2019/08/25 のログ
リシェラ > 店が閉まる頃合を見れば余裕も出来るのかもしれない。
そう思い至って一度距離を置こうとした、其の時。
入店を躊躇していた店先から現われる少女の姿。
覚えは在る、先程考えていた相手なのだから。
彼女からの言葉に僅かに顔を上げる、隙間から見える其の表情は何とも複雑そうなもので在ろうか。

「ああ、久しいな。
そう……其れは申し訳無い事をした、退いた方が迷惑も掛からないと思っていた処なのだが。
其方がそう云うのであれば、其の方が良いのだろうか?
若し迷惑と感じたの為らば、其の時は遠慮無く伝えて貰いたい」

彼女の冗談で在ろう言葉も、少女は真面目な様子で応える。
冗談を理解していない訳では無いのだが性分なのだ。

リス > 「別に、申し訳なく思う必要はありませんわ。
 必要ならば、入ればいいだけの事、そうでなければ、来なければいいだけの事。
 何かご入用があるから、来てくださったのでしょう?
 それならば、入るのが礼儀、そう言いたかっただけ、なのですわ。」

 そうだった、この人に冗談は通じないのだ、久しぶりすぎて彼女の生真面目さをいまさらのように思い出して小さく苦く笑ってしまう。
 顧客を見誤るとは、商人としては、失格ともいえるだろう、申し訳ありません、と一つお辞儀を。

「とはいえ、リシェラ様、お店とは、誰にでも開かれているものでございます。
 お客様を、迷惑と考えるお店など有りませんわ。
 入ったら買わねばならない、と言う法もありません。
 先ずは、判らないことがあるなら、相談する、その為に、お店はありますの。
 だって、何がいいか、判らないのであれば、聞くしかありませんよね?」

 それだけでも、良いのです、と少女は笑って、手を差し出して見せよう。
 彼女がその手を取るかどうか。

リシェラ > 「成る程、確かに道理では在るのだが。
然し、今は其の判断が難しい処なのだ」

彼女の言葉に納得気味に頷きはするものの、其の表情は大きく変わらない。
逆にお辞儀をする彼女には、其れは不要と制止する様に右手を上げて。

「……店とはそう云うものだったな、失念していた様だ。
為らば先ずは中に入り、其の先で其方の意見を仰ぐとしよう」

薄っすらと聞き覚えの在る言葉に、小さく俯き乍に呟く。
彼女の差し出す手、其れを上げていた手で取って。
其の後は彼女の案内に任せよう。

リス > 「判断が、難しい……?」

 どこか困った様子の彼女の言葉、何が難しい事なのであろう。
 右手を上げられて、お辞儀を一度やめてから、首を傾いで見せて。

「はい、お店の商品に関しては、私共は知識をしっかりと得ております。
 なので、判らないこと、判らないもの、何が欲しいのか。
 いろいろご相談くださいまし。
 お金の話と言うのは思うよりも後の話なのですわ。」

 彼女の小さな手、少女もあまり大きくはないがその手を取って。
 少女はまず、事務所へと移動しよう。
 案内するにしても、先ずは、目的を知りたいから。
 目的を聞き、そこからどうするかを考えよう、と。

 事務室に入り来客の立て札と、窓にはカーテンを。
 こうすれば、店員は急に入っては来なくなる。
 なので、ゆっくりお話しできよう。

リシェラ > 判断が難しい、彼女が首を傾げる其の言葉の理由は後程解るだろう。
其の場では少女はまだ語らずで。

「其方が其の点は確りしているのは理解しているし、信用も置いている。
だから店巡りの締め括りを此処にしたのだ。
予が自身一人で巡ろうと答えは出ないと予想立ててはいたのでな」

彼女の手に引かれ事務所への案内を受ける。
事務所へと入り、彼女が色々としてくれている途中で其処までは説明しておいて。
話し合う準備が整ったと判断をすれば、一息の間を置いてから再び僅かに顔を上げて彼女へと眼を合わせる。
血の様な紅色の瞳、然し其の眼差しは優し気なもので。

