2020/06/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルリアさんが現れました。
■ルリア > 久しぶりに人間の街へ遊びに来たルリア。
目当ては勿論新鮮な獲物。
つまり新たな玩具を探すためだ。
ルリアの嗜好として無垢な者、高潔な者を堕とす事に深い喜びを感じるものだが。
堕としてしまった後は興味を失いがちで、こうして新たなストックを探しに繰り出すのがライフワークとなっていた。
配下にも任せてはいるが、やはり自分の手で探す楽しさというものもある。
そんな訳で今日は無防備に、街中をふらついて時折ウィンドウを眺めては無目的にあちこちへふらふらと。
ワインレッドのドレスは少々毒々しい印象にもなるが、一見すると貴婦人に見えなくもない。
更にこれ見よがしに高価な貴金属を身に着けているが護衛もなく、悪意を持った者からすれば良いカモである。
こんな調子では釣れるのはそういった邪な連中ぐらいだが、そういった連中は生き餌のようなもの。
ルリアの目当てはそこで助けに入るような正義感の強い人間である。
あるいは、見るからに無防備なルリアを心配して声をかけてくれるようなまっとうな人間だ。
「んっふっふぅ。今日はどんな獲物がかかるかしらねぇ」
非効率的で無駄足も多いやり方だが、それだけに上手く釣れた時の歓びは大きい。
暇と力を持て余した魔族の悪趣味な道楽である。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にドルチェさんが現れました。
■ドルチェ > 自主的な見回り、富裕地区にはあまり必要がないかもしれないのだが、念のために。
月光の明るさと共に等間隔で並ぶ街灯が辺りを照らして見晴らしは良く、静かな中に僅かに靴音が響き渡る。
不審人物は見かけはしないが、街中をふらつく人影を引×と心配そうにしばらくその後をついて回る。
「貴女のような人が、そのように一人でいるのは少々危険ですよ。」
高価な貴金属を身に着けた貴婦人の後をしついて歩く姿は、逆に不審者と思われても仕方ないと気が付き、護衛の気配もない事から声をかける。
■ルリア > 声をかけられると内心したり顔で。
しかしそれは表に出さず、おっとりとした動作で振り返る。
「あらぁ?うちの人に見つかったと思ったけど、知らない人ねぇ」
驚いたような仕草を見せた後、にこりと微笑みかける。
あくまでも、無防備で能天気そうな貴婦人の演技を続けながら。
「うふふ、ありがとぉ。でも貧民地区と違って、ここらへんは安全でしょう?」
実際には富裕地区であろうと安全とは言い切れない。
どこにどんな罠が潜んでいるかも分からないのだ。
例えばこのルリア自身のように。
しかし演技を続けるルリアは、本当にここは危険がないと思っているような素振りを続けて。
「こんなところで何かある訳でもないのに、みんな過保護で……。息が詰まるからつい抜け出してきちゃったけれど。まさか、連れ戻しにきたうちの人じゃあないわよねぇ?」
少々頭の緩い貴婦人が少しばかりの自由を求めて抜け出してきた、というようなフリで話を進めるルリア。
殊更無防備な様子を強調しているのは、そういうのを放っておけないお人好しを誘うための演技だ。
■ドルチェ > 「驚かせてすみませんでした。」
驚いた様子にぺこりと頭を下げるが、微笑みかけられるとほっと息を吐く。
かけられた言葉と無防備で能天気そうな様子に少々天然な人だなと印象を持ち、演技を見抜けていない所は同じ印象を相手に抱かせるか。
「はい、初めてお会いしました。仰るとおり貧民地区と比べれば安全なのは確かですが、絶対とは言い切れませんので。」
王城であれ、絶対に安全と言い切れないのは世の常、半分は同意しつつも優しく告げる。
特に目の前の相手が演技をしているのを見抜けていない状況、何を言おうが響くはずもなく逆に着け入れられる隙となっているだろうか。
「初めて会う私は、連れ戻す先を知らないのですよ。
息が詰まって抜け出したのでしたら、しばらく付き合いますので、気が済んだところで過保護と言わずに案内させてください。」
抜け出してきたとまで言われては、此処で放っておけるはずもなく、しばらく一緒に居れば気も腫れるだろうとどうでしょうかと提案を持ちかける。
