2021/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区・酒場」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
「───マスター、いつもの葡萄酒を頼む」

貧民地区に比べ品の良い酒場
カウンターに腰掛けた女は簡潔に注文を済ませる

"いつもの"と頼むには随分久しぶりだとマスターは笑う
灰髪の女はその言葉に小さく笑みを返した

「ここのところ砦の周辺も忙しくてな、王都に戻るのも久しぶりだ。
 王城執務室の机の上がどうなっているのか想像もしたくない」

と言っても明日には訪城しなければならないのだが、と付け加え、少し大きめのタンブラーを受け取る
芳醇なぶどうの上品な薫りがふわりと漂った

サロメ >  
ここのところタナール周辺の対魔族戦線は程々に安定していた
一つの要因は、一時期ほど魔王クラスの魔族がそこまで頻繁に顔を見せなくなったこと
それはそれで駐屯する別の師団に対魔族戦の戦術を指南したりなど仕事も多かったが、
第七師団総出で対処にあたる案件は過去に比べ減ったのだろう

「おかげでこうやって酒を楽しむ程度の暇は出来たよ」

店主とそんな他愛のない会話をしつつ、タンブラーを煽る
程よい酸味と甘味、ほんの僅かな渋みと共に鼻に抜けるような葡萄の薫り
度数は少々高めだが、男社会であった騎士としての生活も長く、今ではすっかり酒を楽しむ術も身についていた

ご案内:「王都マグメール 富裕地区・酒場」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > (実際、街中で見かけるのは周囲の人間にとっても久方ぶりの事
長らく王都に住んでいた者達にとってですら、そうなのだから
此処最近になって、漸く足を運ぶ様になった者にしてみれば
恐らくは、こうして其の姿を見るのは希少な事だろう

戦線へと出向く事は基本的になく、人と魔族との争いについても
大凡、ではあるが、不干渉の立場である以上、当然といえば当然だが

兎も角――噂に聞く、王都の魔族狩りの現長、第7師団の頂点を
同じ酒場の中、目にしながら、僅か遠巻きで様子を窺っていた
魔族であるという気配は自らの力で隠蔽しているが、さて、相手に何処まで通用しているかは解らぬ
元より王都内、普段の力を十全に発揮出来るような領域ではない
一般人や、有象無象の騎士相手ならば兎も角、流石にこの階位を敵に回せば
流石の己も、そう易易と場を切り抜けられるかは危うい所か
其れでも、こうして様子を眺めているのは、純粋な好奇心に加えて
この国の中核を背負う人物が、どんな人物であるのかを、探るためでも有った。)

「―――――………お近付きになれる猶予でも、有ればいいのだが、ねぇ?」

サロメ >  
「───」

店主と談笑を交わす中、ふと向けられている視線の一つに気付く
それは魔族の気配に対して特別鋭敏であったからか、
はたまた酒の席にあって尚、騎士としての警戒心が教えたか

切れ長の黄金の瞳をそちらにちらりと向け、口元にタンブラーを運ぶ

「……彼は?」

知っている顔か、と
店主に問いかける

返ってくる答えは…たまに見かける気はするね、という曖昧なもの
まったく見ない顔ではない、という風
酒場の店主といえど客のすべての顔をはっきり覚えているわけでもないだろう

「…ふむ」

とりあえず直感的に感じるものがあったならば、その存在を留意するか、とカウンター席からは動かず気を配ることとした

ルヴィエラ > (昔馴染み、と言った様相ではあるまい
真っ当に此方へ足を運ぶ様になってから、まだ数年程度
人脈やコネを築く為に、当然ながら酒場には足を運んでいる
純粋に葡萄酒好き、と言うのも有るが、人の記憶の片隅へと
僅かに刻まれる程度の存在感を残す事は、余計な不信を産まない為の第一歩でも有る

フードを被った姿、其の儘で以て、此方へと振り返った女に向けて口元へ弧を描いてみせる
反射的な対応では有るが、下手に視線を逸らせば、怪しい者だと白状するような物
―――警戒されただろうか。 まだ判らないが、動く様子がないのなら
少なくとも、魔族を見つけ次第、即時対応、という程ではないのだろう
あくまで、楽観的な予測をすれば、だが。)

