2017/10/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──夜。

富裕地区の表通りを、コツコツと音を立てて石畳を踏みしだきながら悠然と歩く、
紳士然とした格好の男がいた。

背筋をしゃんと伸ばし、堂々と歩みを進める様にぎこちなさは一切無く。
宵の暗さとやや目深にかぶったシルクハット、そしてモノクルのお陰で人相はわかりにくいが、
その端麗と呼んで差し支えない程度に整った横顔、口元には不敵さを感じさせる笑みが浮かんでいて。
ハットの下からは綺麗に整えられた金髪が、歩みに合わせてさらさらと靡く。

そんな男の姿は、通りの人々の注目を俄に集めていた。

「……。ちょっと僅かに気合を入れすぎましたかねぇ?」

注目の只中、内心苦笑しながら男は口の中で独りごちる。

この男が何故こんな紳士風の格好をしているのかといえば、富裕地区でのちょっとした調査の依頼を受けたからで。
そして富裕地区で普段の格好でうろつくと目立つだろう、と考えた末、伝手を頼って用意したこの服装に身を包んでいるのだが──

「……いや目立つのは気持ちいいから嫌いじゃないんだが……やはり俺がナイスガイすぎるのがダメだったかな?」

などとしょうもない自賛を小声でしつつ指で顎を撫でつける。

まあ、目立つのは想定外だったが、少なくともこの謎の紳士(?)が冒険者のエレイと同一人物だとはそうそう判るまい。
それに依頼に関してはそう急ぎでもないわけだし、適当にゆっくりやればいい。

そんな事を考えながら、男は変わらぬ歩調でコツコツと歩き続けていて。

エレイ > そうして男の夜の散策は暫く続き───富裕地区の住民の間には、突如現れた正体不明の紳士の噂が流れたとか流れてないとか。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエレイさんが去りました。