2019/03/16 のログ
ご案内:「富裕地区/劇場・オークション会場」にサウラさんが現れました。
■サウラ > 普段は歌劇や舞台が公演されている大きな劇場ひとつを貸し切り、
さる貴族肝煎りのオークションが開催されていた。
オークションへの参加者には予め招待状と出品目録が発送されるため、
事実上、会員制のオークションだ。
今回のこのオークションでは、美術品や芸術関係よりもっと実用的よりの品、
一般ではまだ量産されていない魔法薬などのマジックアイテムや、
使い手を自ら決めるという刀剣の類へのチャレンジ権などが出品されるようだ。
己といえば出品者側で、今回のオークションでは己の予想より良い価格で落札して貰えた。
お陰で懐も暖かく、機嫌だって非常に良かったのだ。
……この輩に掴まるまでは。
見知らぬ相手から、先々を見据えた商談をさせて欲しい。
そんな申し出を受けたのがそもそもの間違いだったのだ。
劇場の上階へ通じる階段の途中で、その相手と言葉を交わすうち、
ふと相手の手首に嵌まる腕輪が目に留まった。
その腕輪に刻まれた魔術紋を目で読み取った瞬間、
びりっと電撃を受けたように身が引き攣った。
読めば掛かるタイプの術式。罠だと気づいたときには、遅かった。
「……お手を、離して戴けませんこと?」
痺れて言葉が発しづらい唇を叱咤しつつ、苦労しながら言葉を発する。
壁際に追いやられ、相手に強く掴まれている手首が痛い。
ご案内:「富裕地区/劇場・オークション会場」にクロステスさんが現れました。
■クロステス > (オークションに興味自体は無い。
だが、こう言った催し毎が在る度に、舞い込んで来る依頼も多い物だ。
例えば其れは、「商品」の鎮静で在ったり、或いは負傷者への対処で在ったり
不慮の事故や事件に対応出来る様、待機して居て欲しいと言う物が殆どだ。
その内容が余程気に食わない限りは、其れなりに気楽で、其れなりに手間賃も貰える仕事
今回も、そんな理由で訪れ、そして無事何事も無く引き上げようと、そんな最中
ふと、劇場の下階にて通路を出口へ向かう方向に歩んで居た際
何気なく振った視界の端に認めたのは、ドレス姿と、もう一人。
ドレス姿には見覚えがある。 自分が騎獣用の治療薬や、麻酔薬などを時折卸している相手だ。
今回はオークションの出品者側の様だったから、何か仕事の話でもしているのかと思い
其の儘気に留めず、通り過ぎようとした、のだが。)
―――――――――……。
(――足を止める。 一瞬感じ取った魔力の波長に、僅かに双眸細めては。
再び階段上の二人へと視線を向けて、暫く見定めた後。
歩みを変え、その方向へと上がって行こう。)
やぁ、御話し中かな?
(かける声、向ける笑顔。
罠仕掛けた者にとっては、この上ないほど邪魔者だろうか)。
■サウラ > 不意に掛かる声に対して、果たして己の腕を掴む相手の注意が逸れる。
渾身の力を込めて足を動かし、がつ、とヒールの踵で相手の靴上から足先を踏んづける。
ぎゃっと短く喚いた相手の傍を出来る限り素早く通り抜け……ようとして、
かなり大きくふらつきながら、ヒールの痛撃に声を失っている間に声を掛けてきた男の許へ
「……っ、申し訳ありませんわ、連れが参りましたので、失礼致します」
己はちゃんと言葉を紡げているだろうか。それすらも確り認識できない。
そもそも声を掛けてきた男が見知りの相手であるとも、今の状態では分かっていないほどだ。
魔力感知能力の低い者があの腕輪を目にしても何も起こらない。
だが直接あの術式を「読んで」しまった己の状態といえばかなり悪い。
熱が上がる前のように酷い悪寒がして、なにも悲しくもないのに目さえ潤んでくる。
■クロステス > (――思わず、当人でも無いのに声を上げそうになる位には痛烈な一撃だった。
声を掛けた事で一瞬振り返った相手が、悶絶宜しく蹲るなら
若干引き気味に口元引き攣らせて、苦笑いを零そう。
此方へと移動してくる見知った顔、けれど、其の足取りは余りにも拙い
幾らヒールだとは言え、酔い潰れた様なふらつき方に
反射的に片腕を伸ばして、其の身を支えようとしながら。)
「―――やれやれ…。 ……よし、じゃあ行こうか。」
(其の儘、蹲る相手と彼女との間に立つようにしながら、彼女を支えつつ階段を下りよう。
果たして、其の儘無事に離れる事が叶うかは判らない、が
明らかに、尋常では無い様子の彼女を、此処に留めて置く訳にもいくまい
何をされたか、何を「掛けられたか」、確かめる為にも先ずは、相手を撒く他ない。)
「―――……方向は任せて、足を動かすだけで良い。
君の宿は? 取り敢えず劇場を抜けるよ。」
(――そうして、密やかに伝える声。
在る程度安全な場所が在るのならば、其処に向かおう
もし向かうのが難しい、或いは…喋るのが難しい、のなら。
其の時は、其の時でまた考えるしかない)。
■サウラ > あんまり手加減する余裕がなかったけれど、よからぬ輩の足には孔は開かなかった筈だ。多分。
躰が何かに支えられたと分かったのと、ふわりと鼻腔に何か優しい香りを感じたのはほぼ同時。
朦朧とする意識が少しばかりクリアになって、視軸を振る余裕が出来て。
見上げた先の男の容貌を見て、軽く目を見開く。
「……こん、なところで、奇遇ね?……でも、助かる、わ、」
彼から購う麻酔薬や睡眠薬がなければ調教も満足に出来ないほど懇意にしている相手だ。
効果が確かな薬をきっちりと調剤し提供してくれる者というのはとても貴重だ。
だから、彼の事は好意的に記憶している。
その彼に支えられなくば、階段を下りることさえ独りではままならなった。
待て、と苦しげにくぐもった男の声が追ってくるが、所詮は声だけだ。強制力は無い。
「……止まらな、で、」
呂律の若干怪しくもなんとか紡ぎ、宿を問う声には緩慢に首を横に振る。
制止の声の主が怒れる雄牛みたいになって探しに来る前に、彼と共に劇場を後にし――
ご案内:「富裕地区/劇場・オークション会場」からサウラさんが去りました。
ご案内:「富裕地区/劇場・オークション会場」からクロステスさんが去りました。