「――――――……。」

(少しばかり、考える。
第7師団の実力は、魔族、王国民共に、誰もが知っている
其の長である彼女の実力もまた、当然ながら広く知られている
されど、有名であるからこそ、其の強さとは真逆の噂もまた、多く流布している物だ

とは言え之は、王都の貴族達と交流を持つようになってから、耳に入る様になった話では有るが。)

「――――――………じゃあ、僕はこれで。 良い物も見れたしね。」

(店員へと声をかけ、酒代を払っては、ふと、酒場から出てゆく
無論、其の行動に女も気付いているだろう、という前提の元に
そうして、そのまま酒場から離れ、路地の裏手へと歩みを進めよう
逃走、とも取れる行動に対して、果たして女がどう行動するかは解らぬが

酒場よりも、話をするには、お互いにとって都合が良い筈だ)。

サロメ >  
「気になるな、あの男」

空になったタンブラーをカウンターに置き、立ち上がる
店主はサロメの言葉に首を傾げていた

「もう少し長居をするつもりだったが、また来よう。
 野暮用…という程でもないが、予定が出来た」

酒の代金のゴルドをカウンターに置くと、そのまま酒場を後にする

残り香、というほどでもないが
不自然に薄らぐ気配を辿るように、酒場の裏にあたるだろう路地の裏手へと足を運ぶ
──フードの男はこんな場所に何の用があるのか
富裕層の住まう地区とはいえ、人目につかない場所は存在するが
そこに好き好んで足を運ぶ者はそうそういない

念の為、気配を探りながらその男を追う

ルヴィエラ > (――――――追いかけて来た。
釣り針に掛かった――と言うには、少々大きすぎる魚では有る
糸も竿も折れかねない、正しく大物、では有るが
訪れるのなら、此方も相応の対処をしなければいけない

路地の奥、丁度行き止まりとなっている場所へ向かう道の途中
床と、其の両壁面に仕込む、設置発動型の魔法罠
加えて、其の魔法陣に召喚の術式も組み込んだ上で、其れを「隠匿」する
使わずに済めば僥倖、だが、手ぶらで相対するには少々危険故に
仕込み、を準備しておくのは、其れだけ油断ならぬと認識しているからでも有るが。)

「―――――――…………良い暗がりだ。
明かりは最低限、影も多い。 これ以上は望めないね。」

(其れは独り言。
程なくして女が現れるなら、其の目に映るのはきっと、背を向けたローブ姿
月の灯が、何処かの路地のランプの残滓が、薄っすらと場を照らす程度の中に
ただ、静かに立っているのが分かる筈

そして、まるで近付いてきた女へと、見計らったように声を向ける筈だ
其の足が、丁度――罠の上で、止まるように。)

「――――――ごきげんよう、今宵は月が綺麗な、いい夜だ。
……そう、思わないかな?」

サロメ >  
『止まれ』

サロメは足を止める
男に声をかけられるよりも僅かに早く、男が張った罠の"手前"で
その声は、腰に携えた剣から発せられていた

「……無口なお前が突然声を出すと少々驚くが、──そうか」

注意深く、足元…そして周囲を観察すれば
巧妙に隠匿の術が施されているが、僅かな魔力の残滓を感じることができる

小さく吐息を零し、正面に待つ男を見据えた

「ああ、そうだな。酒を愉しむのにも良い夜だ。
 ──追ってきたのは私の勝手だが、罠まで仕掛け誘い込むお前は何者だ」

鋭い、黄金の切っ先のような視線は、例え相手が上位の魔族だろうと威圧できる程の威が込められいた

ルヴィエラ > (―――そう、上手くは行かないようだ。
否、寧ろ此処までが上手く行き過ぎている。
罠の手前で、罠に入り込まぬ位置で足を止めてしまった気配に
内心へと湧いたのは素直な、驚嘆と賛辞、で有ったけれど。)

「―――――………もしもの為の保険…と言えば納得して貰えるかい?
君のような「本物」相手では、即時対応なんて物は難しいのでね。」

(罠では有るが、あくまで其れは保険である。
もし、相手が自分に対して敵対行動を起こした時に備えた物だ、と
―――素直に言った所で、信用して貰えるとは欠片も思ってはいないが

漸く後ろを振り返り、肩をすくめて見せれば
軽く両手を掲げて、無抵抗ですよ、なぞという姿勢だけは見せておきつつ。)

