2018/11/12 のログ
アデラ > 悩みに悩んだ少女はとうとう、店主との値下げ交渉に乗り出す。
だが、金銭で悩むような生活を送ってこなかった少女だ。
どうにも値下げ交渉は難航し、店主は値札から数値を引き下げようとしない。
店の側からすれば、この少女が金を落とさずとも、別の客に売れば良いのだ。
商談の場では貴族も平民も関係無い。金のあるものが正義である。

「うー……うー……!」

未練がましく少女は、棚の前に居座っている。
店主の側はと言えば――これはもう少しで墜ちるな、などと見極めて、後は財布の紐が緩む時を待つばかりだ。

「こんなレア物は見逃せないもの……うう、この服売ったらお金になるかしら……」

貧すれば鈍する。貴族の娘の思考は、あまり賢くない方向に傾き始めている。

アデラ > 最終的に――二時間悩んだ末に。
少女はしぶしぶと、この店を後にすることになる。
服を売り払ったところで、大した金額になりはしないと気付いたのだ。
そして。子供が、欲しいものが有った時、何をするかなど決まっている。

「……両親に相談してきます」

親にねだるのだ。
普段は大人びたように見える少女も、財力という問題だけはどうにもならなかった。

尚――流石に金額が金額。子供に与える小遣いではないということで一蹴される。
何年ぶりにか少女は、べそをかきながら不貞寝することになったようだ――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 裏通りの薬品店」からアデラさんが去りました。