2023/03/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/魔法武具店」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 陽がかげり、昼の店が閉店時間を迎えようとする頃合いの富裕地区。
銀髪の男はある商店に向かっていた。扉の前で一度立ち止まると、小さく息をついた。

以前、男は黒い軍服を着て訪れたことがある。今はカジュアルなジャケット姿だ。
シャツをカーゴパンツの中にいれず、だらしなく裾を出している。左腕にはこの店で買い求めた木の腕輪。
扉を開けて、カウンターへ視線を向ける。店主はいるだろうか。
視線を端々にやりながら、男は後ろ手に扉を閉じた。ついでに、勝手に看板を閉店に変えておく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/魔法武具店」にソフィアさんが現れました。
ソフィア > いつものように気まぐれに店を開けては暇な時間を過ごす。
しかしその日はちょっとした用で少しだけ店の奥へと。

そして探し物をしていれば扉が開くベルが鳴る音が聞こえ慌てて店の方へと戻っていき。
カウンターの奥から店を眺めれば扉の所に今会いたいと思えない客の顔があり。

「……いらっしゃい。何かお探しでしょうか?」

あからさまに歓迎していませんという顔をして言葉をかけ。
素早く指を動かし警備用のガード居るを一体起動、客か冷やかしかと疑うように視線を向けて。

ヴァン > 店主は――いた。店の奥から足音が聞こえ、ほどなく姿を現した。
表情は予想した通り。「こんにちわ、死ね!」とばかりに攻撃魔法を叩き込んでこずにほっとする。

「おっと……ゴーレムを動かす前に、2つほど聞いてくれ。
壁の色を変えるかどうかは、その後で決めてほしい」

両手を肩の前あたりに軽くあげる。抵抗しないという意思表示にも、女を落ち着かせるようにも見える。
両手をあげたまま、カウンターの近くへと一歩づつゆっくりと向かう。
指の動きに注意しつつ、懐から丸い紙束を取り出した。

「まずは1つ。この手紙を」

蜜蝋で封がされた羊皮紙。中身は南方に所領を持つ地方貴族からの依頼。内容は悪いものではなく、家令を商談に向かわせたいとの内容。
男は補足するように、知り合いから相談されたんだ、と呟く。貴族を知り合い呼ばわりできるようには見えないが……。

ソフィア > 招きたくない相手でもお客はお客。
しかし何かあれば直ぐにとガーゴイルは先ずは一体、必要なら全部起動させるつもりであり。

「変な事をしなければ壁のシミにしないですよ。
って、掃除が大変になるんですから……2つ?」

いきなりにそんな事はしないと瞳を細めて告げて。
抵抗しないというポーズを見れば気は抜かないが話を聞く姿勢になり。
男がカウンターに近づいてくれば警戒を露わにし、取り出された紙束に視線を向けて。

「手紙…ですか?」

その手紙をカウンターに置くように促し、男がそうすれば封を解いて中を読み。

「こんな知り合いがいるなんて意外ですね」

その内容を読み、知り合いと聞けば意外そうに男を見て。
商談の内容は知っているのかと問い返して。

ヴァン > 「安心してくれ、今日は変なことをしない」

手紙、と聞かれると頷いた。依頼の打診だと。
意外と言われると笑ってみせるが、どこか力ない。

「本人から聞いたのは、家宝の剣を強化したいとかだな。
付与魔術師につてはないか、と聞かれたので君のことを話した。魔法鍛冶との違いがよくわからないが――似たようなものだろう?」

違いはあるのかもしれないが、相手の職業を軽んじているのではなく、本当にわかっていないようだった。

「時々、仕事――仕事か。うん。仕事で、交流会のようなところへ行くんだ。そこで会った古いなじみさ。
三男坊だから力はないが、一応騎士になれる程度には貴族なんだ。
条件については何も聞いていない。気に入らなければ断ってもらって構わないよ。条件だとか、持ってきたのが俺だとか」

騎士だということは以前伝えた気がする。
男は案件を持ってきたものの、それによって利益を得られるような立場ではなさそうだ。
もっとも、恩の売り買いという利益ならばありそうだが。

ソフィア > 「今日は……?」

つまり他の日はと呆れた視線を向け続け。
力のない笑みを見ると不本意な知り合いなのかと思いがするが口にせず。

「剣の強化?正直に言うと店を間違っている気がしますよ。
付与と強化は似て非なるものですよ……」

似ているが違うと男に告げて、ただどう説明すれば判って貰えるかと考えて。

「仕事の交流会ですか。そんな場所で会えるってどんな仕事をしているのか…。
騎士になれるなら十分立派な貴族だと思いますけど?
……条件は聞いてみてから判断しますよ」