「手間を掛けさせてすまない。
そうだな……今日の目的は色々と在って、其方にも少し考えさせてしまうものだろうと考えているのだ。
其れを踏まえた上で相談させて貰うとする」

真っ直ぐに彼女を見詰め乍、先ずは其れだけを伝える。
自分から伝える言葉は難しいものではない。
其の内容に彼女は如何思うか、其処だけは少しばかり心配なだけで。

リス > 「それならば、なおさら声をかけていただきたかったとは思いますが。
 とは言え、リシェラ様のお考えは、私には測りかねます。なので。
 しっかりとお話をお聞きしないと、いけませんわね。」

 事務室に入り、彼女の言葉に対しての返答を返し。
 自分の顔を見る相手、お茶を出してのんびりお話、と思っていたが、そういう話ではなさそうなので。
 少女は居住まいを正し、その深紅の瞳、視線を受け止めるのだ。
 彼女が何を伝えたいのか。
 その真剣な表情、真剣な雰囲気、空色の瞳は、彼女の一挙一動を見つめるのだ。

「ええ、何なりと。
 商人として出来る限りの知恵を振り絞らせてもらいますわ。」

 自分にさえ考えさせてしまう。
 何を、なのだろう。
 しかし、彼女の雰囲気からは、冗談を抜きに真剣に考えるべく、少女は返答を。

リシェラ > 「聞けば其方は先ず呆気に取られるだろう。
そう予は考えている、其の程度の話なのだから気張る必要性は全く無い」

表情も語調も変わらず、冗談を云っている感じには受け取れない。
そう思わせてしまうのは理解しているのだが、自分を変えるのは難しいものだ。
真剣な面持ちで向き合う彼女にそう伝えれば、一呼吸の後。

「生活感を得られる物が欲しい、予は其れを求めて来た。
其方も知っているだろう友人、彼女から提供された住宅が在るのは前にも伝えてあっただろうか?
其の住宅、家具と云える物は予の部屋のベッドとテーブルと椅子しかない。
先日彼女が訪れてな、生活感が無さ過ぎると指摘されたのだ。
指摘した相手を考えれば重く考えてしまうのは仕方無いだろう?」

言葉を選ぶ様にゆっくりと彼女へと続けて伝える。
言葉を終えても相変わらず大きな変化を見せない表情と眼差し。
内心は読み取れないだろうが、其れに近いものは言葉を聞き終えた後、彼女も感じられているかもしれない。

リス > 「成程。」

 彼女の言葉、呆気にとられてしまうらしい、何がどういう事なのであろう。
 とは言え、彼女は『その程度』と言う表現を使うくらいには、大ごとではない模様。
 なので、少女は肩の力を抜くことにした。

「せいかつかん。」

 彼女の友人、それは、母の友人でもあり、自分の先生でもある。
 第二師団の副団長の事なのであろうことが直ぐに推測された。
 彼女の指摘はもっともなのであろう。
 とはいえ、だ。

「先にお聞きしますが。
 リシェラ様は、それが、必要と思いますか?」

 生活と言うものはその人の営みともいえる。
 つまるところ、彼女は人に言われたから、人に交わるためにと求めに来たのだろう。
 が、本当に必要と思っての事なのだろうか。
 大事なのは、其処なのである。
 少なくとも、少女はそう考えているからの、質問。

リシェラ > 思った以上に理解を示してくれた彼女の反応に内心安堵する。
前に在った友人の様な反応をされても仕方無いと思っていたからだ。
只、彼女からは其れに対する質問が向けられた。
生活感、其れが自分に必要か不要か。
少しばかり考える様に間を空ける。

「……必須か必須で無いか、との問いで在れば必須では無い。
予が生きていく上では最悪日の避けられる場所が在れば良いからな。
だが必要か不要かで問われれば、今は必要と答えよう。
彼女の側で、此の人間の国で生きて行くには少しでも其れに近付ける必要性は在ると考えているからだ。
其れに…」

