2023/03/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にソティさんが現れました。
ソティ > 王都では名目上ではあるも最も安全とされる地区、富裕地区。
しかし必ずしも絶対の安全が保証されている訳ではない。
表通りから少し外れた場所であれば、その安全はより保障されない事となる。

「……そろそろ、終わって欲しい…けど…」

そんな呟きを洩らすのは、フワフワした可愛らしい半袖ドレスを身に纏う1人の少女。
ただ、そんな格好とは裏腹に白銀に輝くバスタードソードをその手に携えている。
そして不思議な事に、その少女の傍を守るようにその剣の鞘がユラユラと浮遊しているのだ。

そんな少女を囲うのは数人の男達。
見た目から真っ当ではなさそうな男達が、各々武器を手に身構えていた。

確か富裕地区の地理を覚える為に歩き回っていた筈なのだが。
この通りから外れた場所に入った途端に囲まれて、剣を寄越せとの言葉と共に襲われた。
腕は大した事もない、人数だけを揃えた男達だから対処は簡単。
そこで問題なのは、防御一辺倒の自分に対して何時諦めてくれるか、との事だった。
自分では、制約があって手は出せないのだ。

既に肩で息をしている男達だが、諦めてくれる素振りは…まだまだ見られない。

ソティ > 背後から1人、左右から2人。
再び武器が振るわれる。

「…だから……無理、だって…言ってるのに…」

金属同士が強く叩き付けられる、鈍い金属音が背後から響く。
背後からの攻撃を、浮遊する鞘が受け止めたのだ。

そして左右からの攻撃は、剣の腹を滑らせるように流して斬撃を往なす。
同時に地面を蹴って数歩分の距離を取る。
流れるような動きに合わせ、ヒラリとドレスの裾が舞い。
何事も無かったかのように少女は構えを取り直す。
疲労感漂う男達とは異なり、少女は息一つ乱さず、余裕さえ窺えるのだろう。

だが流石に広くない場所で多勢を相手にではどうしようもなく、なかなか逃げ道を拓けない。

(本当に…どうしたものかな…)

そんな考えを頭に浮かべながらも、その表情からは何かしらの感情も表れる事はなく。
対応の傍らに打開策を練っているのだった。

ソティ > そうして防戦一方の戦いではあるものの、その終わりはやって来る。
人数を頼りの人海戦術ではあったのだが、次第に1人、又1人と肉体の限界によって動けなくなってきたのだ。
力任せの無駄の多い攻撃と、一切の無駄を省いた防御の差の現われ。
それを逃す少女ではなかった。

「………」

大振りの攻撃に対し受け流すも、その受け流した武器に自分の剣を沿えるように触れさせて外側に弾く。
元々の大振りの隙をより大きくさせる巧みの技。
バランスを崩したその男の脇をすり抜けるようにして前方へとダッシュする。
その方向は最も男達の密集の少ない場所。
不意打ちのような突っ込みに、当然向かって来られた男達の対応は遅れてしまう。

右に左にとステップを踏み、そんな男達の横を更に抜ければもう構える余裕もない男達ばかり。
先ずは地面を強く蹴って、更に壁を蹴って身を翻し、正面に残った男達の背後に着地する。

ソティ > 「……それじゃあ、また…は、ない方が、良いな…」

再び距離をおき、剣を一度振って切っ先を上に向ける。
駆ける事も出来なくなっている男達を前に、浮いていた鞘によって上からそのまま剣は収められた。
男達へとそう伝えながら鞘に収められた剣を抱えれば。
スタスタと早足に少女はその場を去って行くのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からソティさんが去りました。