分かる者には分かる、強調している無防備さを疑いもせず、演技も見抜けないままどうでしょうかと手を差し出し、優しく見つめて。
■ルリア > 「うぅん。それじゃあ仕方ないわねぇ。でもいいわ、知らない人とお話するのも楽しいものねぇ」
少しだけ渋る様子を見せるが、提案を承諾する。
本心ではもう今日の獲物はこの女にしようと決めているのだが。
あとは、いつ安全圏へと攫ってしまうかである。
ここでは結界の影響で魔族本来の力は制限されるものの、やり方はいくらでもある。
例えば街のそこかしこに備えた、ルリアの支配下に入った人間を使う手等だ。
「それじゃあ、あのお店を見てみたいから、ついてきて下さる?」
そうルリアの指し示す先は、小さいながらも小綺麗なブティック。
中を見ても特に怪しいところはなくまっとうな商品だけが並んでいる。
ただし、従業員は全てルリアの調教を受けて従順な下僕と化している人間の街に紛れた魔窟だ。
とはいえ普段は何をするでもないが、ルリアがこの辺りで活動する際にこうして連れ込む先として機能している。
その地下には秘密の監禁部屋が作られており、哀れな獲物を弄ぶルリアの遊び場となっていた。
■ドルチェ > 「ありがとうございます。では、話し相手として飽きさせないようにしないといけませんね。」
少々渋るように感じたが、すぐにくすっと笑って返された承諾にほっと息を吐いて。
何かを探すように辺りを見回し、ふらふらと歩き出されるとすぐに付いて歩きだす。
しばらく話しながら歩いた先で指差される小さなブティック、見た感じ妖しさは感じなく、一緒だから良いかと頷いて。
「何か気になる者でもありましたか?私はあまり慣れていませんが、それでもよろしければ。」
衣服を自分で選ぶ事はあまりなく、普段は用意されている物、一緒に中に入って辺りをきょろきょろと見まわす様子がそれを如実に語っているか。
そんな様子をくすくすと笑われるとは直しさで真っ赤になり、もうッと少々唇を尖らせる様子を見せる。
こっちにもっと良い物もあるみたいよと奥へ地下へと案内され、疑う事もせずにその後をついて歩いていく。
■ルリア > ブティックの上層が怪物の口ならば、秘密の地下室は既に腹の中。
殺風景なその部屋に、何の疑いもなくあっさりと招き入れてしまった事に若干拍子抜けしながらも、まんまと獲物を捕らえた歓びから地下室で高笑いをするルリア。
ひとしきり笑って気が済むと、ドルチェに向き直る。
地下室の入り口は既に消失してただの石壁となっていた。
「あーっはっは……。くくっ、本当、もうおかしいったらないわぁ。こんな簡単に引っかかったおマヌケさんなんて久しぶりよぉ」
既に演技をやめて本性を顕にするルリア。
友好的だった笑顔は既に嘲りの笑いとなり、どういたぶって調理してやろうかと舌なめずりをしている。
「どうしたのかしらぁ?まだ何が起こったか分からない?まぁ、こんな罠に引っかかるようなお馬鹿さんですものねぇ」
愉しそうにくっくと笑うルリア。
その姿も頭部に山羊のような角が現れ、本来の魔族の姿へと戻っていた。
■ドルチェ > ブティックの奥、まだ奥があるようねと扉を開き。階段を下りる姿を追って一緒になって下りていく。
突き当りにある扉此処が最後といった様子で開き中へと消えた姿をすぐに追い、無殺風景な部屋の中へと足を踏み込む。
それを確認したと同時に上がった高笑い、きょとんとした様子で背後で扉が消えている事にも気が付かない。
改めて向き直られると大丈夫ですかと心配そうに見つめ返して。
「どっ、どういう事でしょうか?」
不意に響き渡るはっきりとした声、それまでのどこか頼りなさが消えて逆に力強さを感じ、指差された背後を振り返り石壁にはっとする。
改めて見つめると本性を現したのかどう美味しく頂かんかとばかりにしたなめずる姿、腰裏のナイフを掴もうと手を回して。
「きっ、貴様ぁっ!!」
飛び掛かろうとする前で変化していく眼前の姿、楽しそうな高笑いは変わらないまま、ゆっくりと表れていく本性。
頭部に山羊のような角を持つ魔族の姿、それと同時に表に現れ始める膨大な魔力にごくりと息を飲み、圧倒されかけて飛び出せずに向き合っていて。