2018/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 環境の変化に、人は慣れてしまうもの。
かつて労働と全く無縁に生きていた少女は、今、銀のトレイにグラスを乗せて店内を歩いていた。
「はいどうぞ、ご注文の品よ。……酒豪を気取るにしても、少しペース早いんじゃない?」
店員から客へ向ける言葉づかいとしては、些か不適当であるかも知れないが。
とかく少女は己のあり方を曲げようとせず、それでも一応は従順に業務をこなしている。
と言っても仕事は簡単だ。
バーテンダーの作ったカクテルか、或いは瓶から注いだだけの酒をトレイにのせて客席へ運ぶだけ。
或いは――〝特別メニュー〟の注文に応じて、それを用意して運ぶだけ。
「……あら、こんな悪趣味なものをご注文?
かしこまりました。〝歓喜の歌〟一杯お願いしまーす!」
果物の甘ったるさで、混ぜ合わせた薬物の味を誤魔化す、この店の人気メニュー。
方々で男女が交わりあうこの店で、用いられる薬物とは何か、想像は容易いだろう。
■アデラ > やがて、最も来客者の多い時間が終わる。
客の殆どはそこかしこで、見いだした相手であったり店員であったりと交わっており、
時々は行為に使う為の道具の要望が有りもするが、基本的には暇な時間だ。
「ふー……皆本当に、好きよねぇ」
などと言いながら少女は椅子に腰かけ、周囲の行為をのんびりと眺めていた。
おおよそ店員が取る態度では無い。酒も勝手にグラスに注いで飲んでいる。
が、本来なら咎める立場の女店主は、丁度店内のど真ん中で、男達に輪姦されている最中だ。
常々こんな状態であるので、横暴なバイトは自分の素を押し出したまま、気楽な仕事を続けている。
それでも一応時々は、入り口の扉に視線を向けるだけの意欲はあるのだが。