまた、階段を下りた先にある一つのBarへと訪れていた
富裕地区という治安のいい場所の中で、敢えて地下空間に店を構えた場所
一人の貴族が気に入った幽霊のために建てたといわれる、ピアノBar
チリリンッ
ゆっくりと扉を開けると、今夜も名前も顔も分からない誰かは、姿を見せずにピアノを弾いている
その音色が静かに響く中で扉を閉めると、冷え切り固まったような体は、室内の整った温度とピアノの音色でゆっくりとほぐれていった。
カウンターではなく、一つのソファが丸々空いているのを見つけると、ためらいもなくそこへ座る。
「……アップルブランデーを。」
足音を密やかにさせたバーテンダーが近づくと、小さく林檎の蒸留酒を頼んだ
コートを脱ぎ、魔女は青白い月明り色のローブとケープドレスの姿で、長い髪を両手で背中に整える
運んできた丸みを帯びた赤い琥珀色がテーブルに置かれると、小さく一口含んでから飲み下すまで
実にゆっくりとしたものだった。
酒精は個人の雰囲気に合わせて頼んでいるだけのもので、皆雰囲気と、ピアノの音色が目当てなのだろう
小さくささやき合う声が、言葉も見えず聞こえるのみ。
静かな店内を気に入っている魔女は、一人首元でピアノの音色でうつらうつらとしているままの蛇をそのままに
手に持ち込んでいた書物の頁を開いて読み始める。
■アウル・リブライアン > やや薄暗い照明のピアノBar
書物を読むにはやや向かない場所でも、魔女にはどうということはない様子
ピアノがゆっくりとした音調で流れていく中、アップルブランデーを、義手の削り出しにされたような手の形が
器用にグラスの淵をつまみ、持ち上げながら口元へ運んでいく。
ホットワインでもよかったかもしれない
しかし、蒸留酒の度数は魔女の体を温めてくれた
ピアノを聞く傍らだと、文字を読む速度も、いつもに比べてゆっくりとしてしまう
魔女の活字中毒を和らげる、少ない場面
吟遊詩人の英雄譚や物語とは違い、弾く曲は一つ一つが短く終わる物や、繋げて数章に至る物のようだった。
小さくブランデーを傾けながら、時折ピアノの席に視線を移すと、黒鍵と白鍵を叩く、見えない指先。
まだたっぷりと、アップルブランデーが残っているうちに数曲を終えた後で間ができた
ピアノの前に座っている幽霊が一旦手を休めた様子に、皆が小さく、しかし多くの拍手がピアノの席へ送られた
魔女ももちろん、栞を挟んだ書物を膝に乗せ、拍手を送る
言葉も姿も、性別さえわからないピアノの幽霊
貴族の学び舎で語られそうな物とは違い、ここでの扱いは特別そのものだった
「貴族が気に入るのも分かる気がするわ」
ポツリとそう漏らす
余計なしがらみもなく、曲をただ弾いてくれる存在に、こうして貢いでしまう
王族さえ堕とす魔都の中では、どれだけ稀有に見えたのだろうか
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 地下 「Bar」」にミシェルさんが現れました。
■ミシェル > 富裕地区の一角の地下にあるバー。隠れ家のように営業しているそこに女男爵も顔を出す。
目的は単純明快。仕事の終わりに酒を嗜みつつ、良い女がいれば持ち帰ろうと。
ミシェルは店内を見渡す。美しいピアノの音色が響いている。
顔の見えぬ誰か、幽霊が演奏するピアノには知的好奇心を刺激されるが、手を出すのはご法度だ。
さて、どこに座ろうかと思っていると…、
「ん?おや」
目に入ったソファには、同じ魔術を扱う者として見知った薄紫色の髪の女。
あまり外出しないタイプなのかと思ったが、意外にこういう店にも来るのか。
ミシェルは迷うことなくそこに向かい、彼女の隣に腰を下ろす。
「やぁ、奇遇だねお嬢さん」
気付いて顔を上げれば、気さくに挨拶するだろう。
■アウル・リブライアン > ブランデーの残りも半分を過ぎた頃
