2019/11/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > ――世の中には、出来る事と出来ない事と、やり続けられないことがある。
豪奢なホールの中で、男は溜息をつく。
先程までは、周りに四人程居たが、今は一人きり。
給仕が勧めてくれた酒を舐めながら、周りの『雲の上の方々』から出来るだけ目立たない様に、且つ露骨に隠れているようにならない様に、立ち位置を慎重に調整する。
「なんというか、なあ」
貴族や一定以上のステータスを持った商人達といった歴々の中に、剣闘士とかいう明確な『下』が居れば目立つ。
目立てば、貶めたくなるのが人情であり、要するに先程までの彼の立場とは、そういう物であり、もっといえば男が期待されている仕事の一つも、それである。
要は、嫌味や身勝手な同情を上手く受け流す事、である。
普段はそれでも、剣闘士としての名声で緩和されていたが、それでも立場として下である以上、こういう事もある。
「仕事って、大変だなア……」
呼ばれた他の同僚も似たり寄ったりだろうと思うと、一人だけ被害者感を出す訳にも行かないが。
しかし、こんな食欲も湧かないパーティも、中々無かった。