2020/06/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアントワーヌさんが現れました。
■アントワーヌ > 夜半過ぎ、月明かりの望めぬ曇天の空の下。
とある貴族の屋敷で開かれたパーティの席から、いつものように早めに辞去し、
ふと気紛れを起こして、迎えの馬車を先へ行かせ、屋敷まで徒歩で戻ることにした。
其々が敷地も広く、門扉から邸宅までは一様に距離があり、
少しばかり声を上げたところで誰にも聞こえないのでは、と、
近習は己の不用心さを心配したが。
伯爵家の屋敷まで、己の足でも然程遠くないのだから、
酔い覚ましには丁度良いのだと説き伏せて、漫ろ歩きの靴音を刻む。
此処までのところ、誰かと擦れ違うことも無く、
怪しげな人影が視界の隅を過ることも無く。
やや湿気は強いものの、夜風は涼やかで心地良く頬を擽り、
あと十分程も歩けば、我が家の灯が通りの右手に望める筈だった。
■アントワーヌ > そろそろ屋敷の灯が見える頃か、と思った時、其の人影に気づいた。
一瞬だけ身構えたけれども、直ぐ、人影が見慣れた人物であることにも気づく。
「本当に心配性だね、……此の辺りじゃ、滅多なことは起きないっていうのに」
溜め息交じりに呟いた声は、彼の耳に確り届いたようで。
遠目に彼の肩が軽く上下する気配、其れから穏やかな声が『お帰りなさいませ』と。
最後の数歩をやや足早に、そうして己のささやかな散策は、無事終わりを告げた―――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアントワーヌさんが去りました。