彼女の質問に対する答え。
其れを伝えているも、其処で一旦区切り。

「友人の家に招かれたり、友人達を我が家に招く機会も何れ在ろう。
其の時に、今の侭では……そう思ってな。
最近迄は余裕も無く手を出せなかったが最近は余裕も出来てきたんだ、慣れておきたい。
其方への答えに成っただろうか?」

此れが今自分が持つ生活感に関しての考えの全て。
其れで彼女が納得してくれるかは分からないが。
伝え終われば、静かに彼女の答えを待とう。

リス > 自分の問いかけに対しての、彼女の返答、少女は静かに聞いていた。
 それは、真剣な問いかけであり、彼女の真意を求めていたからである。
 最初の言葉は、彼女の意識。
 あとの言葉は、彼女の判断。

 そういう風にとらえることができた。

「私の見解としては。
 それならば、リシェラ様のご友人―――その方に、選んで貰い、贈ってもらうのが一番かと思いますわ。
 なぜなら、生活感と言うのは、その人の必要なものが、その人の生きてる証と言うものなのですから。
 リシェラ様が必須と思っていたのは、先ほどの寝るためのベッドに、テーブルに、椅子。
 貴女には、それで十分であり、それで生活できているのです。」

 少女の見解はそれなのである。
 つまり、生活感と言うのは本人の生きざまの屈み移しみたいなものなのだ。

「それにケチをつけるのであれば、その方が、リシェラ様に必要と思うものを、贈らせるべきではないかと思いますわ。
 とは言え、リシェラ様も自分で動いているのもありますし。
 最初はあれこれ考えずに、何が足りなかったかを、考えてみませんか?」

 他人が関係するのだ。
 他人の意見をくみ取り彼女は行動しようとしている。
 最初の失敗で、その友人に不足を突き付けられて認識した。
 彼女はその友人の言葉に従い動いてるに過ぎない、それなら今はまだ、その友人に責任を持ってもらう方がいいと思う。
 常識を学んでないものに、常識をたたきつけるのは、良くある失敗でもあると思うのだ。
 なので彼女は、何が失敗だったのかを、認識してもらう方がよさそうだ。
 という事で、彼女の中の考えを求めた。

リシェラ > 彼女の言葉を聞き、新たに考えるべき事に思考を向ける。
確かに其の考えも間違いないものだろう。
只、友人が安直に物事を云う様な相手とも思えない。
指摘するにしても、其れに対して正して伝えるものだろうと。
目の前の彼女程に深く考えてはくれないのだろうが。
其れならば、何故あれだけで終えたのか。

「……自分依りも其の適任者が居るから。
今回の件を伝える前に其方を教えてくれたのは、彼女だったな。
予に余裕が出来た事も、彼女為らば理解している筈だ」

都合良く考え過ぎかもしれないが、そうした考えも一つとして浮かぶ。
余裕が生まれれば、自分は自分として如何したいのかを考える事も在るだろう。
そう為った時に身近で頼れる相手を考える為らば…

「今はまだ数少ない頼れる友人で在る其方が居る事。
そして、其方の方が彼女依りも国の民に身近な生活を送っている。
良く考えれば合理的だが、間違い無く面倒事を押し付けたな、此れは」

日頃の行動も在る為かそうした結論に辿り着いた、彼女の悪い癖だ。
何処か理解しているも呆れた様に小さな溜息を零す。
少しばかり何かを考える様な仕草をし、彼女へと顔を向ける。

「彼女には後にでも文句の一つ二つ云っておくとして…
其方の云う通り、今は足りなかった物を考えるとしよう。
そうすると考える上で、一つ頼み事が在るのだが」

色々と彼女に伝える事も在るが、其れを今考えた処で云うべき相手は此処に居ない。
為らば、今出来る事を先ずはやっておこうと考える。
そうするに従って一つだけ、確かめたい事が在った。
目の前の彼女の方が、友人依りも求めるのに近い物を持っているだろうと云う事。
だから、断られても仕方も無いと思いつつ聞いてみるのだ。

