2019/04/21 のログ
■ヴェルファール > 「うんっ、おかーさんっ」
実のところは、お供に連れて来た人間が母親役を担っている。
しかし、あくまでも王都に来る為に付いて来て貰っているだけ、それが実際の役割なのだ。
そもそも、幼女に本当の母親は居ない。
なのだけど、せっかくの機会と言うのも。
その厚意は素直に受けようと、合わせてみせる。
「んーっとね、んーっと…なにがあるの?
あまいのっ、あまくておいしいのがいいっ」
口元に指を当てながら、考える仕草を見せる。
知ってるのがあるかどうか分からないし、お任せしてみよう。
「あ…そのね、ヴェルは、ヴェルっていうの。
おかーさんは、マヌエラっておなまえなんだね」
頼むのをお任せしつつも、聞かれた事には素直に答える。
今、母親役となってくれている相手を見上げ、にこーっと笑顔を浮かべてみせて。
■マヌエラ > 可愛らしい声音で呼んで貰えば、嬉しそうに笑う。
見た目よりも、遥かに聡明……ひょっとすると見た目通りの年齢ではないのかも知れない。
だが、その仕草や表情は、見た目相応のそれで。
「ではこの、ココナッツというものにしましょう! おすすめのようですから~」
考える仕草もまた可愛らしく、にこにこ笑って注文して。
「ヴェルちゃん、ですね。良い響きのお名前ですね。
はい、マヌエラです。どうぞよろしくお願いします~。
せっかく偶然お会いできましたし、お友達になってくださると嬉しいですね~」
成り行きで母親役ではあるが、友達、という言葉を使って。にこっと笑いかけた。
■ヴェルファール > いつもの母親役は街の人間。
どうしても、その態度にどこか違和感を感じさせてしまう。
しかし、今、目の前にいる母親役からは、自然体で何の違和感も感じさせない。
だから、こちらも自然と相応な態度を取れているのだ。
「ここなっつ?うんっ、それじゃあ、ここなっつがいいっ」
お奨めらしいココナッツジュースに、大きく頷いてみせる。
「えへへー…おかーさんもそうおもう?
ほんとはヴェルファールってもっとながいんだけど、ヴェルのがよびやすいんだもん。
うんっ、よろしくね?ヴェルもね、おともだちがふえるのってうれしいの」
てれてれと、照れるように笑う幼女。
両手を広げて本名を伝えたり、きゅっと握った両手を胸元に、うんうんっと頷いたり。
言葉と共に忙しなく動き続ける。
■マヌエラ > 天真爛漫な幼女の様子に、女もまた自然と愛らしいという感情を抱くことができていた。
「ヴェルファールちゃん……本名も、素敵ですね。かっこいいです。
でもヴェルちゃん、も、可愛らしいですよっ。
まあまあ、ありがとうございます~!」
快諾をいただけば、顔をほころばせて笑い。感情を豊かに表現する掌を優しく取って、握手する。
と、ジュースが運ばれてきた。オレンジ色のマンゴーと、白いココナッツ。
「まあ、届きましたよ~! いただきましょう!」
■ヴェルファール > 「えへー…そう?すてき?かっこいい?
