2020/05/06 のログ
■ゾーイ > 自分が嘘をついているという『疚しさ』を抱えているが故に、相手の嘘に気づけない。
それはミレーの少女も同じことであった。
彼女の反応になるほど、なるほど、とでも言いたげに無言で頷いて。
「困っている相手を助けるのは、当然のことだよ。
だから、ね。その……発散しない? 女の子同士なら、恥ずかしくないよ。
このままだと帰るに帰れないだろうし、スケベな坊ちゃんに玩具にされたくないでしょ?」
耳元で、小さな声で提案する。
目の前の少女の精神が、男性のそれであるとは気づかないまま。
彼女の熱に潤んだ瞳を、真面目に見つめるのであった。
もしかしたら、少女の体に纏わりついていた香に、仔猫も当てられたのかもしれない。
或いは、淫魔の力を宿す瞳や吐息の虜になっていたのかもしれない。
いずれにせよ、目の前の少女の悩ましげで甘ったるい、あられもない声を聞いて。
ミレーの少女は、自分も興奮するのを感じてしまっていた。
■リュシー > (―――疚しい、という感情が、互いを盲目にしているようなもの。
しかしこの場合、たぶん、このままの方がお互いにとって幸いなのかも知れない。)
そ、れは、そうかも、知れないけど……でも、
実際、ちゃんと、助けて、あげられるか、どうか、って、
やっぱり、勇気要るだろ……し、って、え、え?
(危うく、素っ頓狂な声をあげてしまうところだった。
まがりなりにも逃避行の最中である、どんなにびっくりしても、
声は抑え気味にしなければならない。
しかし、―――しかしである。)
え、……でも、でも、っ……、
そりゃ、ぼく、の、ほうは……ありがたい、けど、でも、
………えっと、えっと、キミの、ほうは、
(そんなことに付き合わせちゃって良いの、と囁く声音からも、
もしかすると知らず知らず、ひとを淫らな気持ちにさせる香りが撒き散らされているのか。
この身体になってから、彼女のように普通―――に、見える少女と、
ここまで接近したことがなかった、ので。
己の持つ力が、少女にも作用もするものだとは―――――ああ、でも。)
………良い、の、ほんとに?
(物欲しげに、喉を鳴らしてしまう。
今にも、熱く震える唇を、彼女の可憐なそれに触れさせてしまいそうだった。)
■ゾーイ > 「勇気、かぁ。そうだね、勇気が必要なのは正直、そうだと思う。
だからこそ、その……えーっと、何と言うか……」
勇気、という言葉に困ったような笑顔を返す。
確かにリスクに見合った行為とは言い難いが、しかしその後ろめたさの正体を口にするわけにはいかず。
故に、こちらもしどろもどろになってしまい。
「えっと、えーっと……つまり、さ。乗りかけた船って、言うでしょ?