「仕事終わりにでも、後日でも良い、其方の部屋を見てみたい。
出来るだろうか?」

リス > 「ふふ、お仕置き、必要かしら……。」

 彼女の言葉で理解した事、自分で教えるの面倒だから此方に流したと。
 確かに商人であり、彼女よりもそう言った事に対して知識も有るのだが。
 彼女の言葉を聴けば、お小言の一つでも行ってしまいたくもなろう。

「………はふ。
 仕方ありませんわね、託されたのであれば、それに応えなければ。」

 諦めたようにため息を吐き出して少女は言おう。
 ここでぎゃぁぎゃぁ、言っても仕方がない事なのであるから、で。
 そして、確かに例題にするには―――――。
 問題があるような気がするが。

「ええ、構いませんけれど。
 家の、部屋に関しては――――普通とはいいがたくありますわ?」

 そうなのである。
 寝室とかに関しては、正直あれなのだが。
 まあ、見たいというならば、見せることは吝かではない。
 これは普通ではない、と言う証拠にもなろうから。

「私は、何時でもいいので、仰っていただければ。」

 ご案内いたしますわ?と笑って見せた。

リシェラ > 「……其方に任せよう」

其の点には同意の様で、言葉短く彼女に其れを託す。
自分では其れ程の効果も与えられないだろうと考えたからだ。
いい性格をした友人を持つ苦労と云うものだろう。

自分と同じく彼女も今の状況を理解したのだろう。
諦めた様な溜息を吐き、此れからの事を考える。
承諾を得られるも、彼女も又部屋は普通とは云い難いらしい。
然し、少なくとも友人宅と比べるまでもない筈だ。

「良い、予にすれば十分に頼れる友人なのだからな。
行く頃合は其方に合わせよう。
多忙な其方依り、今は予の方が合わせ易い」

やるべき事が在る者と無い者の違いだ。
何れは自分も何かやれる事を探さねばと思い乍も、今は彼女の厚意に甘えよう。

リス > 「私が言っただけで、治るとも思いませんが……。
 言わないとわかってももらえないでしょうし。」

 彼女の性格から考えても、暖簾に腕押しな気もしなくもない。
 でも、こういうのは言わないとだめなのだ、とも思うのだ。
 なので、不満に思う事は、不満と言うべきだ、と少女は思うのだった。

「判りましたわ。
 それでは、準備が出来ましたら、声をかけましょう。
 で……。
 先に言っておきますが。
 私の部屋は、寝室は……巣穴ですわ?
 私の愛するものを引き連れて、交尾するための場所。
 それだけは、認識していただきたく思いますわ。」

 普通とは違う、どういう風に違うのか、それはちゃんと言葉にしておこう。
 彼女であれば、それだけ言えば、理解してくださるだろう、と。

リシェラ > 「彼女の場合、其れさえも予想の範囲内では無いかと勘繰ってしまう。
然し、確かに云うと云わぬでは違いも在ろうからな」

彼女と同じだからこそ、自分も後に伝え様と思っているのだ。
解っていても、機会が在る時に伝えておこうと。

「そうか、では予の住まう場所は記しておこう。
其処に連絡を送ってくれれば伝わる。

予を相手に、其方はそう胸に抱く事が出来るのか。
まだ愛と云うものを理解していない予では在るが…
其の行為の知識程度為らば持っている、其の程度だ。
何れ起こるかもしれん間違いを考える為らば、其方の様な好意を抱ける者に教えられるのも良かろう」

眠りに付く前は考える様な相手が居なかったから。
眠りから目覚めた後は孤独な生活が続いていたから。
伝えた通りに先の事を考えれば知る事は必要となる筈だ。
そして、其の相手に彼女を選んだ事に後悔は無いだろう。

自分の住む場所をメモに記し彼女へと渡しながら、そうした約束を取り交わす。

リス > 「予測の範囲内だと思われますわ?おそらく、今頃は私とリシェラ様の事見ていらっしゃると思いますし?」

 ねえ?と、少女は問いかけるように視線を彼方へと向ける。
 其処には、何かしらの確信がある様で、返答はなくとも、それが返答だとばかりに。
 なので、精々無理難題を言って困らせてあげましょうという、意地悪な笑いを一つ。