流石に持ってきた人で相手まで判断はしないと首を振り。
内容と話を聞くに男は運ばされただけに思え。
とりあえずは話を聞きますと告げて。

ヴァン > 耳聡く言葉を聞き逃さなかったか。悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「あぁ……そうなのか?切れ味をよくするとか、耐久度を上げるとか。
そういうのは付与する魔術次第だと思ったんだが……。
交流会は実家の手伝いさ。大したことじゃない。……あぁ。聞くだけ聞いてもらえると助かる」

門外漢だという自覚があるからか、専門家の言葉に反応はするものの反論まではしない。
この件はどちらかというと、ここに来るきっかけ作りだ。商談が纏まればいいとは思うが、強く願うほどまでではない。

「次に、こいつを見てほしいんだ。ここに目を近づけて……」

取り出したのは黒い四角い箱。男が示した先にはレンズがついている。先日、テーブルの上に置いてあったものだと思い出せるだろうか。
小さなボタンを男は押した。レンズを覗き込むと、商談の時の様子が見える。撮影だけでなく、再生もできる魔導機械。
音も記録されているようで、箱から小さく流れてくる。とはいえ、この機械から2mも離れれば聞こえないだろう。

「おっと……落ち着いて。予備が別の所にいくつかある。
一定期間俺からの連絡がない時か、俺が指示した時。同じものが記録された魔石を市場に放出する」

よく見るまでもなく、男の顔色はよくない。そんな中でも不敵な笑みを浮かべている。

ソフィア > 「それは付与で出来ますよ、けど一時的なのですから。本格的なのは鍛冶になりますからね。
付与にも限界はありますし、永続でもないんですよ。
それを聞くと立派な実家みたいですよね」

付与はいずれ解けるので永続なら魔法鍛冶の仕事だと説明し。
詳しい内容は依頼人に聞くこととし、立派な家の出としか思わず。

「これ……どこかで見たような……っ…!」

次に見せられた四角い箱、どこかで見たようなと思いながら言われたとおりに目を当て。
そこに映された光景は先日の物、しかも音まで聞こえれば顔を真っ赤に染めて。

「悪趣味すぎですね……。
脅しですか?随分と悪趣味な騎士で……この国では当たり前でしたね」

男を睨むように見れば顔色はよくなく。
そこで呪いをかけた事を思い出せばくすりと笑って

ヴァン > 「なるほど。――まぁ、相手も付与と魔法鍛冶の違いをわかっていなかったし、聞く限りでは魔法鍛冶のニーズのようだ。
なおさら話を聞いてもらった方がよさそうだな」

黒い直方体に見覚えがあるとの言葉には、少し驚いたような顔をする。
あの時机の上には書類や紅茶の道具一式など、他にも興味を惹きそうなものがいくつかあった。
表情が変わるのを見ると、にやりと笑う。脅しではあるが、男とて商談の様子を公開するのは本意ではない。

「そうかなぁ。よく、いい趣味をしている、って褒められるんだがな。
ま、状況を理解していただいたところで、ここからは質問だ。
――君は俺に呪いをかけているか?前言った、もげるのとは違う影響が出ているんだが……」

悪趣味との言葉には、冗談で返す。言っている内容は同じことだ。
目の下に少し隈がある。男の身体には体調不良という形で呪いの効果がでているようだ。
今日は変なことをしない、と言ったのも単に体力がないからだろう。

「ちっとばかり、日常生活に支障をきたしていてね。
呪いってのは術者と対象の力比べみたいな所があるが――大したものだ」

魔術師としての女の実力に称賛するような言葉をかける。

ソフィア > 「私だと定期的に持ち込みを頼むことになりますね。
詳しく話を聞いて考えてみますよ」

店をやる以上、色々なものに目がいく。この箱もそれも有り覚えて居たもので。
驚いたような顔をする男に何?と見返して。

「本当に悪趣味な事だと思いますよ。
これをネタに脅しに来たわけでも……ありそうですけど質問?
……もげてない?おかしいですね」

返された冗談に更に呆れた眼をして返し。
男の様子に無事に呪いがかかっているのは見て取れるが効果は違う様子。
もげていないと聞けばおかしいというように首をかしげて。

「という事は調子がよくない訳ですか。
これでもエルフですよ、人間に魔力や術式で負けると思いますか?」

賞賛されているのは判るが、それは当然というように返し。
もしかして呪いの術式が間違えたかと考えていて。

ヴァン > 「あぁ、いや……よく覚えているな、と。
結構レアな魔道具らしい。知っていれば、商品を置いてすぐ出て行っただろうな」

港湾都市の闘技場で使われているのと同じ技術だが、携帯できるまで小型化したものは珍しい。

「脅しじゃない。穏やかな話し合いさ。
あぁ。もげてたら今頃こんな会話はできていないよ」

激痛にのたうち回るか、専門の治癒師に頼むことになるだろう。
もげていない、という言葉に首を傾げられると、乾いた笑いをした。
調子が良くないと言われれば、素直に頷く。
抵抗力で呪いの中身が変質したのか、とぼやきつつも、「症状を見せる」とのたまう。

