2021/04/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 庭園」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 王都、富裕地区と平民地区の狭間に造営された庭園は、平民と貴族を隔てる生垣のようでもあったが──
庭園自体は誰にでも解放されていた。
朝陽に照り映える柔らかな緑を目にしながら、女はゆるりと朝の散歩を楽しんでいる。
咲き初める季節の花の花壇は目にも麗しく、どんな闇を内包しようとも華やかな王都の景色の一つとして住民の憩いの場所として機能しているようだ。
己もしばしその風景の一端として、そぞろ歩く。
緩く結い上げた髪が、柔らかな日差しの中で揺れ、甘い艶を帯び──。
■シシィ > 「──────」
薄い色の目を細めて、着衣の裾を翻す。
整えられた石畳の上を靴底が叩く音。
自然あるがまま、というよりは、庭師の丹精した作品群といったほうが正しい庭園の生け垣を、巡る。
自然のあるがままの姿か、そうやって管理された造形物としての美しさか。
どちらが好ましいというわけでもなく、どちらも違った美しさが備わっている。
小路を歩めば、計算されたように花が配置され、樹木が強すぎる日差しを遮る。
温かな季節の訪れを告げるような庭園の中を進むのは、街道進むのとはまた違った楽しさがある。
「……流石に襲撃なんかは──心配しなくていいですもの」
いささか不釣り合いかもしれない呟きは、旅商いをする以上は常に考慮しないといけない事実でしかなく。
■シシィ > ひとしきり散歩を楽しんで、女は庭園を後にした
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 庭園」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にリーアンさんが現れました。
■リーアン > 夜も更けて、真面目に日々を過ごす人々であれば、そろそろ眠りに就くかという頃。
此の界隈はむしろ、昼間よりも夜の方が人通りがあり、大通りには幾台もの馬車が停まっており。
たっぷりと間隔をあけて建つ瀟洒な邸宅では、恐らく今宵も、爛れた宴が開かれているのだろう。
閑静とは名ばかりのそんな界隈で、出来る限り細く、人通りの無い道を選び、
足早に城を目指す、黒い外套を纏った小柄な人影があった。
懐には、連絡係から受け取ったばかりの、故国からの親書が入っている。
此れを見咎められず、異母妹の許まで届けることが、今宵の己の仕事だった。
例え、中身が他愛の無い文面であっても。
帝国の言葉で密かに取り交わされる文など、露見して良いものでも無い。
城門が閉まる前に、そして極力目立たぬように。
足音さえひそめた其の姿こそが、あるいは、誰かに疑念を抱かせるとしても―――――。
■リーアン > 幼く稚い異母妹の笑顔に出会えるまで、あと僅か。
前方に城門を見る頃には、殆ど、駆け足になっていたという―――――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリーアンさんが去りました。