「有難く頂きますわ。
 では、私の部屋を見た後に、改めてリシェラ様の部屋にほしくなったものを、相談いただく、という事にしましょう。」

 彼女の家の場所のメモを受け取り、少女は軽く笑う。
 そして、次の言葉に関しては、視線を彼女に向けて見せる。

「愛と言うものは、それこそ、一人ではわかる物ではありませんわ。
 誰かと共に過ごし、そして育むもの、故に、難しいものなのですから。
 判りましたわ、では、当日は遠慮なく、リシェラ様行為の意味など、リシェラ様の知識と合わせて、確認するように交わりましょう。

 あと、愛し合う行為は、間違いであり、間違いでは、在りませんわ。」


 彼女の言葉に、少女は返答を返しつつ。
 自分の家の場所をメモに、彼女に差し出そう。

リシェラ > 「昔から変わらんな。
きっと其方が考える仕置きさえ、其れを予想するのを楽しんでいるんだろう」

彼女と違い此方は其れらしき動きは見せない。
伝えたい事は多分伝わっているのだろうと考えているからで。
願わくば、彼女が其の予想を僅かにも上回ってくれる事か。

「分かった、後はそうした流れと云う事で覚えておこう」

彼女のメモを受け取り乍、頷いてみせる。

「話には聞いていたが、矢張り理解するに難いか。
其の時は宜しく頼む。
……今日は態々時間を取らせてすまないな」

長く生き様とも理解し切れない事は数多い。
後日、又会う事を何処か楽しみにし乍も、本日は戻るとしよう。
戻り際、彼女に向けて小さく微笑みを浮かべていた。

リス > 「存在とは、簡単には変わりませんわ……?人との交流があって初めて変化が生まれますのよ。
 そして、変化を与えるには、刺激を与えられるもの―――対等な物でないと。」

 部下とかでは、変化には乏しくなる物であろう。
 外部からの刺激こそが、変化に必要だ、と言う所なのであろうと、少女は思うのだ。

「ええ。ええ。
 家具は、急がなくてもいいと思いますから。
 今日明日、誰かを呼ぶわけでは、無いのでしょう?」

 呼ぶのであれば、もっと慌ててるとも思うが、彼女は王であり泰然としているのが素なので、明日客が来るのであれば、少女は慌てるだろう。

「いいえ、いいえ。
 むしろお話できて良かったですわ?
 また、お会いいたしましょう。」

 小さく笑みを浮かべる彼女に、少女も立ち上がり、笑みを返そう。
 お見送りしますね、と言いつつ、自分もそろそろ帰らないと、と。
 とりあえず、ある程度の場所まではともに歩き。
 そのままお互い家に戻るのであろう―――。

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オリヴィエ > 詳しい事は知らないが──
厳密には聞いたが、左耳から右耳に抜けていったが──
何やら、連日祝賀ムード祝祭ムードの様子である。

すりのカモも多そうだが、普段は閑静な界隈が騒々しい今、
空き巣で一気に儲けるチャンスがありそうだった。
この時間まで富裕層で賑わっているのだから、主を失った家も多いだろう。

オリヴィエ > (まー、そう話は単純じゃないんだけど)

内心でごちて、少年は周囲に気配を溶け込ませながら、
あくまでゆったりした足取りで、パーティ会場のような赴きの通りを歩く。

金があるということは人心を奢らせるが、セキュリティをおろそかにする者ばかりではない。
ということで、今日は空き巣を実行するつもりではなく下見だ。
人通りの無い細い路地に入り込むと、周囲を見回す……
こういう場所に、思わぬ侵入経路があったりするものだ。

オリヴィエ > 急ぐ理由も無く、少年の下調べは続く。
のんびりと散歩を楽しむような足取りで、喧噪を背中に聞きながら──

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