2020/08/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアルヴァニアさんが現れました。
アルヴァニア > 懇意にしている貴族の屋敷で持て成された帰り道。
礼儀として伴いに連れてきた数名の部下は既に帰らせ、帰途を歩む女が一人。

食事と酒の質は良いのだが、頻繁に顔を合わせたい訳でもない。
然し、部隊の長としては必要な仕事でもある。

「んんー…どうしようかしらあ…。」

塒に戻って就寝、と言うには行儀の良すぎる時間だ。
然し、酒場で一杯と言うのも気分ではない。
凝り固まった両肩を解す様、軽く伸びをしながら行き先を決めずに足を進め。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にハレスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にチマキアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からチマキアさんが去りました。
ハレス > 「そろそろ片付けだな」

ほとんどのが閉店時間となり、明かりのついた建物もまばらになった時間帯。
そんな中富裕地区にあってこじんまりとした店には、まだ明かりがついている。
と言ってもそろそろ店じまいではないのか、という時間ではあるが。

その店、王都ではそこそこ有名で予約を取るのも難しい整体院。
店主らしき逞しい体躯をした大男は表の看板を片付ける前に、店の前に綺麗に並べられた花壇へと水をまき始める。
それなりに強そうな見た目と強面な男が、きちんとした衣服で主婦めいたことをしている様は、なかなかに目を引くものだろうか。

アルヴァニア > 王都に留まる際は、貧民地区と通称される界隈を主としている身だ。滅多な事では足を運ぼうとも思わぬ界隈の地理に詳しい筈もない。
ぽつぽつと点在する店灯りに誘われる様、あっちへふらふらこっちへふらふら、と気儘な足運び。
些か遠目に、店の前で何事か作業をしている店が一つ見え――

「こんばんは。」

緩やかな足取りで辿り着けば、如何やら花壇へと水遣りをしていた事が分かる。
立派な体躯の持ち主は店の人間だろうと当たりをつけ、間延びした、柔い言葉で話しかけた。

「ここはどんなお店なのかしら?」

ハレス > 「んおぉ、こんばんは、いらっしゃい」

まぁもう客も来ないだろうと気も緩んでいたところ。
声を掛けられれば少々驚いた様子だったが、すぐににかっとした気の良さそうな笑顔を見せる。
挨拶をしつつ、花壇への水やりは続けて。

「ここは整体院だ、簡単に言やマッサージ屋だな。
若い子はあんまり興味ないだろうけど」

どんな店かと尋ねてくるあたり、お客さんというよりは王都に来たばかりの好奇心旺盛な旅人だろうか。
もちろん客じゃないとしても、無下に扱うような真似はせず、店の説明を。
といっても詳しく語るような大それた店ではない、本当に個人でやっている小さな店だ。

アルヴァニア > 快活な笑顔を返され、釣られた様ににこやかな笑みを返す。
周囲の店舗と比較すれば、幾らかこじんまりとした納まりの良さそうな佇まいから、内容がぱっと思いつかない。
看板は、と視線を移ろわせていれば男から告げられた店の内容にはつりと瞳を瞬かせ。

「マッサージ屋さん。」

思わず同じ言葉を繰り返した。
貴族向けに、長い時間行儀良く過ごし、疲労感の溜まった体にはとても魅力的な言葉だった。

「あらあ……でも、もうこんな時間だものね。そろそろ閉店よねえ…。」

渡りに船とばかりに爛と双眸を輝かせたのも束の間、周囲の店が暗くなっている事を思い出す。
大きくは無いが憚らない残念そうな声は相手にもだろうか。

ハレス > 「おう」

マッサージ屋と聞くとなんだか目を輝かせたような女性。
好奇心旺盛な子供っぽさを感じさせるその目は、こういう街では久しく見てなかったように感じられる。
同じ言葉を繰り返す彼女に、短く返事の返した。
もちろん気持ちの良い笑顔のまま。

「ん~、まぁ…閉店時間つっても所詮個人事業主だしなぁ。
俺としては構わんよ、お嬢ちゃんが頼みたいってことならな。
どうする、施術してみるかい?」

要は一人で切り盛りしてる以上、融通利かせられるということだ。
確かに営業時間は過ぎているが、店舗兼住まいであることもあって、こういった時間の飛び込みのお客は実のところ珍しくない。
水やりを終えた男は、まだ明るい店舗の扉を開けて、彼女を誘ってみる。

アルヴァニア > 「まあ。店主さんだったのね?」

そう見えなかった訳ではないが、彼の立場を深く考えてもいなかった。
お気楽な言を繰りつつも、次いだ言葉には喜色を隠さず表情を笑みに崩し。

「とっても疲れていたから嬉しいわあ。
店主さんが良いなら、ぜひ。」

相手の気の良い返事に遠慮なく乗る女。
開かれる扉に、「ありがとう」と告げながら店内へと足を踏み入れて。