2016/11/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にグールドさんが現れました。
グールド > 依頼主不明の花時計。寒々しい夜に、裸の眠り男自体それ自身を短針と長針に使用し現在時刻の指摘通りにちょっとずつ回しながら作業を重ね。
冷え冷えとした足が傾いた時計台からこぼれ落ちたローズマリーを摘まんでしっかりと差し込んだ。踏みしだく花叢は針にした男の陰嚢よりも柔く深々として脹脛を埋み。

「これが花とは。」

形よく大きい鼻と顎が肩のあたりで生命の吐息を示すので背中に悪寒を感じながらも頭が妙なもや気を起こして。下腹部で重い小さい石コロが吐息立てる感。花時計男の顔を手のひらで掴み花に伏せさせ。手のひらがくすぐったく疼いてさらに鼻を潰させる。

表情は薄いが、眼は怒気を含ませている。

グールド > 眉を動かした時計男の睫毛が花弁と触れ合い。見下ろして微笑しかけた形で口を僅かに開くが止め置く。
縒り絹糸で縫いとめた、か細い白濁の迸りが時計の下端へ伝いミルクで濡らしたように変化するたび強烈な花の匂いがきつく香る。

「眠るとは幸せなことだ。こんな風にされても。」

己自身の暗いいろの髪が動いて横顔に作る翳り。背を屈めて指を伸ばし、近づけた己の口と同じものを引っ張って腰下を穿つ。単なる真似事に過ぎない。像器自体は花時計の腹を掠ったのみ。
歯牙を開いて、未完成である被写体の髪をハサミでやるのと同じ鋭利さで噛み千切り唾液に吐き出し花に隠した。体に傷をつけてよいという条件はどう解釈しても含まれなかった。

グールド > 花の中に隠した蜂蜜のティーサーバーは傾けてもすぐには落ちない。糖度の高い金蜜を、高く掲げてぼとぼと重たく落ち続ける蜜を見下ろしていると呼吸は少し荒ぎ。
匂いを嗅いだ虫が迷いこんで喘ぐ羽音。
時計男の男性器を結わう絹糸が強く引っ張られて振れ幅が小刻みとなっている。苦渋を刻んだ美しい額にキスを捧げて降り立つと地面より花が暖かかったことに気づき。
完成した花時計を見上げるが先ほどのような感動は失せて引き攣った疲れ目を瞬いて肩を解す腕。

「君を失うのは、……惜しい。なぜか。否。」

理由はわからないが上手に言葉が出ない。蜜の迸りが地面の皿を満たしてもまだ足りぬと見て取って。早速、大きな花を重ねて杯を配した。

グールド > 聖杯を満たしたしら蜜が甘く誘う。すでに夜光虫が纏いついた花時計の艶めく肌を見上げてひと息で飲み干したがまだ少量であった。
絹の糸で巻き上げた花時計男の精壺が、先を抗う精気と一緒に膨らんだその湧き水の出所へと左手の指で摘まみ上げる聖杯花の芯を突き刺すと、気圧で聖杯のハナビラ全てが散ってしまう無残な光景をありありと、映した眼球はガラス玉に似て、頭の中心で一本の紐が千切れて視界に微細な火花を齎し。

「花を散らして良いのは、御前でないのだよ。」

眠る花時計とされる男の尊厳を無視して嘯き。落ちたハナビラ一枚一枚を大事に拾い上げて柔らかい真綿の如く丁寧に押し込んで。もがき始めた花時計が散らす花びらを運ぶ風を避けて、マントで身を庇い靴を取りに行き。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からグールドさんが去りました。