2018/11/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 裏通りの薬品店」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 「……むぅ」
と、少女は商品棚の前で唸っていた。
もう少し具体的に言うならば、何とも分からぬ植物の種の入った、小さな試験管の前でだ。
ここはマグメール富裕地区、その裏通りに存在する小さな商店。
大々的に営業している訳ではないが、例えばコクマー・ラジエルの学生だとか教員、
或いは媚薬・精力剤の類を扱う娼館の店員などが、主要な客層となっている。
扱う商品は――前述のような薬品。或いは薬品の材料となる植物、一部の動物だ。
法的に禁止されている商品も当然のように棚にならぶが、それを見咎める者はまず居ない。
「むぅ……高い……。お小遣い飛ぶわねこれ……」
さて。少女はとある棚の前で立ち止まって、じっと、試験管の中身に熱視線を送っている。
値札は五桁ゴルドの高額を示している――これが少女を悩ませる理由である。
■アデラ > 少女はドレスの内ポケットから財布を取り出す。
上質の獣の革を用いた財布は、彼女が相応に高い身分の者であると示しているが――
それでも財布の中身を覗き込む彼女は、うかない顔をしている。
「学割とか――無いわよね、ええ、知ってます。知ってるわよ……」
値札を見て、諦めて立ち去ろうとし――数歩行って、結局戻って来る。