2023/01/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフロスさんが現れました。
フロス >  
暗がりの路地裏の程近くを、幼い影が歩いていた。
腕を覆うほどに袖の長い可憐なドレスに、彩るように花を纏った幼子は、たった一人で夜道を歩いている。

「いまなら、だれもいない、よね?」

おずおずと呟きながら、幼子――フロスは路地裏へと足を踏み入れた。
そこは、昼間でも薄暗いような場所だ。
大通りから少し入っただけで、人の気配は消えてしまう。
彼女が暮らす屋敷には程近くいとはいえ、そんな子供が歩くべき場所ではない。
ましてや今は夜で、街灯もなく月明かりだけが頼りなのだ。
だというのに、彼女はまるで恐れる様子もない。
夜の暗闇への恐怖よりも、今は未知への好奇心に突き動かされて、屋敷を抜け出しちょっとした冒険の最中のようだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にイヴリィさんが現れました。
イヴリィ > 「あら」

くるくる、と緋色の傘を回しながら。
路地裏に迷い込んだ一人の――――否、一匹の獲物に目をとめてから。
くふり、と笑いながら、とん、とその前に躍り出る。

「だめよ、こんな夜道に一人ぼっちで外出したら」

人の気配もない薄暗い路地の中。
未知への好奇心に突き動かされてやってきた少女に声をかける。
真紅の瞳がじぃ、と見やり、そして小首をかしげてみせた。

フロス >  
「ひゃわっ!? え、あ……えっと?」

突然声をかけられたことに驚いたのか、びくりと肩を震わせて少女は振り返る。
金の髪に真紅の瞳、透けるように白い肌をしたその少女は自分よりも、年上だろうか。
背丈は背伸びした自分よりも少し高いくらいだけれど、その体格は大人のそれだ。

「あなた……だれですか? ここはあぶない…ですよ?」

おずおずとした様子で、幼子は問いかけてくる。
見知らぬ相手に話しかけられて警戒しているらしい。
まぁそれもそうだろう、こんな時間に一人で出歩いていた最中に、見知らぬ相手に声を掛けられたのだから。

イヴリィ > 「ええ、そうね、ここはとても危ない所」

くるくる、と傘を回しながら小首を傾げて、金色の髪を踊らせて。
真紅の瞳でじぃ、と見やれば、それは催淫の魔眼。
性的欲求、性的興奮を高める魔眼。

「私はイヴリィ。危ない所にいるあなたはだあれ?」

くすり、と笑いかけながら、くるり、とまた傘を回して。
緋色の傘が踊るように回りながら。
幼子に問いかけながら、催淫の香もそれとなく発していき。

フロス >  
真紅の瞳が、幼子の花弁のような瞳を覗き見る。鼻に香るは甘く、どこか蕩けるような催淫の香。
未だ、月のモノすら訪れていないであろう幼い身体に、それらは致命ではないにせよ、確かに熱を芽吹かせる。

「わ、わたしは…フロス…です、けど…ええと…」

しかしてそれは、まだ少女の頬を微かに赤く染める程度のモノ。
彼女自身の体質と、魔力と、そして未成熟な身体がその効果を抑えていた。

戸惑いながらも名を名乗ろうとする幼子――フロスはしかし、そこで言葉を止めてしまう。
何か言おうとして口をぱくつかせているものの、上手く言葉にならないといった様子だ。