2018/06/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にネーヴェさんが現れました。
■ネーヴェ > (――とある貴族の屋敷。
先日来、一進一退を繰り返し…現状は再び、人の物であるらしい、あの砦に関し。
貴族達の一派閥が寄り集まり、軍議――と呼ぶべきか、単に会議と言うべきか。そういった物を行われたらしい。
…らしい、という曖昧な言い回しになってしまうのは。
以前なら彼等の傍に仕えるなり、間近に控え身辺を護るなり、していた筈なのだが。
暫く前の戦で捕虜となり、犯し穢され、一度は飼い犬の身分すら奪われ…
そして、魔族の名前を刻まれ、魔力に侵され、帰ってきた身。
心身の後遺症が癒える迄…否、より正確には、何かの「仕込み」が行われていないか、確認が取れる迄。
要人の傍からは離されていた。
……今も。屋敷の庭に居る。)
――ふ …く、ふ 嫌 ぁ……だ、こんな、の……
(…躰が熱い。重要な議題を片付けた後、屹度、客達をもてなす宴が始まっている。
其処から微かに…ほんの微かに、甘い香りが届いただけで。
胎の底が熱を発する。耐え難く餓えて、いっそ自ら触れたくなる。
――尤も解り易く残された影響が、それだった。
熱と悦と苦痛の記憶、その物を今以て孕んでいるような、牝の胎。
太い樹木の幹に背を預け、荒い呼気。)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」に黒須さんが現れました。
■黒須 > 「…おい、大丈夫か?」
(いつの間にか、貴族の屋敷にある庭に侵入し、ネーヴェの前で前足で体をさせながらしゃがむ巨体の狼が声をかける。
歓楽街に出ても何も面白いものもなく、ただ酒だけ飲んで帰ろうかと思った優し、聞こえた荒い息に耳を傾けてひょいっと塀を飛んで越え、樹木に居る少女を見つけて声をかけたのである)
■ネーヴェ > ―――― ……!?
(油断していた。いや、それ以上に…我を失っていた。
そう自覚したのは。何者かに声を掛けられてからだった。
――狼。ぱっと見は、そうだ。
だが明らかに普通の狼ではない…己のような、狼のミレーでもない。
姿形は獣のそれであり。同時に、人語を解す、操る、のだから。
何時、何処から、どうやって入って来たのか。
そして――何故、そんな侵入を赦してしまったのか。
目の前の影に気付かされ…一拍、置いて。
唸った。犬の如く、警戒、敵意、剥き出しに。)
――誰 だよ…!?
勝手に入って、赦される と、思って……!
(無造作に、伸ばされる手。首か、背か、何処でも。
身を屈めた狼に掴み掛かろうとする、素手という凶器。)
■黒須 > (目の前にいた狼は、正しく人型であるが、人と括ってもあまりにおかしいサイズである。
所謂、人狼の類に似ている姿をしていたのである)
「おいおい、そんなに唸んなよ…。俺はただ…変な声が…。あ?」
(犬の様に唸る少女を持ては片手で抑えるようなジェスチャーをする。
その後、掴みかかる腕を見ると条件反射で手首を掴む。
決して強くなく、ただ軽く止める程度の力量で伸びた少女の手首をつかむのである)
「…落ち着け。俺は殺しも食いもしねぇよ…。」
■ネーヴェ > っ、あ。 …ぁ……?
(そんな事にも気付けない程、己の意識は散漫だったのか。
…いや、前半分というか、上半分というか。
一番最初に、視界を埋めたその部分は狼その物だった、から。
それ以上に衰え具合を自覚させられたのは。
伸ばした手を横合いから、あっさりと掴まれてしまった為だった。
だが、其処に差程の力が籠められていないなら。
娘のそれとは思えないだろう、膂力が。躊躇無く触れる所迄、その手を押し通そうとする。)
…余計、な お世話。 …っ ……聞こえた、 の…?
(頬に朱を帯びる。
ともすれば甘い牝のそれでしかなかった声を。見ず知らずの他人に聞かれてしまった為か。
…不注意な一言で、その声音を零したのが、娘自身なのだと、半ば自白してしまったからか。
何れにせよそれは、注意が、理性が、足りなかった証。
疎ましさと悔しさが、濡れた滴となって零れぬように。力の篭もる瞼が震え。)
…でも。 不法侵入。 …分かって る? 此処――入っちゃいけな ぃ、場所――だ。
私 此処の――主 の番犬、だから。 …捕まえるよ?
それとも …噛み付かれるか、 痛い目、 見て 放り出される か、選ぶ……?
(そう。反射的な敵対行動、その最大の理由は。
此処が貴族の屋敷であり、大勢の客も居て。
其処に、塀を乗り越え入ってくる正体不明の侵入者など、赦してはならないという。
使用人なら、当然の判断による物だった。)
■黒須 > 「あぁ、はっきりとな…。風邪か?それとも…発情期か?」
(声を近くで聞けばそれが甘い声でもあるのがわかる。
そのため、後者は恥じらいなく真っすぐに言い通した)
「あー…ここはダメみたいな所か…?ん…なら、こうするか?」
(さすがに死ぬようなことがあっては仕事に戻れず、めんどくさい。
しかし、目の前の少女の状態を見れば放っておくのも無い。
ならば、ネーヴェを持ち上げて外に出て、その発情の解消を使用かと考え出すのである)
■ネーヴェ > どっちも、違う っ!
(思わず声が大きくなった。
…発情と言えば発情だが。望んだ物ではないし、ましてや、生来の習性でもない。
とはいえ、事細かに、「魔族にしてやられました」などと言うのは、更に癪だ。
…が。荒げた声音を、直ぐに後悔する事になる。
流石に、警護を務める別の誰かが、聞き咎めたらしい。
誰か居るのか、何をしているのか。そんな声が近付いてくる。
思わず小さく舌打ちし――そのせいで。目の前の男から、僅かに意識が逸れた、刹那。)
っ、……――っ…!?
ちょっ、待っ …何し て …――――
(ふわりと巻き起こる浮遊感は。
此方の押し込んだ手が届いたにしろ、否にしろ…掴まれた侭の手首を引き寄せられた、かと思えば。
胸に抱かれ、抱え上げられてしまった為であり。
更にその侭再び。巨躯に見合わぬ身軽さが、娘の身を抱いた侭、高い壁を飛び越えたから。
――当然、屋敷は騒ぎとなるのだろう。
正体不明の何者かによる、使用人の拐かし。
ましてその娘に、魔と繋がった嫌疑が掛かっていれば、余計に。
たちまち、塀の内側は使用人、兵士、そういった者達による喧噪に包まれる。
そして、男の腕の内側でも、攫われた娘自身が、声を上げ続ける事になるだろう。
…抗議と怒声が、連れ去られたその後、どう転じたかは定かではない。
ともすれば…魔の呪いに屈し、同じ狼に絆されて。更に甘い牝の鳴き声を発する羽目に陥るのかもしれない。
何れにせよ、再び攫われてしまった娘の行方は。
少なくとも一晩、或いはそれ以上。杳として知れぬ物となり――――)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からネーヴェさんが去りました。