でもねでもね、ヴェルはやっぱりかわいいほうがいいの。
うんっ、ヴェルも、ありがとうだよっ」
普段なら、素敵、格好いいと言われる方が良いとは思う。
そう言われるのも嫌じゃないし、むしろ、嬉しい。
だって、普段は父親を見習って振舞っているのだもの。
だけど、やっぱり自分だって女の子なんだから、可愛い方が嬉しいもので。
両手でぎゅっと握手を返しながら、にぱーっと満面の笑み。
届いたジュースを見れば、おーっ、と感嘆の声をあげる。
白いジュース、ぱっと見だけなら林檎ジュースに近いかもしれない。
けど明らかに匂いが違うのを、すんすんっ、と鼻を鳴らし感じとっていた。
「ここなっつじゅーすーっ♪」
嬉しそうに、両手を伸ばしてジュースを手に取った。
■マヌエラ > 「ふふっ、ヴェルちゃんは可愛らしいですものね~」
溌剌とした声に、思わず笑顔が深くなる。
一生懸命な握手も、あけっぴろげな笑顔も、全てが輝いているように見えた。
「ふふ、いただきます♪」
こん、と入れ物を当てて乾杯して口に運ぶ。
マンゴー特有のとろみが口の中に広がり、若干の薬くささが癖になる甘みが喉を潤す。
「美味しいです♪ ヴェルちゃん、ココナッツはどうですか?」
■ヴェルファール > 褒められれば、また照れてしまう。
笑顔一つとっても、ころころと変わる表情を見せて。
「いたーだきまーすっ」
乾杯をし、そのままコップを唇に寄せる。
ちょっとだけ間を置いてから、こくん、とまずは一口目。
思ってたよりも甘くて、美味しい。
ぱぁっと笑顔を輝かせる幼女。
「あまーいっ、おいしーっ♪」
コップから唇を離し、笑顔を浮かべたままそう伝える。
吸血鬼だからって、血しか飲めない訳じゃない。
味覚はちゃんとあるし、お腹だってちゃんと満たされる。
ただ、血の方が得られるものが多いだけなのだ。
■マヌエラ > おいしい、という声。声も表情も、その言葉を裏付けていた。
「良かったです! お誘いした甲斐がありました~!」
それを受ければ女もまた満面の笑み。
「ああ……可愛いです。本当に可愛いです~!」
いてもたってもいられない、というように、身を震わせて。
「ヴェルちゃんは、本当に可愛らしいですね。
お声も鈴(ベル)のようで……可憐で、澄んでいて、聴いているだけで幸せな気持ちです。
私……ヴェルちゃんのことが大好きになりました! ヴェルちゃんと友達になれて、嬉しいです!
だから――ココナッツだけじゃなくて、もっともっと、気持ちよくなって欲しいです。
お時間があれば、遊んでいきませんか、ヴェルちゃん!」
うっとりとした声でお誘いの言葉――。
■ヴェルファール > んく、んく、と美味しそうにジュースを飲む姿が、その答え。
一気飲みとか出来ないから、ちょっとずつちょっとずつ飲んでいる。
同じく嬉しそうにしている、そんな姿を、ちらっと上目使いに見上げていた。
「ぷあー…♪」
まだ残っているけれど、ちょっとだけ休憩を。
そうしているところで、身を震わせながら、掛けてくるのはお誘いの言葉。
相変わらず褒められれば照れるし、大好きとか、お友達になれて嬉しいと言われれば、うんっ、と頷いてみせる。
だけど、気持ちよくなって、のところは小首を傾げた。
もっと美味しいじゃないの?って感じの表情を浮かべて。
挟むように言葉を返さないのは、続けざまの言葉に返す余地がなかったから。
でも、最後の部分だけは言葉を返せそうなので、小首を傾げたままでこう返す。
「んーっとね、あんまりおそくならないならだいじょうぶ…かな?」
さすがに朝日が昇る前には戻らないといけない。
ただ、その部分をはっきりとは答えられないけど。
■マヌエラ > ちょっとずつしか飲めないところも。
上目遣いになってしまうところも。
小さな、いとけない生き物の仕草全てが可憐で。
女は、じんわりと胸が温かく、くすぐったくなるような気持ちになった。
ただ、小首を傾げたところにも特に反応はなくするーして。
返してくれた言葉には、口を開いた。
「分かりました! じゃあ遅くならないようにしますね。
ヴェルちゃんの……一緒にいる方が、心配なさらないように!」
ごく普通のやり取り。だが、すでに幼い少女は、女の問いに「だいじょうぶ」と応えていた。
それが、引き金――少女は、周囲の様子がいつの間にか少し変化していることに気付くだろう。
道行く人たちはざわざわとにぎやかなのは変わらないが、この店を避けるように人の流れが出来ており、更にレンズを通したように、その光景は少し歪んでいる。
ジュースを造ってくれた店主の姿は見えない。
そして座っている木の椅子がほんのり暖かく、木の硬さではなく、固めた筋肉のような、どこか柔らかさを秘めた硬さに変じている――。
その違和を自覚した瞬間に、ヴァルの足元から「生えて」きたもの。
それは、無数の、頭足類のそれを思わせる、触手だった。
小さな足や細い足首、脹脛に絡み付いてくる――。
■マヌエラ > 異様な気配とともに、状況は進行してゆく――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマヌエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヴェルファールさんが去りました。