2019/11/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > その通りは、普段は決して人通りが少なくない通りだ。
飲食店や、小売りの店が存在しない、ただ鎚の音や、親方の声が響く、職人の通り。
だが、今は違う。そこには、五人の人が居た。
正確には――四人が血を流し倒れていて、一人が倒れていたと言う方が正しい。

「……やれやれ」

立っている方の、青い闘牛士服の男が呟く。
剣についた血を拭き取りつつ。
見やる彼らは、金に雇われたごろつきのようだ。
武器は粗末で、衣服もボロボロ――だが、実際には違う事を、男は知っている。

「実家に戻ったら教えてあげてくれるかな。『当主以外の教育もちゃんとしないと、本当に家滅びる』ってさ
ホント、仮にも武闘派の家が武力を外注とかやめてくれよ。みっともないな」

闘牛士服の男は、とある理由で実家から逃げ出した男だ。
それを捕まえ、当主の座に戻す為に、彼らは派遣されてきた。
彼らが何なのかは解らないが――それなりに実力のある、しかしこういう事をしなければ生きられない、食い詰めた騎士か何かなのだろう。

「さてさて、それじゃ帰るか。と、その前に」

男は、知覚を巡らせる。
今の事を何処かで覗いていた者が居ないかどうか。
もし居るとしたら口封じが必要だ――家に戻らず牢に入ったなど、笑い話にもなりはしない。

クレス・ローベルク > 「(それにしても、まあ何というか、予想以上に落ちぶれたな)」

全盛期の――クレスが脱走する前の家ならば、こんな事にはなっていない筈だ。
ローベルク家にも、当然私兵が居るのだから、それを動員してこちらを捕まえにかかった筈なのだ。
そうなった場合、捕まりはしないまでも、苦戦は免れなかった筈だ。

「まあ、当主が――"今代の英雄"がこの様だからな。
そうなるのも解らなくはない――家格を保つためには、私兵はどうしたって魔族討伐の方に傾けないといけないだろうし」

と、立ったまま考えに耽る男。
一応、実家に思う所が無いでもないが、しかしそれでも帰ってやるという考えは蟻程にも思い浮かばない。
そもそも、男がローベルクの姓を名乗っているのは、それを狙っての事なのだし。

「ふむ……どうするかな」

考えに耽る男。
周囲に人は居ない事を確認して、少々気が緩んでいるようだが――?