2015/11/05 のログ
ご案内:「公共の大浴場」にエウレリアさんが現れました。
エウレリア > 大浴場ともなれば男女の別無く裸体を晒すのが当たり前という時代にあっても、やはり、異性の目がほとんどない環境というのは一種の居心地の良さがあるのだろう。
利用者の大部分が女性によって占められているこの場所は、他の浴場に比べて格段に穏やかな雰囲気が漂っていた。

そんな空気が、浴場の一角から始まった密やかなざわめきによって破られる。
漣にも似たヒソヒソ話の中、困惑と驚きと羞恥混じりの好奇心を伴う多くの視線が一人の娘を追いかけていた。

湯煙を割る様に浴場を闊歩する長身はすらりと無駄なく引き締まり、彫像を思わせる白皙の背筋にて緩やかに波打った金髪が王族のマントの如く靡く。
切れ長の紅瞳は傲慢さと酷薄さを滲ませているものの、その面立ちはエルフ族にも引けを取らぬであろう整いを見せ、歩をすすめる度に揺れる豊かな乳房は形崩れもなく瑞々しく張り詰めていた。

しかし、ざわめきの理由は娘の類稀な容姿を理由としたものでは無い。

手ぬぐいなどで隠される事無く堂々とさらけ出された恥部、そこにぶら下がる立派な『逸物』、それこそが視線の集中の原因であった。

エウレリア > その男根には睾丸らしき物こそ見当たらぬ物の、萎えていても充分な逞しさを感じさせる肉棒は、言うまでもなく女の身についているはずのない異物。
にも関わらず、好奇を集める当の本人は向けられる視線などまるで気にしていない。

浴場の中程にて立ち止まり、緩やかな所作で周囲を睥睨する。
紅玉の瞳をゆっくりと巡らせるその様子は、獲物を探す肉食獣を彷彿とさせる代物だった。

「―――ふぅん。たまには野花の類も摘んでみようと思って来たのだけれど……あまり代わり映えしない物ですのね。少し拍子外れカモ。」

引き締まった腰に手を当てて漏らした呟きが、蠱惑的な甘い声音を意外な程に響かせた。
失礼な物言いは、当然、こちらに目を向ける周囲の利用客の耳にも届いた事だろうが、そんな些事に気を止める程、この娘は細やかな性格はしていない。

「強いて違いをあげるなら……少し肌の色が濃いのかしら?」

手近な洗い場にて黒髪を清める年若い少女。
怯え含みの眼差しでこちらを盗み見いていた彼女の焼けた肌に、不躾な観察の視線を向けつつ呟くエウレリア。
切れ長の紅瞳を半眼に細め、桜色の唇端に薄笑みを貼り付けた女剣士の値踏みの視線に、若年の少女はひとたまりもなく頬を染めて視線を逸らす。

ご案内:「公共の大浴場」にアリサさんが現れました。
アリサ > 下流の貴族も、上流を気取る庶民も、衣服を脱いでしまえば人は人。貴族は随分と庶民を見下しているようだが、生まれたままの姿になるこの場所ではそんな考えなど滑稽なものである。――女は堂々と歩を進める。前を隠す事も無く堂々と。その歩みはさながら、舞台の上を行く女優のようで、表情には自信に充ちた――然し其れを隠そうとして隠しきれないような――小さな笑みを浮かべて。

(――…勝ち。……余裕の勝ち。……胸の大きさでは負けましたが、スタイルでは私の勝ち)

周りを見渡しながら何を考えているのかと言えば、人と自分を比べて"勝ち"だ"負け"だと言いながら、周囲の女性を品定め。
――誰も彼もが裸なこの場所での優劣は、身分や地位でも、纏うアクセサリーでも得た知識でもない。メスとしての魅力、即ち美しさに他ならないと女は考えていた。……そして自分は、誰よりも美しいと。
どこまでも傲慢な考えだが、周囲の視線もまた、それを事実として認めている。
スラリと伸ばした手足は、開放的な建物の造りもあって光を集めるかのよう。
薄らとした自信に満ちた輝きは、周りを照らさんばかりだ。
そんな自信家の足が、大浴場に入り、ふと一点を見つめ――止まった。

(………………)

思考すら黙し、ただじっと見つめている。よく見れば、周囲もまた彼女に釘付けのようだ。
その美しさ――人か魔か。その眼に映る色から、言葉交わさずとも雄弁に、彼女の自信が伝わってくる。
己に対する絶対的な"信仰"とも呼べる確信――自らもまた、同じ人種であるが故か。
彼女の真正面、およそ2,3メートル程離れた位置から、見ている事を一切隠さずに、上から下まで眺めまわして。

エウレリア > 街娘の初々しい反応を値踏むように見下ろしていたエウレリアの紅瞳が、瞬きの後に細い眉根と共に持ち上がる。

周囲と同じ様な、しかして明らかに異質な視線。
意外な程近くから向けられたそれには、絶対的な強者に対する怯えが無い。
この自分に対して、全く不遜とも言える態度に、エウレリアの薄笑みが消える。
ツンと持ち上げた顎と、女にしては高い身長が形作る見下すような無表情は、平民が危機的な不安を覚えるであろう冷酷な代物。
現に、周囲からこちらを盗み見る幾人かが緊張に息を飲む。

