2020/09/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」にアティさんが現れました。
■アティ > 地区によって安全度合いは大きく違う街である。
つけられた名前が示すように、建物の作りすら違うのだから、裕福な人々が住む場所ほど、治安が良く。
治安を守る衛兵たちもしっかり配備されているのは当然の事だろう。
けれども、どの地区にも裏の顔があり。
何処であろうと完全に安全といえないのは、この街の常であれば、少なからず自衛を念頭に置くのは、長く町に住んでいる人ほど、身に沁みついていることかもしれない。
それは、何か騒ぎを見つけても近づかないということも含めて、だということでもあるのだろうが。
「これは聞いた以上に、どこもかしこもお金持ちが多そうな…。
私でも入れるようなお店あるのかなこれ…」
色々な街を歩いていく兎が足を運んだ先は、富裕が住む区画の中でも特に整備が行き届いている通りである。
辺りの店の豪華な飾りつけや作りに、立て看板にすら書いてあるメニューすら、高そうなものばかりであり。
兎の懐事情には、少々厳しいものがあるのだろう。
それらを目にするたびに、改めて場違い感を感じることになったようだが。
直ぐに切り替えて、それなら散策を楽しめばいいと思いなおしたようであり。
幾分軽い足取りで、面白いものでも探すように通りを兎は進んでいくが。
「なーんか、他の地区より視線がある気がするのは…。
気のせい…?」
ただでさえミレー族には辺りの強い街なのだ。
ミレーに近い姿をしていれば、衛兵がチラチラと視線を向けたり。
富裕地区の人間が、近くを通るたびに様子を伺うような視線を向けてくるのは、仕方がないかもしれない。
それでも、酒場のような店や娼館のようなお店は、平民地区ほどではないものの、店の近くを通れば声を掛けてくるのは、客引きはここでも程度の地位はあれど同じか。
それとも、表の世界の店のようでアングラな繋がりがあるが故の、品定めの可能性もあるのだろうが。
声をかけられては軽くお店をのぞき込んだりはしながら、少々周りから浮いた様で衛兵などの視線はあまり深く気にすることはなく。
そんな調子を兎は続けていくが。
■アティ > 「うん、高い…少しくらいお手頃なお店あるかと思ったんだけど…」
しばらく通りを散策し続けるウサギであったが、切り替えたとはいえ、やはり時折お店の立て看板等に掛かれた値段へと、視線は動いてしまうようだ。
自分の手持ちでも入れる場所があれば、お高い地区の食べ物やサービスの味といったものを、味わってみたいというのはやはりあるのだろう。
もっとも、そんな都合よくいかないことが多いのは当然であり。
どれもこれも程度はあれど、高級なことには変わりなく。
次に来るときは財布を少し重くしてから訪れよう。
何て強く実感させるのには十分だったようである。
「…だーるまさんが、転ん…で滑って落っこちた!」
後は軽く折り返して戻るだけ。
そう思ったところで、一呼吸おいてから少し勢いよく振り向く動きを兎は見せていく。
それに合わせる様に上げた声は、ちょっとした脅かし程度のつもりだったのだろうが。
いい言葉が思い浮かばなかったのか少々どころか、かなり迫力には欠けるものとなったようだ。
衛兵や住民だけではなく、チラチラと刺さる気がしていた視線の出所。
それを突き止める様に唐突に脅かすように振り向いてみたようであるが。
そこにいるのは、裏社会の何かしらカモっぽい兎を狙う人物か、ミレーと思って何かしようとしていた人物か。
はたまた、貴族などの裏の一面をあらわにした何者か。
もっとも誰もいなければそれはそれで、ちょっと恥ずかしい思いを兎はすることになるだろう。
■アティ > 「動いた…!
そこのっ、ちょっと待ったぁぁー!」
誰もいなければ大恥であるものの、兎の急な動きと声につられて、反射的に踵を返して逃げる様に走り出した人影はいたようだ。
追いかけて、捕まえたところで何かあるわけでもないのだろうが。
視線を向けたまま、気づかれたら逃げる相手を対折ってしまうのは、殆ど反射に近かったようである。
元々人込みといえるほどは人通りはすでになく。
大分走りやすい状況となっていれば、兎は得意の身軽さを生かし。
跳ねるような勢いで走り出した人影を追いかけ、やがて通りから消えていったようだ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の通り」からアティさんが去りました。