2019/04/07 のログ
タマモ > 「さて、どうしたも………うん?」

辺りを見渡していた視線が、ある位置でぴたりと止まる。
それは、自分の前を小走りに動き回る、フード姿の何者か。
まぁ、何者か、と言うか、見知った相手なのだが。

が、相手はどうだろう?目の前にして、動き回っているところを見ると…気付いてない?
なので、どうしようか、と少し考えるも…

ずかずかと歩み寄り、ぽむ、と後ろから肩を叩いた。

フィーア > 「ひっ!!」

びっくぅっ、とその体が大きく跳ねて。
恐る恐る涙目で振り返り目に入った人を見て。
ほっと安堵の吐息を漏らせば向き直り。

「……タマモ、さま」

空色の瞳が上目遣いに見上げて。
ずれかけたフードをまた目深く被り直して。

タマモ > 「………おぉぅ!?」

分かってた、相手がびっくりするのは分かってた。
だが、いざ肩を叩いたら上がる声に、びくっとした。
すぐに己と気付き、安堵してくれれば、こちらもほっとする訳だが。
ほら、今は耳も尻尾も隠してるし?

「うむ…して、こんな場所で、何か探しておるのか?」

見上げた視線を合わせているも、フードを被りなおせば、それを追うように下から覗き込み。

フィーア > 「……えっと……」

こてん、と首を傾げてから。
きょろ、きょろ、と周りを見回してから。

「……探してる、わけ、では……。
 ……お祭り、はじめて、だったので」

おのぼりさんみたいな態度になっていた理由で。
"四番目"と呼ばれていた彼女にろくな自由はあったわけはなく。
初めてのお祭りに気分が高揚していた様子で。
恥ずかしそうに顔を赤くしてフードで隠すように。

タマモ > 少女の答えに、ふむ、と一つ頷く。
そう言えば、何か賑やかな気はしていたが…
他の事に思考が行き過ぎていたか、気付いてなかったようだ。

「ふむふむ、祭か…祭なぁ…」

改めて見回してみれば、まぁ、確かにいつもの違う様子を感じられるかもしれない。
つい、行く場所、目的を考えていて、その変化までは目が向いてなかった。

「で、初めてじゃったか?
ならば、適当にそこらでも巡ってみるか?ん?」

ぱたん、と広げた扇子を閉じる。
少女に、そんな問い掛けながら。

フィーア > 「……!」

ぱぁ、と顔を輝かせれば。
嬉しそうに見上げて。

「……いい、のです、か……っ?」

嬉しそうにしながら問いかけて。
この娘にしては珍しく表情を変えて。
尻尾でもあれば嬉しそうに振っていそうな様相。
空色の翼耳も嬉しそうに上下に揺れている。

タマモ > 別の意味で楽しもうか、なんて考えはなかった、と言えば嘘になる。
なのだが、そんな理由を聞き、こんな様子を見れば…たまには、なんて考えも浮かぶ。
嬉しそうに、己に問い掛ける少女に、軽く頷いてみせた。

「まぁ、今はそんな気分じゃからな。
それに、あれじゃ…一人で好きに動くには、ちと不安なんじゃろう?」

うんうんと頷き、ぽん、と肩に手を回す。

「それで、色々と巡るは良いが…どこが良いのじゃろうか?
ほれ、妾も付いていってやる、好きに選ぶが良い」

ふふんっ、とどこか偉そうに胸を張りながら。
少女へと、これからの選択を問い。

フィーア > 「……♪」

嬉しそうに、ぎゅっ、と抱きつけば。
むにゅ、と服で隠しきれない胸が押し付けられ。
別の意味で楽しむと言う考えがまたもたげそうになるかもしれない。
無論、それでもこの娘は拒まないだろうが。

「……てきとうに、見るだけでも、楽しい、です、よ……?」

物珍しいものばかりで。
ぎゅ、と抱きついたまま、首を傾げてから。
特に目的もなく歩き回っていたようで。

タマモ > ………訂正、後でたっぷり楽しもう。
そんな考えを、頭の片隅に。

「ふむ…まぁ、確かに、それもあるか。
じゃが、食べ物とかになるとのぅ…すぐ手が伸ばせるとなると、食べたくならんか?」

少なくとも、妾は何か食べる気満々じゃぞ?とか何とか。
そんな言葉を付け足しながら、適当な露店に歩み寄る。
とは言え、並ぶ露店は様々で、装飾品や小物から、何か良く分からないもの、後は言ってた食べ物。

