2022/12/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に紫霞妖仙さんが現れました。
■紫霞妖仙 > マグメール王国富裕地区には先のシェンヤン公主来訪の折に、
それを出迎えるべく、シェンヤン風の酒場やサロン、娼館などが無数に建てられたが、
今ではやや『流行おくれ』となった感は否めない。
とはいえ、公主の従者としてマグメールを訪れそのまま居ついたものや、外交官、
以前から仕事で訪れていた商人、あるいはそれらのおこぼれにあずかろうとした者たちなど
シェンヤンにルーツを持つ者にとっては憩いの場が増えたことは事実である。
今日もとあるサロンで、その甘い音楽と香、酒を享受するシェンヤン人の姿があった。
シェンヤン人特有の暗色の艶やかな髪。おしろいをぬった白い顔と真っ赤な呪術的アイラインが特徴的なその女は
なんでも仙を自称しており、呪術と薬術を極めたと言ってはばからない。
「つまらぬ」
とはいえ、その表情は明るくない。シェンヤン風といってもマグメールで手に入るそれと、あとは伝聞を想像力で補ったような衣服を着た店の女。とりあえずシェンヤンから仕入れた香辛料で煮た蟹やら、魚やらをこれまたにわか仕込みの紹興酒で飲み下す。どうやら、富裕地区にもハズレはあったらしい。
「ふん、もうよいわな。まっこと、マグメール女は筋肉質で硬くていかんのぅ……
やわこいおなごを抱き、淫らな宴を楽しみたいものじゃ」
店からあてがわれた女を早々に追い返し、今日はこの辺でふけるとするかの、などとぼやいて。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にキルノーさんが現れました。
■キルノー > 東国の様式をあしらった光景に紛れて一人酒を飲んでいる黒い塊がある。
踵ほどもある極めて長い黒髪はその全貌を殆ど隠していて、光の具合によっては重力に逆らわずしなやかに
流れるローブを全身で被っているかのような後ろ姿であった。
殆ど黒い棒状の何かに見えるその後ろ姿からはみ出して、指先が細く、白い、しなやかな女の手が
伸び、目の前のシェンヤン人に勧められた酒の器を手に取っていた。指は滑らかにグラスにまとわりつくと
その黒い何かの中に消えていく。
「……………極東の酒って果物のような香りがするのね」
誰に聞かせるでもなくただ静かに呟くと、カウンターの先をただ何も言わずに眺めていた。