2019/01/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にレイン・レジネスさんが現れました。
■レイン・レジネス > 王宮に出入りしてやんごとなき方々と顔を合わせる日々――に、少し心疲れて。
足を向けた先は富裕地区の、とある薄暗い飲食店だった。
地域の格式通り、美麗な装飾を施された店舗ではあるが、室内を照らすのは薄明かりばかりだ。
これでは折角の装飾もろくに見えまい――とは思うが。
「この為の場所、だからねぇ」
女はグラスの酒を舐めるように飲みながら、店の端へと視線を向けた。
王城でも見かけたような気がする男が、若い女を組み敷いている。
此処は所謂〝行為〟の為の場所。薄暗いのも、互いの顔をはっきりと見ぬ為に。
或いは此処で出会い、二階か――それとも地下階かに連れだって行くものも、居るといえば居るが。
露出行為をも楽しみとする物好きは、敢えて周囲に見せつけるように、食事のテーブルでそのまま行為に及ぶ。
倫理も何もない大概な場所だが、こういう環境は、女にとっても酷く居心地が良かった。
■レイン・レジネス > 「で、どうなのさ、最近は」
店主に問いかけながら、次の酒と軽食を注文する女。
軽く腹を膨らませるだけのパン類と、然程強くもない甘いばかりの酒。
それだけを腹へ落として、僅かの酩酊感を楽しみながら、女は椅子を後ろへと回す。
気付けば店内のそこかしこに、絡み合う男女――或いは同性同士も――が見受けられる。
今日は特に、〝そういう趣味〟の方々が多い日のようだった。
「……いや、違う違う。稼ぎがどうとか、そういうことじゃないんだって。
ほら、なんだかこう、かわいげのある女の子の噂とかそういう……」
他者が交わり合う光景を肴に、新たな酒に口を付ける。
退廃の国に似つかわしい夜の過ごし方だ――などと思いながら。
■レイン・レジネス > 「ん、いい話が聞けたよ」
暫しの後、女は満足げに頷くと、店主の手元へ、酒代とは別の金を突き出す。
出所の確かな噂話は、美酒と同程度には貴重な商品だ。
尤も美酒は金さえ出せば手に入る。噂話の方が希少なのかも知れない。
「ごちそうさま、また来るよ」
やがて女は、背に幾多の嬌声を聞きながら店を去る。
有意義な夜の散歩だったと独りごち、白い息を吐きながら。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からレイン・レジネスさんが去りました。