2019/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 冒険者の酒場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 富裕地区の中心から、少し外れた場所に、新しく作られた冒険者の酒場。
上等なケヤキの木を使った、落ち着いた外装。
間接照明と緑のカーペットで彩られた内装と、曲線的な柔らかいラインを描く椅子と、一枚板で作られた机。
酒場というよりは、落ち着いたレストランを思わせる雰囲気だが、

「……が、頑張ってるなあ」

ボックス席が埋まっているので、カウンターに通された男はぽつりと溢した。
何が頑張っているかと言えば、その精一杯の『高級感』である。
外装は意地でそろえた様だが、カーペットや家具は明らかに安物の建材を使っている。
デザインにしても、良く見れば粗が見えるし――

「何より、メニューが、なあ」

一般の冒険者の酒場から、ワンランクアップさせました、ぐらいのラインナップと値段。
中には、『ただのポークステーキ』を『マグメール豚の薄焼き、和風オニオンソース掛け』などといった、嘘ではないが明らかに誇大広告なメニューまで存在する。

「……まあ、冒険者の酒場としての機能は、寧ろ平民地区より良いんだけど」

酒場のメニューとは別に渡された、依頼表を開く。
そこには、この酒場にある、全ての依頼が危険度別や音順で並んでいる。
普通の冒険者の酒場なら、あり得ないサービスだ。
危険度の低い依頼と偽った物も、今の所ないらしい――

「っていっても、大した依頼は今のとこないな。
今は夜――人の多い時間帯だし、新しい依頼が来るのを待つか」

今の所、男の両隣に人は居ない。
だが、この人の入りなら、早々に埋まってしまいそうだった。

クレス・ローベルク > 正直、飲食店としては中途半端な店だが。
そうはいっても、男は不思議と、この店にあまり悪い印象は持っていなかった。
店員の愛想は冒険者の酒場より良いし、水やおしぼりのサービスまである。
寧ろ、デザインやメニューの欠点については、

「……まあ、こればかりは、なあ」

と苦笑いできる程度のものだ。
そもそも、冒険者の酒場そのものが、平民や貧民のものだったのだ。
それを富裕地区の雰囲気に沿うようにするのは、骨が折れるだろう。

「それに、俺にとっては良い紅茶が飲めるってだけでも、使う価値のある店だしね」

頼んだ紅茶を一服しつつ、依頼のリストを眺める男。
依頼の追加などで、随時リストは新しいものに交換されるので、意外と見ていて飽きないものだ。

クレス・ローベルク > ――男の休暇は続く
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 冒険者の酒場」からクレス・ローベルクさんが去りました。