その後、何を思ったか裾を軽くあげてみせた。ズボンごしに男自身の輪郭がうっすらと現れている。中に蛇でもいるかのようだ。
変な事はしない、と言ったが、呪いの症状を相手に見せるのは例外らしい。
服を着崩しているのは、勃起姿を人に見られないため。木の腕輪をしているのが矛盾している気もする。

「人間族の男ってのは疲れているとこうなる。一説には生命の危機を感じて子孫を残そうと本能的になるらしい。
動きづらくってかなわん。呪いを解除してくれ。他のツテをあたるのもいいが、術者本人が解除できるならそれが一番だ」

依頼という形をとっているが、断れば躊躇いなく映像を流出させるだろう。
一方で、男は「できるなら」と言った。一度発動すれば術者の意思では解除できない呪いもあると知っている。
その場合は別の代価を要求してくるだろう。

ソフィア > 「珍しい魔道具は目につくんですよね。
レアだからこそ目立ったという事ですよ」

取り扱いこそしないが珍しいものは目につく。
それでわかったのだと説明をして。

「それを持ってくる時点で穏やかはないですけどね。
スカートなら用意できますよ」

そんな冗談を返し、正常に呪いが発動しているなら今頃はと考える。
しかし捥げずに調子が悪いという事は何かで呪いが変化したかかけ損ねたか。
そのどちらかだろうが、気にしていなけれな少女を見せると。

そして裾をまくりズボン越しの輪郭を見せられると顔を赤くし。
これも十分変な事ではと非難めいた目を向けて。
その上に商品であった木の腕輪をしているあたり説得力がなく。

「どれだけ生殖活動に意欲的なんでしょうかね……。
解呪して欲しいならそれそうの代価は用意できますね?
例えば……その記録を全部、片っ端から完全に破棄とか」

どう考えても記録を持っての脅しにしか思えず。
それならば交換条件で全部消せと笑顔で告げて。

ヴァン > 「故郷の隣の島では男でもスカートを履くが、遠慮しておこう」

民族衣装として着用するものだが、王都では奇異の目で見られるだろう。それでは本末転倒だ。
輪郭を見せて顔を赤くされると困ったような、なんとも言えない表情になる。
男にとっては医者に患部を見せるのと同じ感覚で術者に効果を見せている。

「これ、何も知らない人が見たら俺がセクハラしてるみたいじゃないか……?
あー、変な表情をしているな。言いたいことはわかる。じゃあ、腕輪を外すから見ててくれ。なんで腕輪をしてるのかわかるから」

視線が下りたのを確認すると、腕輪を外す。その瞬間、小さくはなったものの服越しにはっきりと姿が捉えられるようになった。
先程までは蛇が潜んでいるような、布に抑えられた太さ。今は、石が入っているかのように布が押されている。
変化を見てとったのを確認すると、腕輪を嵌めた。

「男のこの状態は血液の量が関係する……らしい。大きい分、流れる血液の量が全体に拡散するんだろうな。
普段だとさっきの通り、ってわけだ。
代価、ねぇ……俺は別に、他のつてを頼るって手もあるんだぜ?」

今の状態を解呪したとして、その後彼女が何もしないという保証はない。
女にとっても、男が提示した記録を全部破棄してこれで全部だと言われても、信じることはできないだろう。

ソフィア > 「似合うと思いますよ」

そういう民族衣装と言い張ればいいだけとあっさりと告げて。
例え呪いの確認とはいえ、そんなものを見せられると赤くなるのは当然。

「セクハラをしているみたいではなく、しているです。
外してどうかかわるわけでも……」

腕輪が外されると見た目は変わっていく。
腕輪の効果でそうなっていたのかと理由が判れば頬の赤身も引き。
腕輪が再びはめられても今度は赤くならず。

「完全に呪いがおかしくなってるみたいですよ。
大変そうですけど自業自得もありますしね?
そのつてを頼った後に来たんでしょう?他人の呪いの解呪なんて失敗したら自分もですから」

他で断られたんでしょうと小さく笑い。
自分としては男が反省して記録を消せば呪いは解除しても問題はなく。
失敗したら怖いですよと笑いながら、どうします?と問いかけて。

ヴァン > 「呪いが変質してる、ってことか?
症状としては、疲労しやすくなっている。寝ても回復し辛い。歳のせいではないと信じたい。
目に見える困りごとはこれだな。この服だからだらしない格好で済むが、軍服ではそうもいかん」

