2022/07/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にレイリエさんが現れました。
レイリエ > 「―――はい。旦那様にも、どうぞ宜しくお伝えくださいませ。
 それでは、失礼させていただきます。」

富裕地区の一角、とある貴族の邸宅の門前にて。
恭しく頭を下げて見せる見送りの使用人へと此方も一礼を返してから、邸宅を後にしたのは金の髪と長い耳を持ったエルフの女。
其の侭暫く足を進めて、件の邸宅の門扉が見えなくなった辺りまで辿り着くと、ふぅ―――と大きな溜息を吐いて。

「………矢張り、ああいった場は慣れないものですね。」

教師の傍らで魔道具や魔法薬の類を扱う仕事柄、目上の貴族を相手にする機会は決して少なくないものの。
厳かな空気の中での商談というものは正直なところ何度経験しても慣れる気がしない。
そうして幾許かの時間を掛けて落ち着きを取り戻した後、肩から掛けた鞄の中身と、懐から取り出したメモの紙面を確認する。

この日は続け様にもう一軒、別の貴族の方と顔を合わせる予定が入っていて。
何処か緊張の残る面持ちの侭、エルフの女は次の相手の邸宅を目指して再び足を進めてゆく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 富裕地区のカフェレストランの前。
銀髪オールバックの男は時折周囲を見渡し、人を探していた。トレードマークのバンダナはなく、胸元にあるホーリーシンボルがなければ、知り合いでも気付かない程度には装いが違う。
前方にエルフの女性が見えてくると、特徴を確認、金髪、背丈、肩からかけた鞄。確認すると、近づいて声をかける。

「ミス、レイリエでいらっしゃる?ヴァンといいます、お約束いただいていた……
邸宅の方がさる事情で使えなくなりまして。こちらでお話させていただいても?」

丁寧な口調で、レストランを示す。了承を得られたのなら、店内の奥の個室へと案内を。場所を変えた理由を伝える。

「申し訳ない。内密な話なのですが、どうも邸宅の方にネズミが入りまして……」

レイリエ > そうして次の相手の邸宅へと向かう道中、通り掛かったカフェレストランの前。
何気なく通り過ぎようとしたその場所で、不意に此方へと近付き声を掛けてくる男性の姿に、
初めは訝る様子を見せたものの、名乗られた彼の名前は確かに、これから向かおうとしていた相手のもので。

「ヴァン、様………?はい、お初にお目に掛かります。レイリエと申します。
 えぇ、それは勿論構いませんが………。
 ネズミが………まぁ、それは災難でしたね………。」

目の前の男性へと改めて一礼すると共に名乗りを告げて。
急遽待ち合わせの場所が変更となった理由を聞けば、それ以上追及する様子も見せずに彼の案内に従う侭、
カフェレストランの奥に用意された個室へと足を踏み入れてゆく。

ヴァン > 男は店員に注文をすると、紅茶とケーキのセットを2つ、注文する。
店員が去ると、落ち着いたのか軽く息をついた。

「すいませんね。ちょっと面倒なことになってまして……改めまして。ヴァン、といいます。神殿図書館の司書です。
今日お話したいのは、貴女が作成された、えーと……肌に塗る魔法薬について。あれを購入したい。回復魔法を練り込みたいんです。
回復魔法の封入は我々でできるんですが、あの適度な粘度というか、固さというか。あれが作れませんで、プロの貴女にお願いしたいと」

紹介をしてくれた貴族の名前を出しつつ、性的な目的で使われるジェルローションを婉曲に言う。事前にその話であることは手紙で伝えてはいるが、念の為の確認。
店員が個室に入り、注文の品をサーブする間、男は黙っていた。盗聴を危惧しているらしいことが伝わる。レイリエにお茶を勧めながら、自分も一口。

