2019/01/30 のログ
イスラ > (その上勿論夜食も完備。
二杯目の飲み物が届くまでの間は、其方に舌鼓を打つ事にしよう。
初めは熱々だったクロックムッシュが、少しばかり温度を下げて。
丁度今なら、猫舌にも優しい口当たりとなった頃合いだから)

「 兎角栄養が必要だからね、頭を使うという事は。
――うん。やっぱり此処のパンは何時も、美味しぃよね…?」

(トーストの香ばしさが絶品だ。勿論、其処に挟まれたハムもがっつりと分厚く、脂が乗って。
とろけて糸を引いたチーズと共に、実に良い味を出している。
これならもう暫く。頭脳労働に精を出す事が出来そうだ――

といっても。別段大した事をしている訳ではなく。
学生らしくきちんと、通う学院への提出課題を。今夜中にやっつけようとしているだけ…なのだけど)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 喫茶店」にルキオラさんが現れました。
ルキオラ > 扉がきいと開いて、その隙間から十センチあるかどうかという
二股帽子の小人が入ってくる。

「ハニージンジャーティーをひとつ」

とことこと歩き、課題に励む学生の近くの空きテーブルにぴょんと飛び乗って、平然と注文をする。
店員もそれをごく普通に受けて通常サイズのドリンクを出してくる。
どうも良く来る客らしい。

「へえ、こんな夜遅くまで学業ですか。えらいですねぇ~」

うっかり目が会うならそんなことをにこやかに言うだろう。

イスラ > (さて。魔術という物、別にそれで生計を立てていくつもりはないが。
知識として、備えておくに越した事はない。
例え実践する機会は無いのだとしても、進学する上で、質疑として問われる事になるのだから。
紙面に並ぶのは。計算式めいた魔素の変換方式やら、其処に如何なる方向性を乗せるか、やら。
或いは、純粋な力でしかない元素を、どうすれば目に見える何かに置き換えられるか…やら。
一つ一つは、魔術の基本。さりとてこうも積もり積もれば、頭も目も痛くなりそうだ。
小さく溜息を吐いた所で。店員がやって来る気配。
先程の注文がやって来たんだろうかと、顔を上げてみたのなら)

「ん?……ぅ、ん……おぉ…?」

(店員女史、此方の視線を通り過ぎて、隣のテーブルへ。
一瞬無人の席へとカップを置くように見えたから。
これは所謂、怪談物のお約束。第三者には見えない、此の世ならざる深夜の客でも居るのかと――
思いきや。カップに隠れた小さな姿。きちんと、人の形をした、唯大きさだけが別物の。
ついつい、見つめてしまったのなら。目が合った。その上で)

「 ――しゃべった。…わ、ぅわ……ぁ?」

(驚いて当然だと思う。
小さな小さな人型をしたそれは。はっきり人語で、此方に語り掛けてきたのだから。
思わず。隣席側へと身を乗り出し、指を伸ばしてみたりなぞもして)

ルキオラ > 「やあ。わたくし勉学に疲れた君の心の中に住み着いた幻……
 とかではなく、ふつうに存在します。
 そしてしゃべりますとも。高性能だから。うわぁ~」

指を伸ばして触ろうとしたりするなら特に逃げたりはせず好きなように触らせるだろう。
解放されるなら、ジンジャーティーのカップに背伸びして傾け、器用に飲み始める。
傍目に見るとかなり危なっかしい。

「もっと小さいサイズでもいいんだけど、店主、
 それでも同じ値段取るっていうんですよね。話のわからんやつですよ」

これを普通に相手している時点で、どちらかというとわかるほうである。

イスラ > 「 あぁ、もし君の言ぅ通り、脳細胞の訴えてきた危険信号だったのなら。
合法的にサボタージュが出来たのだろぅにね。残念だ。
…といぅか。何者なのか、聞ぃても宜しぃ?
色々な種族が居る、といぅのは分かってぃるけれど。君のよな存在は、初めてで。」

(ミレー族に代表されるように。数多の種族が、この国には存在する、或いは訪れている。
とはいえ、こんなにも小さな存在は。取り分け珍しく思えたので。
興味を持つのは当然だろう。
ぐにぐにと頬を捏ねくり回し、ナマモノめいた柔らかさを確認して。
その後指先を離したのは…納得したのか。
それとも、此方の注文した品も、続いて届けられたからかもしれず)