図星をつかれて微かに眉があがる。馴染の男性の解呪屋の所に行ったのが間違いだったか。
女性の場合どんな反応をされるかは考えてもみなかったが、今と似たような反応が返ってくることは想像に難くない。
ふむ、と考える素振りを見せるが、結論は出ている。

「わかった。俺が人に渡したこの商談の記録を全部消す、それでいいか。
彼等も中身までは知らない。ただいくらで売れ、って指示しただけなんでね」

とにかく体調が戻らなければ物理的にも精神的にも動き辛い。
魔道具を操作すると中に入っていた魔石を取り出し、渡した。

「中に入っている魔力を使い切れば映像もなくなる。簡単だろう?」

記録の上書きなどで魔道具を使う必要すらない、と補足する。

ソフィア > 「変に解呪を失敗すると偶にあるんですよね。
どう変わったか調べるつもりもないですけど…下に体力を奪われてそうですよ?
確実に変態扱いになりますね」

中途半端な腕前では失敗すると楽しそうに笑い。
女性の前であんな姿を見せれば変態扱いはされそう、最悪は衛兵もありえるかもと。

「ちゃんと全部ですよ?
もし中身を見ていたならその記憶事消してください」

回復しないのは歳のせいではないかと思いはしたが口にせず。
確実に全部と念を押し、魔動機から取り出された魔石を受け取り。

「どこかに仕舞っておいて魔力切れにしておきますよ。
それで、解呪ですね」

簡単な説明を聞けば、カウンター裏の箱に投げ込んでしまい。
同じくカウンター裏から怪しい人形を取り出せば、その股間に突き刺さった禍々しいナイフを引き抜く。
そうすれば男にも感じていた疲労感が薄まり、股間もましになっていくのが判るはずで。

ヴァン > 「下に……って、それ。解呪するとどうなるんだ?」

現在の男をみる限り、スタミナ全体が減っていて、どこかにストックされているといった様子はない。
その状態で解呪が成功すると、その体力はどこにいくのか――素朴な疑問。

「あぁ、誰に何個渡したかは覚えてる。全部回収する。
再生が簡単にできるものではないから、まだ見てない筈だ」

一番有名なのはダイラスの闘技場だが、そんな話はまだ流れてきていない。
全部、と聞かれると全部、と答える。

怪しい人形に眉を顰める。大抵そういった人形には呪う対象の髪の毛なり何なりを入れるものだが、と考えて。
それなりに男に近しいものを残していたな、と思い至ったので黙ることにした。

徐々に疲労感が薄まり、体調が戻ってくる感覚――だけではない。違和感が残る。
腕輪を外すと、再びテントを張るのがみてとれた。

「……疲労からくるものじゃないな、これは。もう少しここにいてもいいかい?時間が経てば収まるだろう」

どこか座る場所はないかと周囲を見渡す。立ちっぱなしで勃ちっぱなしは結構辛い。

ソフィア > 「さあ?こんなのは初めてですし」

本来なら奇麗に捥げているはず、それがこうなった時点で想定外。
なのでどこに消えるからなど判る筈もなくて。

「絶対にですよ?一つでも忘れると今度こそ捥げますから。
一応は信じておきます」

少なくとも邪な目的でやって着た客はいないので、出回っていないと信じることし。
全部という言葉によろしいと頷き。

そして取り出した人形には男に呪いをかけるに十分すぎるものが納められていて。
ナイフを引き抜けば、それが白い糸となって伸びて。

呪いが解けてしまえば後は時間で元通りになるはず。
時間が個体差があるので何も言わず、媒体だった人形もカウンター裏に投げ込んで。

「商売の邪魔にならないところ、店の隅っこならどうぞ」

さっさと追い出したいがいいかなと考え。
店の隅っこを刺してそこならどうぞと追い出したりはせずに。

ヴァン > 「俺は言ったことは守るよ。信用がないな……って、当然か」

苦笑を浮かべつつも、反論できることは何もない。
呪いの人形の変化を眺めながら、身代わり用の人形を買っておけばよかったとぼんやり考える。

「あぁ……そうさせてもらう。
ところで、あれから何か変わったかい?」

のろのろと店の隅へと歩きながら、腰を下ろした後に女を見上げる。
手の平を見せると、中指をくるくると動かしてみせる。あきらかにからかうような声色と表情。懲りない男である。

「魔石は回収して持ってくるよ。俺が人に渡したのは全部で10。
ここに持ってきて、一つ一つ君が確認する、ってことでいいかい?」

言ったことは守らなければならない。具体的なやり方について問題ないか確認する。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/魔法武具店」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/魔法武具店」からソフィアさんが去りました。