んー、上手く言えないけど、最後まで面倒見なくちゃって、思ったんだ。
ボクは大丈夫だよ、『そういう目』にはボクも何度も合ってるから。
えっと……ボクがミレー族ってことを踏まえたら、わかって貰えるよね?」
だから、良いよ。
そう告げて、もし唇が奪われそうになったとしても、抵抗せずに受け入れるだろう。
それはそれとして、そそくさと階段を昇り、適当な部屋に入り込んで施錠することは忘れずに。
リュシーが正常な状態であれば、この手際の良さから彼女の素性を怪しく思えたかもしれないが、今はどうだろうか。
■リュシー > (互いを突き動かすものが、たとえ、罪悪感だったとしても。
それが相手にとって、確かに助けとなるのなら、別に良いじゃないか、―――――なんて、
浅慮な己ならではの結論に、飛びついてしまったら卑怯だろうか。
けれども、もう本当に―――アレな意味で、限界だった。
ちゅ、と小さな音を立てて、啄むように唇を触れさせただけで、
頭の芯が蕩けてしまいそうになる。)
――――キミの優しさに、つけこむみたいで、……ほんと、ごめん。
でも、ねぇ、……キミのくちびる、すごく、―――――……
(甘い、美味しい、と、囁く声がますます熱を孕んでいる。
きっともう己は、隠しようもなく発情した雌の顔をしているはずだ。
指先に、掌に、唇に、彼女の体温を感じるたび―――ほろ苦いはずの罪悪感すら、
痺れるほどに甘い快楽に変わってしまう。
だから、彼女が実に手際良く、無人の部屋に入り込んで扉を施錠したときも。
そこが誰の部屋か気づいてしまった己は、もう、楽しげに笑ってしまうのだ。)
ん、ふふ、………ここ、あの、坊ちゃんの部屋、だよねぇ。
ちょうど、良いよね……あいつ、たぶん今夜は、地下から戻らない、だろうし。
あいつが逃がしたエサ同士、………イケナイコト、しちゃお、っか。
(もう、開き直ってしまえ、という気持ちになっていた。
整えられたベッドに、先に飛びこむのはきっと己の方だ。
けれど彼女の手を離す気はないので、振り解かれない限り、道連れにしてしまうはずである。)
■ゾーイ > 立場の弱い者は放っておけないのが、仔猫の生き様だった。
正義感と罪悪感が綯い交ぜになった感情は、理性を殺すには十分すぎて。
こちらも、唇が触れ合っただけで限界が一気に近づいた。
「うぅん、大丈夫……それに、キミの唇も……」
お互いに言葉には出さなかったが、きっと通じ合っていただろう。
もっと味わいたい、と。
ここが家主の部屋だと聞かされれば、罪悪感に加えて一種の緊張感も心に走る。
見つかったらどうしよう、と。
「うん、しちゃおう。はぁ、ボクも何だか……我慢できなく、なっちゃった」
今はその緊張感すらも、興奮を煽るスパイスにしかならず。
少女の動きにも抵抗せず、共にふかふかのベッドに飛び込むのだ。
「服、脱がしあいっこ、しよ?」
一緒にベッドに横たわりながら、紅潮した顔に笑みを浮かべて。
仔猫は少女の衣服へと、手をかけようとする。
■リュシー > (己がもとは貴族だったと、搾取する側の人間だったと、彼女が知ってしまったら。
怒るだろうか、傷つくだろうか、それとも悲しむだろうか。
けれど、たぶん今ならば―――今の己ならば、少なくとも。
彼女の身体に、要らぬ傷をつけることはない、と思うので。)
……ぼくの、くちびる……も、甘い……?
ん、ふ………だよね、だって、今……ぼく、すごぉ、く、
………はつじょお、しちゃってる、から、ぁ、
(この屋敷の「お坊ちゃま」が、先刻、両手に花のウハウハ状態だったのを知っている。
だから己が気をつけるべきは、もう、彼女に負担をかけないこと、だけなのだ。
他人の寝室であっても、とにかく鍵のかかった部屋で、ふたりきり。
ベッドの上で向き合う己の顔からも、身体からも、余計な緊張は消え失せていた。
伸ばされる手に己の着衣を任せ、己の手指は彼女の着衣にかかる。
玩ぶように触れながら、少しずつ、愛らしい黒猫さんの肌を暴きにゆこう。)
―――――ねぇ、共犯者さん。
……キミの名前、教えてくれる……?