「あぁ……畏まらなくていいですよ。邸宅は友人のでね。気楽にしてください。
で、現物はお持ちですか?我々の方で改造するにも、商品そのものについて知っておきたくて」

レイリエ > 男性の注文を受けて去って行く店員の姿を傍目で見送ってから、対面の彼の方へと向き直り。

「いいえ、どうかお気になさらないでください。
 えぇ………お話を伺って、幾つか現物をお持ちしておりますわ。」

店員が紅茶とケーキを配膳してゆく最中、目の前の男性に倣うようにエルフの女も口を開く事をしなければ、
微かな食器の音と配膳を終えた店員の去り際の挨拶のみが個室の中に響き渡る。
そうして店員が部屋を後にしたのを確認してから、傍らに降ろした鞄から幾つかの薬瓶を取り出し並べてゆく。

「魔法を付与する前の、薬効の無いものですとこの辺りになります。
 質感や付与する魔法との相性にも差異がありますので、実際にお手に取ってお試しいただければと。」

気楽に、と告げる対面の男性の言葉には小さな笑みと共に頷きを返して見せながらも。
矢張りその面持ちは僅かに緊張の色を孕んだ侭、少しでも其れを解そうとするように勧められた紅茶を一口啜り。

ヴァン > 男は実際に見たものは一つだけなのか、珍しそうに複数の商品を見ている。
促されれば頷いて、一つづつ瓶を開けては少量右手に取り出し、液体の質感を確かめる。小さく呟くと右掌が青く光り、再度確認。どうやら、この場で確認しているようだ。他のサンプルでは最初の質感だけを確認し、向き直る。

「助かります。いやぁ……効果前の商品があってよかった。
何人かに聞いても、『媚薬として作られてるんだからそんなもんないだろ』と言われてしまって。
そうですね……今回は一つづつ、購入させていただきます。うちで試してみて、これ、と決まりましたら。
次はもう少しまとまった数をお願いしたいと思います。ちなみに、代金は……?」

懐から貨幣の詰まった袋を取り出しつつ、問う。それぞれ単価も異なるだろうとメモとペンを取り出す。媚薬という失言には、男は気付いていないようだった。表情からいまだ緊張が解けていないと判断したか、軽く笑う。ケーキとお茶に手を伸ばしながら雑談を。

「あー、私はただの神殿関係者なので。商談も纏まったし、楽にしてください。
そういえばレイリエさんは学院の講師もされてるんでしたっけ?」

レイリエ > テーブルの上へと並べられた幾つかの薬瓶を手に取り確認してゆく男性の様子を、エルフの女は口を出す事無く見守って。
暫くしてから、確認を終え己の方へと向き直った男性の言葉に応えるように口を開く。

「はい、その………そういった用途の品を求められる方が多いのは確かですが………。
 今回のように回復薬として用いたりなど、他に用途が無いわけでは決してありませんから。
 魔法を付与した品ですと、多少価格が上がってしまうのですが、今回は其方にて付与されるとのことなので………。」

問われれば、ひとつひとつ単価を提示してゆく。
並べられた内の一部は多少値が張るものではあったが、それでも完成品の魔法薬よりは幾らか安い程度の価格。

「えぇ、お気遣いありがとう御座います。
 はい………若輩ではありますが、学院にて講師のお仕事もさせていただいています。」

そうして、一通りの商談が纏まった後。初めよりは幾許か緊張の解けた面持ちで微笑んで見せながら。
軽い雑談の流れで投げ掛けられた質問には、ティーカップを片手に肯定の言葉を返そうか。

ヴァン > そういった用途、という言葉にやや申し訳なさそうな顔をする。
告げられる単価をすらすらと書き、区別できるようにか薬瓶の特徴も併記。一部の値段に手が止まるのは、驚いているのか。計算して

