2023/01/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にローウェルさんが現れました。
ローウェル > 青年は着慣れない礼服に身を固めて、綺羅びやかなシャンデリアが無数に垂れ下がる巨大なパーティホールの片隅で決まり悪そうに立っていた。
ホールには無数の来客が詰めかけていて、歩くことも苦労するほどだ。
ロクな名声を持たない一介の冒険者が、大貴族の主催するパーティに呼ばれるはずもなく、今回はあくまで仕事。
言ってしまえば、パーティーの来客を水増しするためのサクラである。
巨大なパーティーに溢れんばかりの客が押し寄せるというのが、大貴族にとってはひとつのステータスであるらしい。
もっとも主催者がそんな小細工を弄するはずもなく、使用人が気を回して、貴族の自尊心を満たしてやるためにギルドへ依頼をかけたのだろうが。
冒険者といえばいかにも粗暴そうな外見の者が多いなか、平民と間違えられることもある無個性な外見のおかげで、青年はわりのいい仕事にありつけたのだった。
しかし――。

「飯も酒も自分から取りに行くのは一切ダメ、なんて先に言っといてくれよなぁ……」

多少は外見が整っていようと中身は単なる冒険者、汚らしい食い意地を見せてパーティーの品位を損ねないようにしろということらしい。
お陰で普段の生活で目にすることのできないご馳走が目と鼻の先にあってもお預けだ。
極稀に、話し相手を求めて近づいてくる客からおこぼれを貰うこともあるが、それも僅かなもの。
会話はボロが出ないように短時間で切り上げろと言われているからだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からローウェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヴィルアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にティリエさんが現れました。