さて、この少女はどれに興味を強く持つだろう?
時折、横から少女の様子を見遣る。
もちろん、移動中は、その肩を抱いたままだ。

フィーア > 「……食べ物……はい」

美味しそうな匂いにつられてふらふらしてたのもあって。
綺麗な小物とかは欲しいけど手を出せなくて眺めるだけ。
美味しいものをお腹いっぱい食べると言う経験も乏しいせいで。
綺麗なもので自身を飾ると言う発想もない。

「……タマモ、さまが食べたいもの、一緒に」

こてん、ともたれかかりながら、ぎゅ、と抱きつく力強めて。
むにゅり、マシュマロがより強く押し付けられる。

タマモ > ふむふむ、と少女の言葉に、軽く思案。
残念ながら、この狐娘の味覚はお子様で、着飾る事に無頓着。
ゆえに、お互いに、こうだ!とか言ったものがなかった。
となると、出る答えは、そう多くはないだろう。

「むむむ…自己主張は大事じゃぞ?
………とは言え、そう知らぬものを選べ、と言うのも酷か。
して、フィーアの味の好みはどんなものじゃ?
妾と味覚が合えば良いが、合わぬと困るじゃろうしな?」

結局は、少女の言葉もあり、選択は食べ物となった。
が、問うたように、御互いの好みがある為、即決定は出来ない。
なので、続けて問うてみる。

あ、もちろん、押し付けられる感触は楽しんでおこう。
こう、時折、抱き寄せる腕で少女の体を軽く揺らしてみたりもして。

フィーア > 「……味の好み……」

こてん、と問われれば首を傾げて。
好み、と言われても、今まで食べてきたものは薄い塩味のスープやら。
それ故にあまり味の幅に覚えがなくて。
しいてあげるなら……。

「……濃い、味……?」

以前食べさせてもらった濃いソースの味のついた焼き鳥は美味しかった。
そういう覚えしかなくて。
濃くて強い味は彼女の味覚に鮮烈に印象を残している。
抱き寄せる腕で軽く揺らされると微かにこすれて、ぴくん、と身体がか細く震えた。

タマモ > 「………ふむ」

軽く、また考える仕草。
はっきりと答えが出ないところを見ると、そこは手探りで探すべきか、と。
だが、露店に並ぶ食べ物は、同じものでも店によって味付けも違う。
しかも、食べるまで、その答えの出しようが無いのだ。

少女の反応を愉しみつつ、考えて、考えて…

「よし、予定変更じゃ。
今日は、フィーアの好み調査、と行こうではないか。
…で、良いかのぅ?」

ぶっちゃけ、濃い味とか、実はいまいち良く分からない。
と言う訳で、味の差が分かる店で、色々と食べさせてみようと。
まぁ、少女の答えは、予想が出来る。
それを聞く前から、すでに行き先を決めてしまう。
今なら少し歩けばある、酒場にしようと。

一応は、その際に他の露店は適当に見て回るつもりだ。

フィーア > 「……ん、はい……」

こくん、とうなずいてから。
嬉しそうに頬を擦り寄せて甘えてから。
一緒に歩き出せば嬉しそうで。
なおその度に揺らしたり、そういういたずらをすれば。

「……んっ……」

切なそうに声をあげて、ぴくん、と震えてしまい。
甘い吐息を微かに漏らしてしまう色っぽさ。
実際にどことなく火照って赤くした顔をちらりと見た男たちは生唾を飲んでいる。

タマモ > 「よし、では決まりじゃな。
近くにちょうど良い店がある、そこに向かうとしよう」

手にしたままの、閉じた扇子を、袖の中に。
少女の答えに、すでに決めていた言葉を。

「それにしても………いや、まぁ、良いか。
では、行くぞ?」

少女の反応を楽しみつつも、その反応に、何か言い掛けるも…
それは己にも要因がある為、すぐに止める。
少女と、周囲と、反応を確かめながら、歩み始めるのだろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区のどこか」からフィーアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区のどこか」からタマモさんが去りました。