2017/08/15 のログ
ご案内:「王都マグメール富裕地区 公爵邸」にルクレツィアさんが現れました。
■ルクレツィア > 避暑地へと向かう馬車には、子供たちと乳母、数人のメイドと護衛だけを乗せた。
めっきり住人の数も減った屋敷の二階、夫婦の為の大きなベッドが存在感を醸し出す寝室で、
女主人となった己は独り、優雅とは言いかねる午睡の中に在った。
仰臥する己から見て左手、テラスへ通じる窓を覆うカーテンは、
執事の手でとうに、レースの物一枚だけにされており、室内には淡く陽光が煌めく。
幾ら何でもそろそろ、寝床から出るべきだとは理解していたけれど、
熱を孕んだような気怠さに支配され、如何にも思い切れずにいた。
「―――もうそろそろ、午後の御茶の時間、かしら……。」
一糸纏わぬ裸身、右腕をゆっくりと浮かせて、寝乱れた黒髪を掻き上げる。
ほう、と息を吐く唇は化粧の力を借りずとも、しっとりと艶やかな紅を滲ませて。
「……二人とも、もう向こうへ着いた頃かしら」
母親の具合を気にしつつも、元気に手を振って出かけて行った、
子供たちの輝くような笑顔が頭を過ぎる。
僅かに心慰められる思いではあったけれど―――身体の芯が、じわと疼いて。
■ルクレツィア > ―――枕元の小卓に置かれた時計が、涼やかな音を立てる。
ゆらりと視線だけを向けて時刻を確かめると、己は溜め息を吐いて夜具を脇へ避けた。
ベッドサイドの椅子に掛けて置かれていた薄手のガウンを羽織り、
前を掻き合わせながら足許の室内履きへ爪先を通す。
窓から差し込む光の目映さに、またひとつ息を吐いて。
ガウンの裾を翻し、女主人はバスルームへと姿を消した。
ご案内:「王都マグメール富裕地区 公爵邸」からルクレツィアさんが去りました。