ピアノが再会され始めると、言葉も見えない囁きが潜まった
静かに流れるbgm 幽霊が奏でる音色は、先ほどよりも気持ちが入っているように思える
それは魔女の気のせいだったのだろうか
しかし、幽霊の奏でる音色はこうした拍手の後だと、喜色を含んでいるように聞こえるのだ。
だから周りもまた、皆が聞き入りながら、酒精の入った盃を傾ける
魔女もまた、唇の内側を濡らすように、赤い琥珀酒を傾ける
そしてまた頁へと視線を戻す
そうしていると、この静かな空間の中で聞こえる、静かな靴の音色
近づいてきては、ゆっくりと隣に腰を下ろす様子に視線を向けた。
居たのは、宮廷の魔術師 ミシェル・エタンダル
互いに、魔女と魔術師 貴族間では知己の同性がそこにはいた
bgmの中、小声で囁いてくる辺りはまだ気を利かせている
栞を挟み、パタリと頁を閉じる音。
書物を膝の上に置いたまま、ブランデーを義手の指先がまた持ち上げる。
「ご機嫌よう、エタンダル卿 貴女も幽霊がお目当て?」
小声で囁き合う二人
魔女は知己に対し、貴族と食客の差か、エタンダル卿と最初は少し他人行儀。
小声で問うた魔女は、しかしすぐ、魔術師へ向けた言葉を否定する
「でも貴女の場合は、かわいらしい女の子かミレーかしら?」
そう言っていると、首元の愛蛇は頭を起こす
舌先を数度出し入れをしては、主とは違う匂いを嗅ぎ分けた
黄色い眼が見つめる先は、魔術師 顔見知りという知った匂い
故に下手な警戒もしないものの、主の頬を舐めながら横目で様子をうかがっている。
主はといえば、愛蛇のじゃれてくる様子を黙って受け入れながら、丸みのある盃の中でブランデーを揺らし。
■ミシェル > 「あの幽霊が可愛らしいミレーの女の子だったら全部満たせるね」
そんな冗談を言いながら、近づいてきたバーテンダーに自分の酒とつまみを頼む。
その後は幽霊の演奏に聞き入るように目を閉じる。
見事な演奏は、段々とアップテンポで賑やかな物に変わってきていた。
「成果を発表できそうなとこまで研究が進んだんでね。疲れを癒しに来たのさ」
そんなことを言いながら、横目でアウルの顔を眺めている。
彼女の蛇と目が合う。あまり警戒はされていないようだが、
ご主人様は自分のものだとアピールするかのようにこちらを見ながらその頬を舐めている。
「君は読書かい?なら僕はお邪魔だったかなもしかして」
酒が届く。赤ワインだ。グラスを傾け頂くミシェルの姿は、貴族らしく様になっていた。
持ってきたおつまみのチーズも口の中に放り込み、味を楽しんでいる。
そのうち一個を彼女の蛇の前に差し出してみる。
「食べるかい?いや、蛇はチーズは食べないかな」
■アウル・リブライアン > 魔術師の言葉に、魔女は横眼を向けるのみ。
王都での、魔術師や魔女がミレーに対する扱いは王城内では知れている話だった
なるほど、幽霊自体にも卿は興味が濯がれているようだと、好奇心旺盛な様子を魔女は否定しない。
ブランデーを傾ける傍ら、成果を聞きながら赤を運んできた様子と、一区切りついてだろうか
気障なことはせず、少し崩した態度でチーズを食み、ワインを傾ける様子は相変わらず、異性寄りな仕草だった
「ん。」
そう一言言って、ブランデーグラスを向ける。
魔術師が行為を察して、互いに小さく チンッ と音を遮らない乾杯のそれが鳴る
「お疲れ様、ミシェル。」
表情を変えないまま、そう知己を労わった魔女は親し気に名前を向けた。
自然をグラスに戻し、一口
先ほどまで静かな曲を奏でていたのに、今は店の雰囲気を崩さないままに、曲をほんの少し明るい物へ変えていた。
拍手で気をよくしているのだろうか。
雨音のような、静かに耳に入り込んできていた音とは少し違う調子
心の弾みが乗っているのだろうか 幽霊とは会話をすることもできないからわからないけれど。
