2015/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 路地」にハスタさんが現れました。
■ハスタ > 夕方の富裕地区、何となく寒い風が吹き抜ける、何処かの金持ちが横行する街路にて。
真っ黒な衣に身を包み、半ば露店の様な形で、路上で占い屋っぽいものをしているおっさんが居た。
布きれ一枚被せたテーブルに、それっぽい水晶玉と、それっぽい籤と、それっぽいカードの束。座る椅子は豪華なもの。
看板にはそこそこイケている画才で「よく当たる!!」とか黄色と赤の派手な色遣いで書いているが。
おっさんは、これでも占いが出来るのである。
占星術、なる学問や、様々な魔術を習得したおっさんにとって、割と占いという物は身近なもの。
意外と魔術にも関連が深いんだとかそうでもないんだとか。
まぁそんな事は別段どうだって良い。何故ならそもそもこのおっさん、真っ当に占いをするきなど毛ほどもないのである。
何でも富裕区域の人間は、上品な貴族が多いとかで。
で、あれば、適当に可愛い女の子を捕まえて占いに感けた催眠術で辱めたいなあ、辱められないかなあって。とっても行き当たりばったりな考えで、
路上に交通の迷惑にならない様に音楽館の壁面の傍によって、勝手にその場所を取って、こういう変な事を始めたわけだ。
人通りも多いので、適当に声掛けまくったら誰か捕まるんじゃね?というこれまた行き当たりばったりな考えで、
のんびりと真っ黒な水晶玉をもみもみしながら、通りがかった可愛いとか美しいとか思った貴族っぽい女性に声をかけるのだが、
今のところ、声に見向きもされず素通りという完全敗北が3つ。だめだった。この季節の風と同じくらい心が冷たくなった。
女どころか男も寄って来なさそうだと、おっさんは黒衣の中で悲し気に肩を竦めて、
街路を往来する人々に目を遣りながら、それでも何故かニヤけ顔を浮かべた。
■ハスタ > やっぱり、このご時世に占い屋なんてものははやらんのだろう。
四,五人程と目が合ったが、それだけだ。地味で売れぬ商売だった。
やっぱりインチキ占い師ってだめなんだろうか。需要と供給の曲線が交わらんのだろうか。
金を持て余している富裕層の人間ならばと思ったが、存外そうでもない様で。
誠に残念ながらおっさんは今日の戦果報告はゼロという実に悲愴な結末を背負って。
それでも、悲し気でありながらニヤけた顔を崩すこともなく。
「いいもんいいもん!うちに帰ったら彼女いるもん!」
という実にアレで悲痛な負け惜しみと共に、簡素な占い屋の用具と共に、転移魔法の陣に巻き込まれて、
人知れず何処かに陽炎の如くしてフェードアウト。去り際まで無駄である。
憐れなことに、魔王でも敗北することはあるのだ。誰に敗北したかとか細かい問題はさておく。
今日は誰も捕まえられなかったので、その事を誰かに愚痴りたく思うのだが。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 路地」からハスタさんが去りました。