(悪戯っぽく細めた眼差しに、ちらりと過ぎる紅い色。
選んだ呼称にも甘い毒を乗せて、一夜限りのコイビトの名を聞きたがる。
もし、何故、と問われたなら、)
……いっぱい、キミの名前、呼びながらイきたい。
キミにも、おんなじぐらいいっぱい、イって欲しい、けど……。
(そんな、悪魔的な囁きを追加してやるつもりだ。)
■ゾーイ > 元が貴族でも、騙され、下手をすれば輪姦されていた寸前のところだったのは事実。
だから、仔猫はそれを知っても笑顔を向けるだけの筈だ。
もとは男だと知ったらどうなるかは、定かではないが。
「うん、とっても甘かったぁ……もっと、チューしたいな……。
ボクもね、スイッチ、入っちゃったみたいなんだ……」
音に敏感な猫の耳が衣擦れの音を捉え、お互いの肌の面積が増える度に、心臓が早鐘を打つ。
骨の髄まで、むしゃぶり尽くしたい劣情が止められない。
今すぐにでも、その柔らかな唇を奪って、舌で口の中を犯したい。
「名前? えっと……」
けれど、名を問われて少しだけ逡巡する。
迷ったのは、もし屋敷の住人に一人でも聞かれれば、『そんな名前の使用人はいない』と、すぐにバレてしまうからだ。
けれど、そんな風におねだりされたら。
「……ボクはゾーイ。キミの、名前は?」
我慢なんてできなかった。
女の子同士だから恥ずかしくない、なんて言っていた自分が莫迦みたいに思える。
きっと、今の自分は、盛った雌猫のようなだらしない顔になってしまっているだろうから。
■リュシー > (せっかく、こんなに可愛いにゃんこさんと知り合えたのだし。
出来れば過去の所業とか性別とかは、知られずに済ませておきたいところだ。
微かな衣擦れの音が立つごとに、ふるん、と揺れる黒猫の耳が愛おしくて、
服を脱がせている間にも、ついつい唇が彼女の鼻先に、頬に、唇に触れたがり)
ん、……ん、ぼくも、シたい………。
だぁい、歓迎、だよ、だって、ぼくだけ気持ちイイの、つまんないし、
―――――…ゾー、イ、……ゾーイ、可愛い名前。
(逡巡の気配がすれば、その時だけはほんの少し、眉尻を下げて切なげな顔をしたけれど。
教えてもらった彼女の名前を、唇で愛でるように繰り返すと、蕩けそうな笑顔を向けて。)
ぼくのことはね、……リュシーって、呼んで、ゾーイ。
―――――友達は、みんな、そう呼ぶから。
(呼んで、なんて言っておきながら、堪え切れずに唇を寄せてしまう。
今度仕掛けるのは、唇を食んで、舌を伸ばして絡め合う、オトナの口づけだ。
閉じた瞼が甘く震えてしまうほど、互いの蜜を混ぜ合わせる、それが始まりの合図で。
脱ぎ散らかした互いの衣服よりも、たった今、絡めた舌先よりもずっと深く、
ずっと熱く、縺れ合うようにベッドの上で蕩けおちる、夜は未だ終わらない。
彼女の名前を呼ぶたびに、はしたなく乱れ狂い、何度も昇り詰めて甘露を散らし、
―――――正気に戻って、別の意味で赤面しながら向き合うか、
それとも心地良く意識を手放すのが先か。
どちらにしても、翌朝、部屋の主が戻ってくるころには、
手に手を取って屋敷の外へ、本物の逃避行、となっているかも知れず――――。)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からゾーイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にソムヌスさんが現れました。
■ソムヌス > とある邸宅にて。
「………」
道を歩いている最中に浚われて、紆余曲折の後に富裕地区の邸宅に連れ込まれた。
よくある話だ。貴族連中にあれこれ弄ばれた結果として、命を落とす。
これもよくある話だ。
だが、死んだのに蘇る。これは、滅多にない話だ。
薬物を打たれるわ、首を絞められるわ、殴られるわ、人を人とも思わぬ外道の極み。所詮少女並みの耐久性しか持ち合わせない彼女が死んでしまったのは当然であった。
邸宅の、空き部屋にて蘇生を果たす。正確には物置のような場所だ。
服一枚のみを纏った小柄が、ピクリと動いた。手が持ち上がり、上体が起き上がる。
つい今しがたまで呼吸すらしていなかったものが、突如として復活を遂げていた。