「 値段云々よりも。容積が気になるんだけどね、第三者として言わせて貰えば。
…ひょっとして。君、それを全部飲み干すつもり…なのかな」

(何だろう。明らかに、カップの方が大きい。
カップの中身を飲み干すよりも。カップを湯船代わりにしていた方が、まだ違和感無さそうだ。
そんな、小さな小さな存在が。どれだけの分量を飲むのだろうか。
多少のサイズ変更だけでどうにかなるものなのか。
…胃袋が在るとして、何処か余所に繋がっていたりするのだろうか。
或いは、深海魚宜しく極度に拡がりでもするのだろうか。
考えれば考えるだけ、不思議というか不躾というか。そんなイメージばかりが沸き上がる)

ルキオラ > 「名前を名乗るならルキオラ。
 その存在についてはですねぇ、……ホムンクルスって知ってる?
 錬金術師という連中は気軽に生命を弄ぶ。そうやって生まれるやつ。
 ……にしても遠慮のない触りっぷりですねえ。
 君は初対面の若者に頬をグニグニされたらどう思うのか!」

などとは言っているものの声には覇気がなく本気の怒りは微塵もない。
こういう扱いにも慣れていそうであった。

「今日こそは全部飲み干せるんじゃないかと思っていたところだったんですよね。
 ……量以前の問題として、やっぱ飽きるんですよね、これ~」

三分の二程を残したカップを前に口元を手で拭う。サイズ比で言えばそれだけ飲めたのは結構すごい。

「……すごい視線を感じますけど、よかったら飲みます? 残り。
 間接キスとか気にならなければ」

小人との間接キスは意識すべき問題かは個人差があるだろう。

イスラ > 「 何と。…何と、まぁ。
生命を探求せし錬金術、その象徴に。お目に掛かる機会が来るとはね。
初歩の魔術でヒィヒィ言っている一般学生には、信じられなぃ話で……ぉ、っと。
失礼、小さな存在を愛でたくなるのは。人間の性分といぅ物でね。」

(逆に、障られる側に回ったらどうなのか。ノーコメント。多分、相手次第、とでもしておくか。
相手の抗議を受け流しつつ。指先自体は引っ込めたものの、相も変わらず。
興味その物の視線で、小さな彼を矯めつ眇めつ、上から下まで舐め回すよう。
何せ言ってみせた通り、術という物に関しては、普通の知識しかない一般人。
それが、高等極まる術の権化を、今正に目にしているのだから)

「 ――あぁ。それは…残念だ。気持ちは分からなぃ、でもなぃけれど。
ふむ、折角だから頂戴しようかな。それと…」

(残念という言葉の内訳は。物理法則を越えた魔術的などんでん返しに期待していたからだろう。
もっとも現実的な結果しか訪れないというのなら、小人のパンクなどというスプラッタも在り得た訳で…
その前に止まったのは、良かったのかもしれない。
指し示されたカップに、遠慮する事なく手を伸ばす。
何というか、敢えて間接云々言われてしまったら。逆に、意識する必要を無くしてしまうかのような)

「 それと。折角だ、口直しは如何かな。
僕の注文した方、バニラキャラメルに冬季限定ホワイトチョコを付け足してだね。後は…」

(当人としては、善意である。
だが甘さに甘さを累乗させまくったそれを、飲み物として認識出来るか否かも。きっと個人差が有るだろう)

ルキオラ > 「まあ、なんだかんだ愛でられるのはきらいじゃないので。もっと愛でていいですよ。
 奇蹟や学術の結実というのは案外平然とそのあたりに転がっているものですよ。
 いまわれわれが飲んでいるお茶にしたって、古代から無数の人々が
 研鑽を重ね続けて今の味があるわけですしね~
 にしてもそんなに熱心に見つめられると、恋に落ちてしまいそう」

きゃっ、とわざとらしく品を作ってみせた。
飲み物を交換する提案にはルキオラも快諾し、
さきほどと同じようにカップを傾けて口をつけ――
一口でやめた。

「言いたいことはいろいろあるけど、含有糖分が濃すぎて
 あたしの小さな喉につかえてしまいそう……
 あなたはあれですか。過度に甘いものを摂取しないと
 生きていけないタイプの種族?」