「となると……こちらで足りますね。お納めください」

貨幣の詰まった袋からいくらかを取り出した後、袋ごとを渡す。受け取られ、鞄の中に収められれば商談も無事完了。男も多少は緊張していたようだ。

「私も学園に時折顔を出すのですが、結果が出ましたらその時にお伺いしても?
ご都合が悪くなければ、休み時間などにお話できると貴女も楽かな、と」

ペンと紙の束をしまおうとして、うまくいかないのかジャケットの裏地、ポケットを見る。綺麗に入れなおそうと中身を取り出した際、男の懐から何かが落ちた。
床に硬い音をたてては、ころころと女の足元へ。楕円状の金属製品。知識がある者が見れば、指錠だとわかるだろう。男はやっちまったとばかりに目を逸らす。

「……えーと。それはそこに置いておいてください。店を出るときに回収するので」

レイリエ > 「すみません………こちらについては、素材の調達が難しい為どうしてもお値段が………。
 ―――はい、では確かに。此方こそ、どうもありがとう御座います。」

提示された値段の幾つかに驚いた様子の相手を見遣れば、今度はエルフの女の方が申し訳なさそうな顔をして。
やがて渡された貨幣袋の中身を検めてから、鞄の中へと収めると改めて対面の男性へと深く頭を下げて見せる。

「えぇ………ヴァン様の都合が宜しいのであれば、
 学園まで直接お越しいただいても、此方は一向に構いませんわ?」

次の瞬間、女の長い耳が捉えたのは硬い金属質が床を叩く音。
咄嗟に視線を其方へ遣れば、視界に入ったのは小さな楕円状の金属製品。
女にとっては馴染みの薄い其れを拾い上げては、小首を傾げながらも其の侭彼の方へと差し出し返そうとして。

ヴァン > 「いえ、ありがとうございます。調達が難しい、つまり時間がかかるおそれもあると。その点も加味して考えます。
では、次は学園で……ですかね」

丁寧な説明に、お礼を伝える。効果と入手の容易さを考えたのか、一度顎に手をあてた。
相手から許可をもらえれば、少し顔をほころばせる。

「っと……拾っていただいてすみません。
で、ではまた。次の予定がありますので……
ここは払っておきますので、ごゆっくりなさってください」

女の反応が大きく変わらなかったことをみて、金属製品の正体が悟られなかっただろうと安堵の溜息を軽くつく。とはいえ、い辛いことに変わりはないのだろう。
男はお茶とケーキを食べ終わったのか、席を立って。やや忙しない仕草で布製の手持ち鞄に薬瓶を入れると、そそくさと立ち去ろうと。

レイリエ > 「はい、学園まで直接お越しいただいても構いませんし、
 今回のようにご連絡さえいただければ、私の方からお伺い致しますわ?
 ―――まぁ………どうもすみません。それでは、お言葉に甘えて。
 本日はお時間をいただきありがとう御座いました。」

薬の瓶を忙しない様子で鞄に収め、席を立とうとする相手の男性。
支払いを持つと言われれば、深く頭を下げて謝辞を述べ、それから改めて本日の礼を告げると共に微笑んで。
彼が席を立った少し後に、エルフの女もまたその場を去っていった―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からレイリエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアンジェラさんが現れました。
アンジェラ > 富裕地区での夜会。
貴族、商人達がそれぞれの都合を根回ししあう。
ウワサでは王族も忍びで来ているという話も聞く。

そんな中で過ごせばそれなりに気は張ってくる。
あまりする必要のない緊張というか、妙に肩ひじ張ってしまう、というか。
ワイングラス片手に挨拶回りを済ませていき…ようやくそれがおわった所。
設えてある休憩所のようなソファ周りで一息つく事にする。
さすがに疲れたな…そんな風に見える姿は、ちょっと隙だらけのように見えるかもしれない。
誰かに声をかける余裕も今はあまりないが―――。

アンジェラ > やれやれ。一息ついてソファに腰掛ける。
その場にいた数人と益体もないやり取りを繰り返し、夜は更けていく…。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアンジェラさんが去りました。