そうしていると、愛蛇にチーズを見せる魔術師
青い鱗の列を伸ばし、白い塊に舌を向けて嗅ぐ様子
しかし、卵でも獣でもないタダの乳製品はそそられなかったらしい。
首に巻きなおし、肌の体温を感じながら転寝に入ってしまった。
「デミトリが拗ねるから遊ばないで?」
以前もコーヒーと共に食んだポンデケージョを、卵と勘違いしていじけたのだとつぶやく。
咎めるように言うものの、そんな愛蛇が愛らしいのかクスリと笑い。
■ミシェル > いくらか興味を示した蛇だが、やはりチーズは気に入らなかったのか、ぷいとそっぽを向いてしまった。
まぁ、知識が無ければただの白い塊、食べ物には見えないだろう。
「ああ、そりゃ悪いことをしたね」
そのチーズを自分の口の中に運ぶ。
しかしまぁ、あまり感情を表に出さないイメージがあったが。
こういう時には笑うのかと、ふと関心し。
そして、いつもと違う表情を見せられると、ちょっとムラっときたりもするのだ。
「可愛い女の子、麗しいご婦人、そういうのを探しに来たのはその通り。研究の疲れを癒してもらいたくてね…」
そう語りながら、ミシェルはアウルのほうに近寄って。
肩を抱くように、彼女の後ろのソファの背もたれに片手を伸ばし。
真っ直ぐな視線を送りながら、言葉をかける。
「僕の目の前にいる可愛い女の子がOKしてくれたら、それはそれは嬉しいわけだけど…どうかな?」
ピアノの音色が、遠くに響く。
■アウル・リブライアン > ピアノの音色にねぎらいの言葉
魔術師は愛蛇のことは上手に口説けないらしい
元よりこの魔術師に、雄を蕩かせるつもりもないのだから当然か。
魔女は一人ブランデーを揺らしつつ、ピアノが独りでに奏でられるのを見つめている
すると、デミトリを空いている左手でよしよしと撫でている傍から肩を抱いてくる魔術師
魔女も、魔術師の趣味を知っているだけに、男装に従った言葉遣いに堕ちるほど簡単ではない
しかし知己という部分が、魔女に許しを得ることはできていた。
「この曲が終わったらね。」
そう言って、やがて終わるまでは肩を抱いて待つ魔術師
ブランデーをゆっくりと傾け終わると、ピアノがやがて終われば皆が静かな拍手
そうして、ブランデーで火照る内側と温まった体 十分に外に出ても許される感覚だろうか
コートを羽織りなおし、会計を済ませる傍らで、幽霊がそこにまだたたずんでいるのか
それすら分からないピアノの席を見る。
霊視や、ほんの少し工夫をするだけで、見えるかもしれない何か
しかし逆にそれは見えないことが惹かれる理由
視線が交わったかもわからないまま、店を出ると愛蛇は体の奥で体温を盗みながら、外の気温を嫌った
魔術師と連れだって歩きつつ、行く場所は任せてしまうらしい。
無言の視線は、誘ったのはそちらなのだからと リードし、場所の手配を任せる様子だった。
■ミシェル > 「いい演奏だったね…。可能なら、あれが流れている場所で情事もしてみたいものだけど」
ムードたっぷりに演奏してくれる存在がいてくれれば色事もさぞかし盛り上がるのだろうが、あの場所はそういう場所ではない。
そして、いくら大金を積もうが幽霊はあそこからは動かないだろう。
外に出れば、冬の夜が体温を奪う。
白い吐息は、失われる温もりを可視化するようだ。
「なるべく早く室内に入ったほうが良さそうだ。僕のよく行くホテルがあるんだ、そこにしよう」
ミシェルはアウルの手を取り、雪の降る道を歩き出した。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 地下 「Bar」」からアウル・リブライアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 地下 「Bar」」からミシェルさんが去りました。