「この王国の中で、知らない者は居ない英雄の一人。
其の姿をひと目見に来た…というのが、先刻までの話でね。
今は、見つかったのでこっそりお暇しようと画策中、だ。」

(―――今までに、どれだけの同胞を、魔を、屠ってきたのだろう
まぁ、生憎ながら種族的に離れた好戦的な魔族連中に対する義憤なぞ持ち合わせては居ないが
視線だけで威圧を帯びる程の相手に出会ったのは、久方ぶりだ

御近付きになれたら良かったんだけどねぇ、なんて戯言めいた言葉を零す様相は道化めいて)。

サロメ >  
「…保険、か。
 己の生命が危ぶまれる事態を危惧し、逃げ果せるため。
 ──と、なれば…私を大物などと呼ぶ貴殿の正体にも察しがつくが…」

直感的なものはあった
しかしやや解せない、気にかかるところもあったのだろう
女将軍は、一息に剣を抜き放つことはせず、思案するような表情を見せる

「その身を明かし名乗るならば由だが、貴殿が魔族であると仮定しよう。
 此処、王都で何をしている?私でなくとも鼻の効く騎士は多くいよう、
 わざわざ危険を侵してまで此処に居る理由は、何だ」

無抵抗の様子を見せる相手、そう問いかける
先代団長のオーギュストであれば有無を言わさず斬りかかっただろう
しかし自分は…遺志を受け継いではいても考え方は違う
魔族が、一括にできないものだと理解もしていた
それはいつぞやか、人と魔族の混血児と出会ってからのものではあったが──

灰髪の女は真っ直ぐにルヴィエラを見据え、答えを待った

ルヴィエラ > (―――僅かに、眉が跳ねた。
其れは、己が予想し得る女の対応、姿勢の中で、最も可能性の低い物だったからだ
話を聞く、其の猶予を与えようというのだ、彼の、第7師団の長たる人物が
成程、と、噂ばかりで聞いていた相手に対する印象を修正しながら
所詮は見せかけにしかならない両掌を、降ろした。)

「――――――私にとっては大切な事だから、では駄目かな?
少なくとも種族や戦争という大局で見れば、敵対の意思による物ではない。
―――まぁ、全く以て害を成さぬかと言われると、中々難しい所だがね。」

(ゆっくりと、其れまで被っていたフードを外す
暗がりの中、相手へと顔を晒しては、其の眼前にてうやうやしく一礼して見せつつ。)

「――申し遅れたね、私はルヴィエラ。
ハイブラゼールでは多少、名が通っていると自負するが、此方では新参者だ。
娼館を抱える身でね、王都でも、つい先日より商いをさせて貰っている。」

(そして――告げる、名。
偽名で誤魔化そうとしないのは、聞く耳を持ってくれた相手に対する礼儀か
そして何より、自らの正体を隠さずに告げたのは、きっと打算も有る
下手に機嫌を損ねるよりも、白状して印象を良くしておこうという目論見と
―――すでに王都へと建てられた娼館の二号店は、順調に経済ヘ根を張っているが故
そろそろ、雨風に晒しても問題ないだろうという、という打算が)。

サロメ >  
「…成程。ハイブラゼールの娼館主だったか」

人間の国で正体を隠し、商いを行っている魔族は珍しくはないと聞く
その多くは"表立っては"人間に危害を加えることも少なく、
活発に戦乱の起こっている国の境界に比べれば、放置されることもままあった

「──商いなら"向こう"で同族を相手にも出来るだろう。
 此処はマグメール、王城の膝下だ。その大切なこと、とやら次第でもあるが…
 私が見逃すには、少々大きな話だな、ルヴィエラ殿」

そう告げると、深くふかく、溜息を吐く
この場で火花を散らすような明確な敵意がないのは理解る
しかしそれは、自分がこのルヴィエラと名乗る者の邪魔をするか否かで変わるものでもあるだろう

大切なもの、とは譲れないものでもあるはずだからだ

「確かにその、娼婦…ひいては娼館も王都の秩序を維持するのに一役買ってはいるが…」

主に貴族達のガス抜きに、である
しかし魔族が経営しているのは如何なものか
顧客も富裕層、王国貴族も中にはいるかもしれない
それは、少々危険ではなかろうか──