真顔でそんなことを尋ねる。

イスラ > 「 それは良ぃ事を聞かせて貰ったね。
学術的、いや生物学的…いやいや、純粋な、好奇心が。君を識れと囁ぃて来る。
……実に。良ぃ事を言ぅね。確かに、此の世のあらゆる人工的な被造物は。
先人が積み重ねてきた技術と価値の上に成り立ってぃる。
君は、あれか、良ぃ造物主の下に生まれたのだろぅね。」

(そういう台詞が、錬金術師から伝えられた物ならば、だが。
もしくは彼自身の言葉だとしても。それはそれで。育ちが良い、とでも言えそうで。
許可が出たならば良し。改めて手を伸ばそうとするのだが。
その前に、何やら不評で突き返されてしまった、此方のカップ。
何とも不思議そうに首を傾げてみせながら)

「 …む。糖度はともあれ、粘度が生じる程…溶けきらなぃ程の砂糖は。入れていなぃ筈だけど。
く、っく。そぅだね、糖質由来のエネルギー有ってこそ、頭脳が動く、精神が活動出来る…そんなイキモノさ。」

(これまた真顔で即答した。冗談という物が、どう取られるのかも識りたくて)

ルキオラ > 「さぁー……どうでしょうね。
 良い造物主だったらこんな不便な身体には造らないと思いますが。
 そんなに識りたいんなら一夜の褥をともにするぐらいは許しますよ」

けらけらと冗談めかして笑う。

「たしかに糖分は頭脳労働には欠かせない要素ですけどもね~。」

もう一度カップによじ登って犬がするように甘さの塊に口をつける。
口端にバニラの白さがついたままなんとも納得の行かない表情で見上げる。

「いや……でもちょっと癖になりそう……?」

またちょっとだけ舐めて。訝しげに見上げる。
その繰り返しをしているうちに、カップのバランスが傾く。
止めてやらないなら、ルキオラのほうに倒れてキャラメルバニラまみれの小人が誕生してしまうだろう。

イスラ > 「 それはそれで、愉しそぅじゃないか。悪くなぃ提案だ。
…でも、抱き枕にするには小さすぎるかな?寝相が悪ぃと、うっかり潰してしまぅのが怖いかもしれない。
そんな危険を考慮してくれるなら。かの造物主という存在につぃて、是非伺ってみたぃ所だけれど。」

(おやおや、と小さく。矢張り知識の量もさる事ながら。
ウィットに富んだ台詞も出て来るのだから。情緒の面でも相当に。
きっと、サイズ以外は人間と変わらないのではないか。
ますます、彼の成り立ちが気になるというもの。…だからといって。
本当に一晩付き合う事にしたのなら。今度こそ、こねくり回し弄り倒すに違いないのだが)

「 そぅとも、加ぇて心が救われる。糖がなければ、こんな苦役に従事するなんて――――ぁ。」

(まるで歌うかのように。陶然とした声は、だが結局の所、スイーツな。
寧ろ天井を仰ぐかのようにして語っていた為、反応が遅れた。
魔術ではなく物理、てこの原理が小人の彼に牙を剥き、トールサイズのカップが大きく傾いて――

その後の惨事は推して知るべし。
大声が上がり、夜の静けさは、店の中から掻き消えて。
呆れ半分の店主すら巻き込んだゴタゴタで。その夜、結局課題を終える事は出来無かった…とか)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 喫茶店」からイスラさんが去りました。
ルキオラ > 「ははは。その手の危険には慣れっこですから。
 でしょう~? かの錬金術師についてはちょっと話が長くなるので
 夜長に聞かせるにはちょうどよさそうです」

かんらかんらと笑う。まだ目の前の人物の雌雄すら判明していないというのに。

「これ常飲して救われる心けっこうやばいですよ。
 SOS、見逃してません? ってあー!!」

SOSを出さなくてはならないのは小人のほうだった。
あははは……と乾いた笑いを出しながらいろいろを始末してもらったという。
ずぶ濡れだけど。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 喫茶店」からルキオラさんが去りました。