「――――あら?」

しかし、女剣士が漏らした声音は不躾な視線を咎める叱責ではなく、意外な驚きを示すものだった。
不機嫌に歪んでいた唇もまた、予想外の宝物を見つけた様な笑みに取って代わる。

見下す紅瞳が捉えたのは、想像していたようなつまらない姿ではなく、この場には似つかわしくない美しさと、そして華奢なその身からは想像出来ぬ獰猛な強さを感じさせる物であったからだ。

「驚きましたわ。この様な場で貴女みたいな玉が見つかるなんて。」

素直な感嘆を言葉の端に滲ませながら、引き締まった裸身を歩ませる。
豊かな双乳と、垂れ下がる肉棒が歩みに合わせて小さく揺れる。
無造作に伸ばした細腕が、しなやかな指先を彼女の顎先へと向け、人形の様に整ったその顔をクイッと持ち上げようとする。

アリサ > 女は"武器"として育てられた。細身だが柔らかさを損ねることなく、それでいて鞭のようなしなやかさを兼ね備えていた。
女は"美術品"として育てられた。人に好みはあれど、大多数の人間が其れを"美"と感じるだろう、普遍的な容姿と言えた。
――武器とは、誰かに使われるモノである。美術品とは、誰かの下で飾られるものである。
女が育てられてきた環境が、生き方が、目の前の彼女に対して――跪く事を強いていた。
実際にその場で膝を折らなかったのは、跪くよりも先に、彼女の指に顎を持ち上げられたからに過ぎない。

「……勿体ないお言葉でございます」

先程までの余裕と自信に満ちた笑みは消え、寧ろやや強張っているようだった。
彼女の、自分を見る視線に対して緊張を隠す事が出来ない。
その理由は薄らと理解している。
(――…私は、この方に認められたい。……一体何を?)

彼女の立ち振る舞いから、彼女の有する"力"や"自信"は勿論、これまでどう生きてきたかが伝わってくるようだ。
その、エゴイズムとも言える生き様が彼女の細胞一つ一つに自信を宿らせ、その生き方が美しさに直結し、神々しいまでの力強さを放っている。
眩しく熱い、さながら太陽のような輝き。――指先を通して熱が、体中を奔っているかのような錯覚。
体は小さく震え、それを包むかのように熱で体が火照る。

「背中を流す相手でもお探しですか?お言葉ですが……。貴女のような方に、其処らの女は似つかわしくないかと」

先程まで彼女と視線が絡んでいた少女を一瞥し、すぐにまた彼女を見据えて。

「――…貴女の肌に触れるのに相応しいのはそう。…例えば私のような」

自らの胸元に手を当て、己こそが、と。小さく喉を鳴らし唾を飲み込みながら訴える。
これまでの人生の中で、こんなことは、ただの一度もなかった。

エウレリア > 「―――まぁ、礼儀知らずかと思えば、きちんとわきまえてもいるのね。躾の出来ているペットは好ましくてよ。」

抗うこと無く顎を持ち上げられた少女の第一声に、エウレリアの唇もまた艶然とした笑みを深めた。
細く尖った少女の顎下を撫でるかの如く女剣士の細指が滑る。

少女の歳は己よりも更に幾つか下であろう。
しかしてその身から漂う匂いは、凡庸に生きてきた人間が醸し出せる代物ではありえない。ただの人とはまるで違う、苛烈で異質な人生を歩んできたのだろう。それこそ、人間として当たり前の人格すら歪む程の人生を。
―――が、彼女のそんな過去などエウレリアにとってはどうでもいい。
常識の慮外で生きる女剣士に取って大切なのは、美しさ。ただそれのみ。
眼前の少女の容姿も内包する強さも、目の肥えたエウレリアからしても充分に美しいと言えるもの。

息を飲んでこちらを見つめる周囲の娘達とはまるで異なる、己の隣に立つに値する美。
内心でそんな感想を抱きつつも、見下す瞳は酷薄な色を湛えたまま。
緊張気味に紡がれた彼女の言葉。触れる顎先から微かな震えを伝えつつの声音に、エウレリアは片方の眉だけを小さく持ち上げる。
どこかからかう様な薄笑みが小さく唇を開いて、紡ぐ。

「―――ふふっ、緊張しているの? それとも……」

娘の顎先を持ち上げていた指先が、くるりと翻って伸ばした人差し指を喉元に突きつける。
鋭く尖った細剣を思わせる爪の先が、そのままつぅぅ……っと白色の裸身を降りていく。
白肌に薄く赤い跡を刻む指先が、鎖骨中央から胸骨へ、そのままへその窪みへと落ちて更に下っていく。
まっすぐに少女の双眸を見つめる紅瞳はそのままに、軽くかしげた小首で金色の髪束を微かに揺らし

「――――興奮している?」

下腹へと至った指先が再び翻り、細脚の付け根に刻まれた割れ目を中指の腹にてなぞり上げようとする。